(Photo:Evan Vucci / Reuters)
2026年6月2日、ドナルド・トランプ(Donald Trump)は自身のソーシャルメディアであるトゥルース・ソーシャル(Truth Social)上で、コロンビアの極右候補アベラルド・デ・ラ・エスプリエジャ(Abelardo de la Espriella)への支持を表明した。この発言は、他国選挙への関与として受け止められている。
また、米国コロンビア系上院議員バーニー・モレノ(Bernie Moreno)を含むトランプ側近らは、選挙以前からエスプリエジャ陣営との接触を行っていたとされる。
エスプリエジャは、官僚主義への批判、強硬な治安政策、腐敗したエリート層への批判を主軸として選挙活動を展開している。同候補はトランプの支持表明に謝意を示し、米国との関係強化を含む広範な同盟関係構築に言及した。
上述の通りトランプはコロンビア大統領選決選投票を前に、右派候補アベラルド・デ・ラ・エスプリエジャへの「全面的かつ完全な支持」を表明している。また第一回投票での勝利を祝福し、同選挙結果がコロンビアおよび米国との関係にとって重要であるとの認識を示した。さらにエスプリエジャについて、経済成長、貿易拡大、麻薬対策および治安維持の強化につながるとの見解を示し、「知的で強く、決断力のある指導者」であると評価した。また選挙結果と両国関係の重要性を結び付けて言及し、その発言は選挙結果が外交関係に影響を及ぼし得るとの受け止めにつながっている。
こうした発言の背景には、米国とコロンビアの関係が移民送還政策や麻薬対策、さらにはグスタボ・ペトロ(Gustavo Petro)大統領との政治的立場の違いを背景に摩擦を抱えている状況がある。
コロンビア大統領府(Casa de Nariño)はトランプの発言に対して反応を示した。ペトロは、他国による意思決定への介入は自由を損なうと述べ、選挙は外国政府の影響から独立して実施されるべきであるとの立場を示した。またすべてのコロンビア国民に対し自由な投票を求め、外部からの影響に左右されない選択の重要性を強調した。
またコロンビアの上院議員で大統領候補のイバン・セペダ(Iván Cepeda)は、この行為が選挙の主権性を損なう可能性があると指摘した。一方でエスプリエジャ陣営はトランプの支持を歓迎し、同候補は治安対策および麻薬対策においてトランプとの間に「完全な一致(plena identidad)」があると述べた。さらに財産権の保護および自由貿易の推進についても共通認識があるとし、ボゴタとワシントンの戦略的関係の重要性を強調した。
今回の事象は、選挙過程の信頼性をめぐる議論とも関連している。欧州連合選挙監視ミッション(European Union Electoral Observation Mission:EU EOM)、米州機構(Organization of American States:OAS)、国際連合(United Nations:UN)、ヒューマン・ライツ・ウォッチ(Human Rights Watch:HRW)は第一回投票における不正の存在を否定した。また欧州連合選挙監視ミッション(EU EOM)は選挙について「秩序立ち、透明性があり、円滑であった」と評価した。
こうした中でのトランプの支持表明は、民主主義国家における外国影響力の範囲や、ラテンアメリカにおける米国の政治的関与をめぐる議論を再び活発化させるものとなっている。
ディック・モリスによる米国大統領の影響力に関する見解
政治コンサルタントのディック・モリス(Dick Morris)は、米国大統領による特定候補への支持がコロンビアの選挙動向に影響を与える可能性があるとの見解を示した。
モリスは、ドナルド・トランプによる支持表明が有権者の投票行動に変化をもたらす可能性があり、世論調査に基づけば一定の支持拡大要因となり得ると分析した。また、米国とコロンビアの関係について、両国には価値観の共有が一定程度存在し、米国大統領の発言が選挙判断に影響を与える可能性があると指摘した。
世論調査(シラ・ビルケル(Shila Vilker)およびダニエル・イボスカス(Daniel Ivoskus))では、イバン・セペダが39.1%、アベラルド・デ・ラ・エスプリエジャが38.9%で拮抗しているとされた。また同調査によれば、「コロンビア有権者の48%がトランプの介入によりエスプリエジャへの投票可能性が高まる」と回答し、「19%は低下する」「26%は影響を受けない」とされた。
モリスは、外国指導者による他国選挙への直接的影響は一般的ではないとの見解を示した。その一方で、ドナルド・トランプによる他国選挙への関与がこれまでにも行われているにも関わらず、今回の事例については「特異な」政治状況の中で発生しているとの認識を示した。
またトランプがアベラルド・デ・ラ・エスプリエジャまたはパロマ・バレンシア(Paloma Valencia)を支持した場合、現政権に代わる選択肢がより明確になるとの見解を示した。一方で、イバン・セペダへの支持の可能性については否定的であるとの認識が示された。
さらにモリスは、米国とコロンビアは歴史的に価値観を共有しており、米国大統領の意見が選挙議論の一部として受け止められる可能性があると述べている。
一方、ディック・モリスは大統領選挙では、グスタボ・ペトロ政権に対する野党の分裂と、麻薬密輸に関連する暴力への対応が主要な争点となっていると分析している。モリスはペトロ政権の安全保障政策「完全平和(Paz Total)」について十分な成果を上げていないとの評価に言及した。また犯罪圧力指数(Índice Compuesto de Presión Delictiva)では、テロ関連指標が過去10年で最高水準に達し、現政権下で1000件を超えたと指摘する。
さらに有権者の評価として、治安危機への対応についてアベラルド・デ・ラ・エスプリエジャが35%で最も高く、イバン・セペダが24%、パロマ・バレンシアが18%とされている。モリスはまた、エスプリエジャのみが元コロンビア革命軍(Revolutionary Armed Forces of Colombia:FARC)から分派し武装化した組織に対抗し得る能力を持つと認識されているとの見方を示した。一方でバレンシアについては、ペトロ政権および同組織への対抗能力に疑念があるとされた。
モリスは選挙終盤において野党勢力の結束の重要性を強調し、有権者の判断には十分な情報と政治勢力の統一が必要であると述べた。そのうえで、野党が分裂したままでは過去の政権交代と同様の結果を繰り返す可能性があると指摘した。
米民主党議員ら、トランプによる影響力行使の試みを批判
米国連邦議会の民主党所属議員グループは12日、米国政府によるコロンビアの選挙結果への直接的な介入の試みを拒否し、与党候補のイバン・セペダ(Iván Cepeda)と極右候補のアベラルド・デ・ラ・エスプリエジャ(Abelardo de la Espriella)が争う6月21日の大統領選決選投票を前に、コロンビアの主権を尊重するよう求めた。
声明は、米国連邦議会下院(United States House of Representatives)の議員20人が署名し、ジム・マクガバン(Jim McGovern)下院議員を中心に発表された。同声明では、ドナルド・トランプ政権によるコロンビア大統領選挙の結果への影響力行使の試みに反対する立場が示された。
議員らは、「トランプおよびその他の連邦議会議員による特定候補への支持や後押し、あるいは有利となるような行為は、コロンビア国民の民主的権利を損なうものであると考える」と述べた。
今回の批判は、トランプが自身のソーシャルメディアで、第1回投票で首位となったデ・ラ・エスプリエジャへの支持を表明してから1週間後に行われた。
トランプは同投稿で、セペダを「急進左派」の代表と位置付ける一方、デ・ラ・エスプリエジャが勝利すれば経済成長、安全保障、両国間協力が促進されると主張した。この発言は、コロンビア政府や選挙への介入とみなす各方面から批判を招いた。
民主党議員らは、この行為について「コロンビアの主権と選挙の公正性に対する侮辱であり、外国選挙への不介入という米国の原則と完全に相容れない」と指摘した。
大統領選決選投票は、第1回投票でいずれの候補も得票率50%を超えなかったため、6月21日に実施される。
保守的な政治綱領を掲げ、右派勢力の支持を受けるデ・ラ・エスプリエジャに対し、歴史的協定(Pacto Histórico)所属のセペダは、グスタボ・ペトロ大統領の政治路線の継続を掲げている。
決選投票に向けた選挙戦では政治的分極化が進み、両陣営による相互非難が続いている。今回の選挙は、コロンビアが2022年にペトロ大統領の下で開始した政治路線を維持するのか、それとも地域の保守勢力に近い政策路線へ転換するのかを決定する選挙となる。国際社会の関心も高まっている。
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参考資料:
1. Demócratas acusan a Trump de intentar influir en segunda vuelta presidencial en Colombia
2. Por qué Donald Trump podría inclinar la balanza en las elecciones presidenciales de Colombia: el estratega político estadounidense Dick Morris le explicó a Infobae
3. ¿Intromisión electoral?: apoyo de Trump a candidato colombiano reabre el debate sobre injerencia en comicios clave


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