エクアドル:キト空港近くの森林火災、12時間以上の消火活動で制御、消防隊はドローンも活用

(Photo:Cortesía Bomberos Quito)

エクアドルの首都キト東部に位置する農村地域ヤルキ(Yaruquí)で発生した森林火災は、12時間以上に及ぶ消火活動の末、2026年7月19日午前7時にキト消防隊(Cuerpo de Bomberos de Quito)によって制御された。

火災は2026年7月18日正午ごろ、ヤルキ教区のオトン・デ・ベレス(Otón de Vélez)地区で発生した。現場はマリスカル・スクレ国際空港(Aeropuerto Internacional Mariscal Sucre)の近隣にある渓谷地帯で、約600メートルにわたる火災ラインが形成された。

火災現場は谷間の複雑な地形に位置しており、消防車両や隊員の進入が困難だったため、消火活動は複雑な状況となった。キト消防隊は延焼拡大を防ぐため部隊を投入し、防火ラインの設置と拡張作業を進めた。

キト消防隊は19日朝、チームの協調した作業と努力によって火災の進行を抑制し、周辺地域への延焼を防ぐことができたと発表した。一方、火災は制御されたものの、完全な鎮火後も再燃する可能性があるとして、現場監視は継続されている。消防隊は、地形条件や風向きの変化によって二次的な火点が発生する可能性を考慮し、終日の監視を続けるとしている。

 

断崖地形で消火活動が困難に 農地や住宅への延焼を防止

今回の火災現場は深い谷状の地形に位置しており、隊員の移動や消火設備の配置が難しい区域だった。そのため消防隊は火災の拡大を防ぐため、周辺の花卉栽培施設(florícolas)や住宅地域への延焼防止を重点課題として対応した。

7月18日の消火活動では、防火ラインの開設と拡張が実施され、火の進行方向を制御する作業が行われた。現地住民も地形条件によって消火作業が困難になっている状況を確認し、消防隊への協力を行った。消防当局は、地域住民の協力も火災拡大防止に貢献したとしている。

 

20人以上の消防隊員とドローンを投入

火災対応には、20人以上のキト消防隊員が参加した。

投入された主な装備は以下の通りである。

  • 森林火災対応移動部隊2隊
  • 給水車両4台
  • 無人航空機(ドローン)

また、エクアドル緊急統合サービス(Servicio Integrado de Seguridad ECU 911)は、現場で事故指揮部隊(Unidad de Comando de Incidentes)、火災調査部隊(Unidad de Investigación de Incendios)、無人航空機部隊(Unidad de Aeronaves No Tripuladas)が活動したと発表した。

これらの部隊は、火災状況の把握、冷却作業、焼失した植生の除去作業を実施した。

 

ドローンによる上空監視で消火活動を支援

今回の森林火災では、無人航空機(ドローン)が消火活動の支援に活用された。消防隊はドローンを使用して上空から被害区域を撮影し、火災の進行状況をリアルタイムで確認した。収集された情報は、火災の拡大方向、危険区域、消火活動の優先地点、防火ライン設置場所の判断に活用された。消防当局は、アクセスが困難な地域での森林火災対応において、ドローンによる情報収集が作戦効率の向上につながったとしている。

 

キト国際空港周辺で発生、航空運用への重大な影響は確認されず

火災が発生したヤルキ地区は、キト中心部の東側に位置し、マリスカル・スクレ国際空港に近接している。

消防隊は、空港施設や周辺住宅への延焼防止を優先して活動した。現時点で、空港運営や航空便への重大な影響は確認されていない。

 

キトでは森林火災リスクが上昇 51地域を危険区域に指定

キト市では乾燥した季節を中心に森林火災の危険性が高まっており、市当局は警戒活動を強化している。

2026年夏季について、キト市内では51地域が重大な森林火災リスク地域として指定され、そのうち17地域は特に脆弱性が高い地域とされている。

主な火災リスク要因として、高温状態の継続、乾燥した植生、強風、人為的な火災発生が挙げられている。キト消防隊と自治体当局は、森林火災防止のため巡回活動や監視を継続している。

 

国家総合安全保障計画で環境リスクを安全保障課題として位置付け

今回の森林火災は、エクアドル政府の「国家総合安全保障計画2025-2029(Plan Nacional de Seguridad Integral 2025-2029)」が安全保障上の課題として位置付ける環境リスクとも関連している。

同計画では、安全保障上の課題として森林破壊、干ばつ、洪水、自然現象をきっかけとした災害、人為的災害、気候変動による環境リスクを扱っている。

計画では、環境・エネルギー省(Ministerio de Ambiente y Energía)、国家リスク管理事務局(Secretaría Nacional de Gestión de Riesgos)、地方政府が連携し、森林破壊や天然資源の違法採取への対応を強化するとしている。

 

農村地域への国家サービス提供も安全保障政策の一部に

国家総合安全保障計画2025~2029では、農村地域における国家機能や公共サービスの不足も、安全保障上の脆弱性として分析している。

政府は2029年までに、農村地域、アマゾン地域、先住民地域において、医療、教育、食料供給、飲料水、環境衛生、住宅、社会保障、情報通信技術へのアクセスについて、公平かつ普遍的な提供を確保する目標を掲げている。

ヤルキ地区で発生した森林火災は、都市周辺部や農村地域における消防能力、環境管理、国家サービス提供体制の重要性に関わる事例となった。

#森林火災

 

参考資料:

1. Bomberos controlan incendio forestal cerca del aeropuerto de Quito luego de más de 12 horas

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