コロンビア大統領選挙2026:ウリベによる恐怖を用いた選挙操作計画が暴露される

(Photo:Radio Nacional de Colombia)

コロンビアの調査報道プロジェクト「シーニャル・インベスティガティバ(Señal Investigativa)」は、右派勢力が選挙に影響を与えるために展開しているとされる戦略「プラン・ジュピター(Plan Júpiter)」の存在を報じた。この調査は、シーニャル・コロンビア(Señal Colombia)およびラ・レヴィスタ・ラヤ(Revista RAYA)による共同調査として公開されたものである。

シーニャル・インベスティガティバは、コロンビアを中心に展開される調査報道系プロジェクト/ジャーナリズム・プラットフォームとして位置づけられており、政治・汚職・権力構造などをテーマとした長期型の調査コンテンツを発信するメディア形態である。その制作・公開は単一の報道機関によるものではなく、シーニャル・コロンビアなどの放送枠を通じた配信に加え、複数の編集チームおよびレヴィスタ・ラヤといった調査報道メディアが関与する共同制作(コプロダクション)として運用されていると説明されている。

 

企業・労働現場・SNSを横断する選挙影響戦略とされる構造

調査によれば、「オペラシオン・ジュピター(Operación Júpiter)」は、企業・民間部門とデジタル空間を連動させた二層構造の政治的影響戦略であるとされる。

第一の軸は企業・民間部門を対象とした組織化である。中堅労働者やオペレーター層を対象に「民主主義ワークショップ」と呼ばれる研修プログラムが実施されているとされ、これらは単発の教育活動ではなく、企業の人事部門などを通じて組織的に動員される形で行われていると指摘されている。実施にはオリヘン(Origen)、ヘルナン・エチャバリア・オロサガ政治科学研究所(Instituto de Ciencia Política Hernán Echavarría Olózaga)、コロンビア・コンストルイェ・コンフィアンサ(Colombia Construye Confianza)、リベルタンク(Libertank)、ウニダ・デ・アクシオン・バジェカウカナ(Unidad de Acción Vallecaucana)など複数のシンクタンクが関与しているとされる。

報告によれば、これらの活動は選挙期間の前後を通じて継続的に実施され、特定の月には31回に達したとされるほか、決選投票局面に向けて拡大しているという。またコロンビア労働省(Ministerio del Trabajo)には、これらの研修活動が選挙強要(constreñimiento electoral)に該当し得るとして複数の告発が寄せられているとされる。

企業領域で利用されている手法は、2016年の和平合意国民投票で用いられたとされるコミュニケーション戦略と類似していると報じられている。その特徴は、労働者層に対して「恐怖」「憤り」「不確実性」といった感情を喚起することで政治的態度形成を誘導する構造を持つ点にあるとされる。

第二の軸はSNS領域における情報発信とコンテンツ操作である。オンライン空間では、イバン・セペダ・カストロ(Iván Cepeda Castro)やアベラルド・デ・ラ・エスプリエジャ(Abelardo de la Espriella)など特定の政治人物に対する攻撃的情報が拡散される一方で、民主センター(Centro Democrático)のパロマ・バレンシア(Paloma Valencia)を中道的選択肢として印象付ける情報設計が行われているとされる。なおデ・ラ・エスプリエジャはイバン・セペダと並べて政治スペクトルの両極として提示されている。こうした動きは、世論形成に影響を与えつつ、政治的対立構造を意図的に強調するものと指摘されている。

またデジタル領域では、「エスタ・エン・ヌエストラス・マノス(Está en nuestras manos)」と呼ばれる情報発信活動が展開されているとされ、ポステボンなどの大企業の支援を受けているとされる。この活動はSNS上で世論形成に影響を与える役割を担っていると報じられている。

こうした二つの領域は相互に連動しているとされ、企業内で反復される政治的メッセージがSNS上でも拡散されることで、労働現場とデジタル空間の双方で同一のナラティブが強化される構造が形成されていると報じられている。

こうした活動の目的については、グスタボ・ペトロ(Gustavo Petro)政権およびパクト・ヒストリコ(Pacto Histórico)の候補イバン・セペダに対する批判的ナラティブの形成にあるとされる。あわせて、政治的対立構造を強調し、労働者層の政治的感情に影響を与えることが狙いとされている。あわせて、政治的対立構造を強調し、労働者層の政治的感情に影響を与えることが狙いとされている。さらに一部報道では、上院議員ミゲル・ウリベ・トゥルバイ(Miguel Uribe Turbay)に関する言及や政治責任をめぐる説明が感情喚起の要素として組み込まれているとされる。

戦略の中核人物としてはハイメ・ベルムデス・メリサルデ(Jaime Bermúdez Merizalde)の関与が指摘されている。同氏はアルバロ・ウリベ(Álvaro Uribe)政権時代にコミュニケーション戦略家を務め、その後外務大臣に任命された経歴を持つとされる。

公開資料によれば、「オペラシオン・ジュピター」には2026年3月時点で70億コロンビア・ペソ以上の資金が動員されているとされ、企業ネットワークやシンクタンク、メディア・政策機関が複合的に関与する形で、情報発信と影響力行使が統合的に運用されていると報じられている。

さらに本計画をめぐっては、プロボゴタ(Probogotá)との関係やシジャ・バシア(La Silla Vacía)との接点についても言及があるが、同メディア側は関与を否定しており、認識は一致していない。一方で、契約関係の存在が指摘されており、メディア、企業、シンクタンクの境界が重なり合う構造が形成されているとされる。

最終的にこの調査では、シジャ・バシアを当該戦略の「編み手」として位置付ける言及も含まれている。同メディアのディレクターであるフアニタ・レオン(Juanita León)はバレンシア陣営との関係を完全に否定しているが、調査側は、元外務大臣ハイメ・ベルムデス・メリサルデ(Jaime Bermúdez Merizalde)自身が同メディアを「プラン・ジュピターの戦略的同盟者」として提示していると主張している。

こうした活動について、コロンビア労働省は選挙強要に関する複数の告発を受けているとされ、副労働大臣サンドラ・ミレナ・ムニョス(Sandra Milena Muñoz)も同様の報告が寄せられていると述べている。また労働大臣アントニオ・サンギノ(Antonio Sanguino)も、雇用主や企業幹部による選挙強要の可能性を示す証拠を受け取っていると発言している。

 

恐怖を利用した政治手法への批判

政治戦略家アンヘル・ベカッシーノ(Ángel Becassino)は、コロンビア政治において現政権への否定的世論が形成されていると指摘し、その背景には「政府が機能していないという認識を強化する情報環境」があると述べている。

また、選挙戦略における恐怖の利用については、対比的なコミュニケーションは一定程度許容されるものの、虚偽情報や意図的な歪曲は倫理的に正当化できないと批判している。

このように「プラン・ジュピター」をめぐる報道は、選挙、企業活動、労働環境、メディア構造が複雑に絡み合う中で、情報操作と政治戦略の境界そのものを問う構図として描かれている。

#ÁlvaroUribe #GustavoPetro #IvánCepeda #コロンビア大統領選挙2026

 

参考資料:

1. Señal Investigativa revela plan para manipular elecciones ligado a estratega de Uribe
2. “Operación Júpiter” el plan que usa a Cepeda y De la Espriella para impulsar a Paloma Valencia

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