エクアドル:国選弁護制度局、フェルナンド・ビジャビセンシオ殺害に関する全国放送を要請

(Photo:Cortesía)

2026年8月2日夜、エクアドルで全国放送されたのは、政府関係者やダニエル・ノボア大統領(Daniel Noboa)からのメッセージではなかった。放送されたのは、2023年の大統領選挙の候補者だったフェルナンド・ビジャビセンシオ(Fernando Villavicencio)の殺害を扱ったドキュメンタリーシリーズの第1話だった。

このシリーズは、ビジャビセンシオの娘であるアマンダ・ビジャビセンシオ(Amanda Villavicencio)とタミア・ビジャビセンシオ・サンドバル(Tamia Villavicencio Sandoval)が推進したもので、8月23日の最終話をもって終了した。

放送に先立ち、家族は声明を発表し、司法手続きを進めるため、国選弁護制度局(Defensoría Pública:DP)と大統領府総合コミュニケーション事務局(Secretaría General de Comunicación)に支援を求めていた。その後、国選弁護制度局(DP)が全国放送にどのように関わったのかが問題となった。

 

国選弁護人から大統領府へのメール

国選弁護制度局(DP)は2026年8月20日、当該ドキュメンタリーについて公式回答を発表した。回答には、国選弁護制度局長リカルド・モラレス(Defensor Público General, Ricardo Morales)が署名していた。モラレスは、国選弁護制度局(DP)がドキュメンタリーを後援、資金提供、制作への参加のいずれも行っていないと説明した。同機関によると、国選弁護制度局(DP)が行ったのは、被害者の娘であるアマンダ・ビジャビセンシオ(Amanda Patricia Villavicencio)とタミア・ビジャビセンシオ(Tamia Anahi Villavicencio)が憲法上の請願権に基づいて行った市民からの要請を「取り次ぐ」ことだった。国選弁護制度局(DP)は、この2人の法的代理を務めていた。

ラジオ・ピチンチャ(Radio Pichincha)が入手した内部メールは、全国放送をめぐる具体的なやり取りを明らかにするものだった。それによると2026年7月31日午後9時31分、娘たちの法的代理を担当していた国選弁護人ミシェル・エステファニア・オルティス・バサンテ(Michelle Estefanía Ortiz Bassante)は、エクアドル共和国大統領府総合コミュニケーション事務局(Secretaría General de Comunicación de la Presidencia de la República)の職員イレネ・ベレス(Irene Vélez)にメールを送った。最初のメールでは、市民からの請願を送付し、その内容を検討した上で請願に対応するよう求めていた。

翌8月1日午前10時31分、オルティスは補足メールを送った。件名は「Alcande de Solitud Ciudadana」だった。このメールでは、タミア・アナヒ・ビジャビセンシオとアマンダ・パトリシア・ビジャビセンシオが行った市民からの請願を考慮するよう求めた上で、国選弁護人としての権限に基づき、全国放送を実施するよう要請していた。つまり、オルティスは国選弁護人としての立場を明示し、依頼人のドキュメンタリーについて全国放送枠を使用するよう政府に求めていた。

 

国選弁護制度局幹部もCCに

内部メールからは、オルティスと大統領府とのやり取りに国選弁護制度局(DP)の幹部もCCで入っていたことが分かった。

7月31日の最初のメールと8月1日の補足メールの双方でCCに入っていたのは、国選弁護制度局長リカルド・ウラジミール・モラレス・ベラ(Ricardo Wladimir Morales Vela)、ピチンチャ県(Pichincha)被害者弁護調整官ハビエル・ナポレオン・ビジャグラン・ウルタド(Javier Napoleón Villagrán Hurtado)、局長室顧問マリオ・フェルナンド・セバジョス・パエス(Mario Fernando Cevallos Páez)である。

このメール記録によって、全国放送を求めるメールの送付先だけでなく、国選弁護制度局(DP)側でCCに含まれていた幹部も確認できる。

 

オルティス国選弁護人が示した法的根拠

全国放送を求めた背景については、オルティスが作成した技術的な国選弁護報告書にも記されている。この報告書は、ピチンチャ県被害者弁護調整官ハビエル・ビジャグランに提出された。オルティスは報告書の中で、被害者の法的代理は単なる「公判への正式な出廷」ではないと論じている。

2023年大統領選挙の選挙運動中に発生したフェルナンド・ビジャビセンシオの殺害について、オルティスは通常の一般犯罪ではなく、「公共の安全、政治参加、そして民主制度の正常な機能」に影響を及ぼした選挙過程の中で発生したものだと主張した。そのため、元大統領候補の娘たちに対する「包括的な法的弁護」には、公に真実を知ることを目指す「訴訟戦略」が必要だとした。

オルティスは、この「訴訟戦略」と「包括的な賠償」という枠組みの下で、ドキュメンタリーのために全国的なコミュニケーション枠を使用するよう求めた請願を取り次いだことを正当化した。

 

国会が情報提供を要求

この問題をめぐっては、市民革命(Revolución Ciudadana:RC)の国会議員パオラ・カベサス(Paola Cabezas)も動いた。カベサスは2026年8月5日、国選弁護制度局(DP)に対する情報提供要求を正式に行った。国選弁護制度局(DP)は10日間の期限を前に、8月14日に期限延長を申請した。

しかし、8月18日、カベサスは延長申請を拒否した。法定期限は8月15日にすでに満了していたとして、法律上の措置を取ると警告し、直ちに情報を提出するよう求めた。

同じ8月18日、国選弁護制度局(DP)の各部局は技術的な回答書に署名して提出した。

財務局(Dirección financiera)は、同機関が全国放送のためにいかなる種類の資金も割り当てていないと証明した。予算項目も設定しておらず、シリーズの業者への支払いも行っていない。また、この目的のための財務上の変更手続きも行っていないとした。

行政局(Dirección administrativa)は、2025年と2026年の公共調達記録を確認した結果、当該ドキュメンタリーに関連する契約、協定、発注書、その他の法的文書は存在しないとした。

社会コミュニケーション局(Dirección de comunicación social)は、放送されたドキュメンタリーの内容について、作成、制作、編集、編集上の確認のいずれも行っていないと説明した。また、放送のために職員やコミュニケーション関連の物流を投入していないことも行政上の宣誓によって明らかにした。

人的資源管理局(Dirección de Administración del Talento Humano)は、国選弁護制度局(DP)の公務員の中に、全国シリーズの調整、制作、監督、または関連活動を行うために委任、配置、承認された者はいなかったと証明した。

 

全国放送の要請をめぐる説明の違い

国選弁護制度局(DP)は、同機関が全国放送のために予算を使用していないことを各部局の回答によって示した。

一方、エクアドル国会(Asamblea Nacional)の情報要求は、ドキュメンタリーの推進者たちとエクアドル共和国大統領府総合コミュニケーション事務局(Secretaría General de Comunicación de la Presidencia de la República)が発表した公的声明を根拠としていた。その声明には、全国放送が国選弁護制度局(DP)によって要請されたと記されていた。

この点について、国選弁護制度局(DP)のコミュニケーション局長グイド・モレノ(Guido Moreno)は、この連絡について同部局には文書上の記録がないと説明した。その解明は同部局の権限範囲を超えているとして、局長室調整部門に情報を伝えるとした。

その後、国選弁護制度局長リカルド・モラレス・ベラは8月20日に弁明書を提出した。モラレス・ベラは、国選弁護制度局(DP)は代表する依頼人たちの請願を取り次いだだけであるとの立場を維持した。

 

国選弁護制度局が担う法的代理

国選弁護制度局(DP)がこの事件に関与した背景には、同機関の憲法上の役割がある。

エクアドル共和国憲法(Constitución de la República del Ecuador)第191条によれば、国選弁護制度局(DP)は司法機能に属する独立機関である。私選弁護士を雇うことができない人や、十分な防御を受けられない状態にある人に対して、無料かつ専門的な法的弁護を提供し、司法へのアクセスを保障する役割を担っている。

被害者に対する法的代理は、訴訟手続き上の対応だけではない。憲法第78条は、刑事犯罪の被害者が特別な保護と包括的な賠償のための制度を受ける権利を有すると定めている。その中には、事実の真実を知ることが優先的に含まれている。

この指針に基づき、国選弁護制度局(DP)は、2023年8月9日に父親を殺害されたアマンダ・ビジャビセンシオとタミア・ビジャビセンシオ姉妹の法的代理を、事件について開始された刑事手続きの中で引き受けた。

介入の起点は訴訟手続き上のものであった。エクアドル国家検察庁(Fiscalía General del Estado)は、元大統領候補の娘たちが私選弁護士への委任を正式に撤回し、無料の公的弁護サービスを申請したことを受け、国選弁護制度局(DP)に国選弁護人を選任するよう通知することを決定した。

こうした経緯で、国選弁護制度局(DP)はビジャビセンシオの娘たちの法的代理を担うことになり、その過程でドキュメンタリーの全国放送を求める請願が大統領府側に送られた。

#FernandoVillavicencio

 

参考資料:

1. Defensoría Pública solicitó la difusión de serie sobre asesinato de Fernando Villavicencio en cadena nacional

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