エクアドル:憲法裁判所、ラス・マルビナスの4人の子どもに対する国家責任認定

(Photo: Radio Pichincha)

エクアドルの憲法裁判所(Corte Constitucional)は、ラス・マルビナス(Las Malvinas)地区で2024年12月に発生した4人の子どもに対する暴行・失踪・死亡事件について、国家責任を認定した。判決(No. 1732-25-EP/26)では、公の謝罪、経済的賠償、そして軍の安全作戦における児童虐待防止のための措置創設が命じられている。

憲法裁判所によると、国家責任を認定された子どもたちは以下の通りである。

  • ホスエ・アロヨ(Josué Arroyo)
  • イスマエル・アロヨ(Ismael Arroyo)
  • スティーブン・メディナ(Steven Medina)
  • ネヘミアス・アルボレダ(Nehemías Arboleda)

4人は2024年12月8日、グアヤキル(Guayaquil)南部のラス・マルビナス地区にあるコビエン公園(parque Covien)でのサッカーを終え帰宅途中に、2つの軍パトロール(patrullas militares)によって拘束された。

その後、4人はピックアップトラックの荷台に乗せられ、ナランハル郡(cantón Naranjal)のタウラ教区(parroquia de Taura)に移送された。ここで殴打、人種差別的な罵声、裸にされる暴行、銃撃による脅迫などを受けた。

両親が直ちに検察庁に通報したにもかかわらず、事件は当初誘拐(secuestro)として扱われ、国家は子どもたちの所在について数日間十分な情報を提供せず、むしろ被害者や家族を民族的・社会経済的背景を理由に犯罪者扱いするメッセージさえ発信した。

子どもたちの所在は2024年12月31日まで不明であったが、検察庁が確認したところ、タウラ川(río Taura)近くのマングローブで発見された遺体は、焼かれた痕跡や暴力の痕があり、4人の子どもに一致した。

憲法裁判所は、この事件を「憲法秩序に対する最も重大な侵害の一つ」と位置づけ、国家に対して法的・道義的責任を認めた。

 

司法の過失と国家責任

エクアドルの憲法裁判所は、ラス・マルビナス地区の4人の子どもに関する判決で、控訴裁判所が以前却下したアベアス・コルプス(habeas corpus)に対して、特別保護措置(acción extraordinaria de protección)を認めたことを根拠に国家責任を認定した。アベアス・コルプスとは人身保護令を言うが、国家権力や公的機関が人を不当に拘束・逮捕した場合に、裁判所がその拘束の適法性を審査し、違法であれば解放を命じる制度を指す。

裁判所は、二審の司法当局が拘束の全体的な分析を行わず、児童・青少年事件で求められる強化された説明義務(estándar reforzado de motivación)を果たしていなかったとして、適正手続き(debido proceso)の権利を侵害したと判断した。

強制失踪の三要素

憲法裁判所は、強制失踪の成立には以下の3つの要素が揃っていたと認定した:

  1. 自由剥奪(Privación de libertad)
     子どもたちは国家職員により違法・恣意的・不当な方法で拘束された。
  2. 国家職員の関与(Participación de agentes del Estado)
     事件は軍のパトロール(patrullas militares)によって直接実行された。
  3. 情報隠蔽(Negativa de información)
     国家は当初、軍の関与を否定し、子どもたちの状況について即時の情報提供を行わなかった。

裁判所は、非常事態や治安不安の状況下であっても、生命権(derecho a la vida)と身体の安全(integridad personal)を停止することはできず、国家は未成年者に対して強化された保護責任(posición de garante reforzada)を負うと強調した。

 

包括的な賠償と歴史的記憶

判決は、犠牲者の記憶を尊重し、同様の事件の再発防止のため、次の措置を命じた:

  • 公的謝罪(Disculpas públicas)
     エクアドル空軍総司令官(Comandante General de la Fuerza Aérea Ecuatoriana:FAE)は公の場で国家の責任を認め、子どもたちの自由と生命を奪ったことについて「恥と悲しみ」を表明すること。
  • 経済的賠償(Reparación económica)
     1人の子どもにつき10,000米ドル、各家族核には5,000米ドルを精神的損害に対する補償として支払う。
  • 歴史的記憶(Memoria histórica)
     事件は記憶博物館(Museo de la Memoria)に収められ、12月8日が国家記念日として宣言される。
  • 公共空間の回復(Recuperación del espacio público)
     コビエン公園は改修され、公式に「ラス・マルビナスの4人の子どもたち(Los cuatro niños de Las Malvinas)」と命名され、安全な遊び場として開放される。
  • 再発防止の保障(Garantías de no repetición)
     軍と国家警察の逮捕作業に関する明確な協定と規則を整備し、子ども・青少年の最善の利益を尊重する具体的プロトコルを作成。

 

この判決は、既に刑事裁判で有罪判決を受けた16人の軍人の責任を置き換えるものではなく、国家の制度的責任を明確化し、社会の絆を修復することを目的としている。

 

軍隊に対する史上最も厳しい判決

エクアドル共和国の軍隊におけるラス・マルビナス事件の判決は、同国の軍事史上、最も厳しい内容となった。事件に関与した軍人には、強制失踪により34年8か月の懲役が科され、国内に大きな衝撃を与えた。

裁判所は、エクアドル空軍の11人の構成員を、4人の未成年者の強制失踪における直接的責任者として有罪判決とした。この判決を受け、上級指揮官は軍事プロトコルの見直し、手続きの更新、そして軍人教育の強化を余儀なくされた。

 

判決の重みと歴史的意義

ラス・マルビナス事件の判決は、過去の軍事関与事件と比較しても際立って重いものとなった。

  • 34年8か月:ラス・マルビナスの4人の強制失踪に関与した軍人
  • 過去の例
    • 1978年:ボリーバル・ハリン・カフエニャス将軍がアブドン・カルデロン殺害で12年の懲役
    • 1995年:海軍の2人の大尉と1人の軍曹が教師コンスエロ・ベナビデスを違法拘束・拷問・殺害し、8年の懲役

この判決は、軍の内部治安作戦や組織犯罪対応に関する責任の明確化という点で、歴史的意義を持つと評価されている。

 

エクアドル空軍の対応と教育改革

エクアドル空軍によると、ラス・マルビナス事件を受けて、約7,000人の構成員を対象に、20時間・40時間・80時間の15の必修コースによる教育キャンペーンが実施された。訓練内容には以下が含まれる:

  • 正当な武力行使(uso legítimo de la fuerza)
  • 威嚇(disuasión)
  • 逮捕手続き(aprehensión)
  • 人権(derechos humanos)
  • 法律(legislación)

さらに、裁判所はエクアドル空軍に対し、年間少なくとも120時間の人権教育を含む恒久的な必修研修プログラムを導入し、司法の監督下で実施することを命じた。

 

軍隊内に先例を作り治安政策の議論を呼ぶ

エクアドル共和国の軍隊で発生したラス・マルビナス事件は、軍事行動に関する先例を作り、政府が組織犯罪対策のために内戦状態(conflicto armado interno)を宣言し、軍事化する決定についての議論を呼んでいる。

事件では、ネヘミアス・アルボレダ、スティーブン・メディナ、イスマエル・アロヨ、ホスエ・アロヨの4人、通称「ラス・マルビナスの4人」が強制失踪に遭った。これに関与した軍人には34年8か月の懲役が科され、軍隊史上最も重い判決となった。

 

軍事訓練と内部治安作戦の課題

元安全保障長官のワグナー・ブラボ(Wagner Bravo)は、軍の教育制度について次のように指摘する。

軍人教育はキャリアの初期から始まる。現在、軍は国家警察の補助的支援を行っているが、そのための訓練は十分ではない。武器や巡回だけでなく、法律の適用についても訓練を更新するのに苦労している。

組織犯罪専門家のミシェル・マッフェイ(Mishell Maffei)も、軍の役割に関して次の見解を示している。

軍は本来、外部の敵に対応する組織だ。排除能力を持つ。だからといって、組織犯罪の予防や対策のための部署を設置することは、軍内部でも異常ではないし、普通に考えられることだ。

この発言から、軍の訓練や役割に関する制度的見直しの必要性が浮き彫りになっている。

#Los4deGYE #強制失踪

 

参考資料:

1. Corte Constitucional declara responsable al Estado por la desaparición y muerte de los cuatro niños de Las Malvinas
2. Sentencia del caso Las Malvinas fue la más severa en la historia de las FF. AA.

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