(Photo:EFE)
エクアドルとコロンビアの間で続く通商対立を巡り、アンデス共同体(Comunidad Andina:CAN)は、両国が相互に導入している関税措置の撤廃を求める決定を下した。これを受け、両国の企業団体は域内通商の正常化と制度的安定性の回復に期待を示している。
アンデス共同体、相互関税の撤廃を要求
アンデス共同体(CAN)は、両国政府からの要請を受け、2026年5月7日に複数の決議を採択した。決議では、エクアドルとコロンビアが相互に導入している関税措置について、アンデス共同体協定(Acuerdo de Cartagena)に基づく域内自由化原則に反すると判断した。
問題となっているのは、エクアドルが導入した最大100%の「安全保障税」と、コロンビアが段階的に実施している追加関税措置である。
アンデス共同体(CAN)は、両国に対し10営業日以内に関税措置を撤廃するよう求めた。同機関は、現在の制限措置が企業、消費者、労働者に悪影響を及ぼしていると指摘している。
通商対立は2026年初頭から激化
今回の通商対立は、2026年1月末から本格化した。エクアドルは、国境地域の治安維持に関しコロンビア政府の対応が不十分であるとして、コロンビア製品に対する「安全保障税」を導入した。税率は段階的に引き上げられ、2月に30%、3月に50%、5月には100%に達した。
その後、エクアドルのダニエル・ノボア(Daniel Noboa)大統領は、2026年6月1日から税率を75%へ引き下げる方針を示した。
これに対し、コロンビアのグスタボ・ペトロ(Gustavo Petro)政権は、エクアドル製品に30%の関税を導入した。その後、35%、50%、75%へと段階的に税率を引き上げている。
ペトロ大統領、関税撤廃に前向き姿勢
アンデス共同体(CAN)の決定を受け、ペトロ大統領はエクアドル製品への関税撤廃に前向きな姿勢を示した。
同大統領は自身のXへの投稿で、「エクアドル製品への関税については、導入時と同じ方法および時系列で撤廃することに何の問題もない」と表明した。
ただし、アンデス共同体(CAN)が設定した期限内に、コロンビア政府が具体的にどのような措置を実施するかについては、現時点で明らかになっていない。
企業団体、制度履行と通商正常化を要求
エクアドルの企業団体は、今回の決定を通商正常化に向けた重要な機会として歓迎している。
エクアドル企業委員会(Comité Empresarial Ecuatoriano:CEE)は、2026年5月8日に公表した声明で、「今回の状況は、両国間の二国間通商の正常化および完全な回復を進める機会である」と表明した。
同委員会は、国境地域の治安確保など共通課題への協力を進めつつ、貿易の流れ、競争力、経済安定性を損なわない形で対応する必要があると指摘した。
さらに、エクアドルおよびコロンビアの当局に対し、アンデス共同体(CAN)の決議を履行し、制度的枠組みの強化と相互信頼の回復を進めるよう求めた。
同委員会は、制度的安定性の確保が両国の生産部門の発展に必要な条件になるとの認識も示している。
商工会議所、「一方的措置は競争力損なう」
エクアドル商工会議所(Cámara de Comercio de Guayaquil:CCG)も、アンデス共同体(CAN)の決定を前向きに評価した。
エクアドル商工会議所(CCG)のミゲル・アンヘル・ゴンサレス(Miguel Ángel González)会頭は、アンデス共同体(CAN)が加盟国に対し共同体合意の遵守を改めて確認した点を重要視していると述べた。
同会頭は、一方的な措置は域内競争力や通商関係を損なう可能性があると指摘し、加盟国は域内で合意した義務を順守すべきであるとの考えを示した。
また、コロンビア全国工業協会(Asociación Nacional de Empresarios de Colombia:ANDI)のブルース・マック・マスター(Bruce Mac Master)会長も、関税対立による経済的損害への懸念を表明した。
同氏は、アンデス共同体(CAN)が両国間の貿易を不当に制限している措置の撤廃を求めた点を強調し、生産部門および商業部門に深刻な影響が及んでいると説明した。
国境物流への影響も拡大
両国間の関税対立は、国境地域の物流にも影響を与えている。
エクアドルのトゥルカン市(Tulcán)とコロンビアを結ぶ国際橋リウマチャ(Puente Internacional de Rumichaca)周辺は、両国間貿易を支える主要物流拠点であり、貨物輸送が集中している地域である。
企業団体は、関税措置の長期化によって輸出減少や物流コスト上昇がさらに進む可能性に警戒感を示している。
再考請求と制度的措置の可能性
関係者によると、ノボア政権およびペトロ政権は、アンデス共同体(CAN)の規範に基づき再考請求を提出する可能性がある。
ただし、法的観点からは、再考請求によってアンデス共同体(CAN)の本質的判断が変更される可能性は低いとみられている。
また、加盟国が決議を履行しない場合、アンデス共同体(CAN)は域内自由化プログラムに基づく一部特恵措置を停止するなど、制度的措置を発動する可能性がある。
これについて、エクアドル商工会議所(CCG)の関係者は、「極端なシナリオ」であるとの認識を示した。同関係者は、アンデス共同体(CAN)が歴史的に対話と自主的履行を優先してきたと説明し、域内統合と通商安定の維持を重視していると指摘した。
現在、焦点はボゴタ(Bogotá)とキト(Quito)の両政府が今後どのような対応を取るか、そしてコロンビア・エクアドル国境地域の通商活動が全面的に正常化へ向かうかに移っている。
#ComunicadoCEE | Una oportunidad para reencauzar el comercio bilateral pic.twitter.com/19oMIUDwfC
— Comité Empresarial Ecuatoriano (@CeEcuatoriano) May 9, 2026
参考資料:
1. Aranceles entre Ecuador y Colombia: empresarios esperan normalización del intercambio comercial
2. Petro dice que retirará aranceles a Ecuador tras orden de la Comunidad Andina

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