エクアドル:2026年第1四半期GDPは2.1%成長、内需・投資が支えるもリスク残る

エクアドル中央銀行(Banco Central del Ecuador:BCE)は、2026年第1四半期(1~3月)の国内総生産(Producto Interno Bruto:PIB、英:GDP)が、2025年同期間と比較して2.1%増加したと発表した。

成長を支えたのは、家計消費の回復と投資拡大だった。特に食品やサービスへの需要増加、建設投資、機械・車両などの資本財輸入が経済活動を押し上げた。

一方で、2025年通年の成長率3.7%と比べると、2026年第1四半期の伸びは1.6ポイント低く、エルニーニョ現象、燃料価格上昇、カカオ輸出の減少などが今後の成長を抑える要因として指摘されている。

政府は2026年の年間成長率を2.5%と見込んでいるが、目標達成には年後半の加速が必要になる。

 

家計消費と固定資本形成が成長を支える

中央銀行(BCE)によると、2026年第1四半期の成長は国内需要の拡大が中心となった。家計最終消費は前年同期比3.9%増加した。食品やサービスへの支出増加が主な要因で、国内市場の回復を示す結果となった。また、固定資本形成(Formación Bruta de Capital Fijo:FBKF)は12.8%増加した。固定資本形成(FBKF)の伸びは、建設業の拡大に加え、機械、車両、輸送機器などの輸入増加によって支えられた。企業が生産能力を高めるための投資を進めたことが背景にある。

輸出は1.7%増加した。加工エビや鉱物資源の販売拡大が貢献した。一方、輸入は11.1%増加した。原材料や資本財の購入増加が主因で、中央銀行(BCE)は経済活動が拡大する局面で見られる動きだと説明している。

 

前四半期比でも1%成長

2026年第1四半期の国内総生産(PIB)は、2025年第4四半期(10~12月)と比較して1%増加した。

中央銀行(BCE)によると、前四半期比の成長は国内需要の強化によるもので、家計消費は1.4%増加、固定資本形成(Formación Bruta de Capital Fijo:FBKF)は9.6%伸びた。

一方、輸出は5.8%減少した。カカオの国際需要低下が影響したが、国内消費と投資の拡大が減少分を補い、経済全体では成長を維持した。

前四半期比では、分析対象となった20産業のうち12産業が成長した。特に建設業、金融・保険業、専門・技術サービス、漁業・養殖業の伸びが目立った。

 

20産業のうち16産業が前年同期比で成長

中央銀行(BCE)の産業別分析では、2026年第1四半期は、20産業のうち16産業が2025年第1四半期と比較して成長した。

主な成長分野は以下の通り:

  • 金融・保険業:12%
  • 宿泊・飲食業:11.8%
  • 石油精製業:9.4%
  • 保健・社会福祉:6.4%
  • 情報・通信業:4.9%
  • 専門・技術・管理サービス:4.5%
  • 電力・水供給業:4.5%
  • 建設業:4.2%
  • 石油・鉱業:4%
  • 食品製造業:3.2%
  • 非食品製造業:2.7%
  • 商業:2.2%
  • 漁業・養殖業:1.8%
  • 教育:1.1%
  • 運輸・倉庫業:0.6%
  • 不動産業:0.1%

一方、以下の分野では前年同期比で減少した:

  • 雇用主としての家計活動:4.3%減
  • 公共行政:4.8%減
  • 農業・畜産・林業:3.8%減
  • 芸術・娯楽・その他サービス活動:9.4%減

今回の結果は、金融、建設、サービス関連分野が経済成長を押し上げる一方、農業や公共部門など一部産業では停滞が続いていることを示している。

 

成長を支える消費、その背景に海外送金

エクアドル中央銀行(BCE)元総裁のベロニカ・アルトラ(Verónica Artola)は、2026年第1四半期の成長について一定の評価を示した。一方で、「成長していることよりも、減速していることが懸念だ」と指摘した。

アルトラによると、消費拡大を支える要因の一つが海外送金である。事実2025年の海外送金額は過去最高の77億2900万ドルに達している。

しかし、雇用市場は十分に回復しておらず、公共投資や海外直接投資も、経済再活性化や雇用創出に必要な水準には達していないという。

同氏は、2026年6~7月のサッカーワールドカップによる消費増加が、飲食業や商業分野を短期的に押し上げる可能性があると述べた。

 

年間2.5%成長には下半期の加速が必要

元財務相ファウスト・オルティス(Fausto Ortiz)は、政府目標である年間2.5%成長について慎重な見方を示した。同氏は、4月時点のエクアドル月次経済活動指標(Indicador Mensual de Actividad Económica del Ecuador:IMAEc)の累積成長率が2.0%であることから、年間成長率は2%程度まで低下する可能性もあると警告し、また、2.5%を達成するには、第3四半期と第4四半期に3~4%程度の成長が必要になると述べた。また、輸入増加は消費と投資拡大を示している一方、輸出による成長への貢献を相殺していると分析した。

 

最大のリスクはエルニーニョ現象

専門家が共通して警戒しているのがエルニーニョ現象である。

アルトラは、1997~1998年のエルニーニョ現象では国内総生産(PIB)の15%に相当する損失が発生したと説明した。さらに、2026年に強いエルニーニョ現象が発生した場合、国内総生産(PIB)を最大8%押し下げる可能性があり、その影響は2027年第1四半期まで続く恐れがあると述べた。

オルティスも、影響の大きさは現象の強度、発生時期、さらに電力供給に関係する渇水状況によって変化するとした。

 

カカオ輸出減少をエビ・鉱業が補完

輸出分野では、カカオ価格と国際需要の低下が大きな課題となっている。一方で、加工エビや鉱物資源が輸出を支えた。

アルトラは、原油価格の回復やコロンビアとの貿易関係改善が輸出環境の支援材料になる可能性があると述べた。

オルティスも、エビと鉱業が輸出部門のバランス維持に貢献していると指摘した。

ただし、原油価格が上昇しているにもかかわらず、石油部門は期待されたほど国内総生産(PIB)への貢献を高めていないという。

 

2026年の成長見通し、回復の質が焦点に

中央銀行(BCE)は2026年の国内総生産(PIB)成長率予測を、当初の1.8%から2.5%へ引き上げている。次回の経済見通し更新は9月に予定されている。

第1四半期の結果は、エクアドル経済が消費と投資によって回復基調を維持していることを示した。

しかし、専門家は、国内総生産(PIB)の数字だけではなく、その成長が雇用改善や国民生活の向上につながるかが重要だと指摘している。

エクアドル経済は回復の兆候を見せる一方、自然現象を起因とする災害、輸出環境、雇用問題という複数のリスクを抱えながら2026年後半を迎える。

 

参考資料:

1. PIB de Ecuador crece 2,1% en el primer trimestre y desafía meta del 2,5%
2. 16 de 20 industrias tuvieron un desempeño positivo en el primer trimestre de 2026
3. Ecuador acelera su PIB con un crecimiento de 2,1 % en el primer trimestre de 2026

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