(Photo: Al Día)
ロス・リオス県(Los Ríos)では2026年年初2か月間で181件の殺人が記録されている。これは単純計算で1日あたり約3人が殺害されている水準である。
内務省(Ministerio del Interior)の統計によれば、同県は国内で3番目に暴力的な県であり、同期間の殺人件数はグアヤス(Guayas)県の632件、エル・オロ(El Oro)県の188件に次ぐ規模である。
ニュースサイト「プント・ノティシアス(Punto Noticias)」によれば、同県の暴力は収束しておらず、2026年4月10日未明にはケベド(Quevedo)市ヴェヌス・デル・リオ(Venus del Río)地区で爆発物を用いた襲撃事件が発生した。この事件では3人が死亡、4人が負傷している。
目撃証言では、正体不明の複数人物が2台の車両で現場に到着し、爆発装置を起爆させて住宅3棟を破壊したうえで、住居に向けて銃撃を行ったとされる。この事件は同県で継続する暴力の一例に過ぎない。
ガロ・ララ知事の治安改善主張とロス・リオス県の暴力統計の乖離
ロス・リオス県の知事(Gobernador)にガロ・ララ(Galo Lara)が就任したのは2025年11月18日であり、当時すでに同県は過去10年で最も深刻な暴力状況に直面していた。
2025年の殺人件数は1,276件を超え、2021年以降の増加トレンドが継続していた。これにより同県は、長期的に見ても高水準の暴力状態に置かれていたことが確認される。
「治安73%改善」発言の内容と文脈
ガロ・ララ知事は就任後100日未満の段階で、治安が73%改善し、暴力死が23%減少したと主張している。ただし、この数値については検証報道が存在しており、エステバン・カルデナス(Esteban Cárdenas)による2026年2月18日のファクトチェックでは、この発言は事実である一方、以下の点が明確化されている。
- 対象地域はエクアドル全体ではなくロス・リオス県のみ
- 73%は「一般犯罪(delitos)」の減少率
- 23%は「暴力死(muertes violentas)」の減少率
また、この発言は新聞『エクスプレソ(Expreso)』(2026年2月)におけるインタビューに基づくものであるとされる。
殺人統計との乖離
一方で、最も重要な暴力指標である殺人件数には大きな変化は見られない。2026年初頭2か月間の殺人件数は181件であり、2025年同時期の186件からわずか5件の減少にとどまっている。
この差異は極めて小さく、統計的には横ばいに近い状態である。したがって、行政が主張する大幅改善とは一致していない。
さらに2025年は1,276件を超える殺人が記録されており、2021年以降の上昇トレンドの延長線上にある状況である。
指標選択と統計解釈の問題
検証報道では、治安改善の主張における統計利用について複数の問題が指摘されている。
1. 指標の選択性(チェリーピッキング)
最大値である「73%減少」のみが強調され、より重要な「暴力死23%減少」や殺人統計が十分に参照されていない。
2. 地理的範囲の誤解
発言はロス・リオス県に限定されているにもかかわらず、外部で「エクアドル全体」として拡大解釈される事例が見られる。
3. 殺人統計との非整合性
犯罪統計のうち最も信頼性の高い指標とされる意図的殺人(homicidios intencionales)では、同様の改善傾向は確認されていない。
客観統計との整合性
エクアドル国家警察(Policía Nacional)の統計および国際的な評価では、2025年は近年で最も暴力的な年とされている。また2026年2月11日時点の国際的評価では、以下のような深刻な状況が報告されている。
- ババオヨ(Babahoyo):世界で2番目に暴力的な都市(人口10万人あたり166件の殺人)
- ケベドも上位に位置
- ロス・リオス県全体で1,160件以上の殺人が記録
これらのデータは、治安の構造的改善が進んでいない現実を示している。
ノボア大統領、ケベドの軍撤退に反発し即時再配置を命令
2026年3月19日、ダニエル・ノボア大統領は、ロス・リオス県ケベド市の見本市施設エキスポ・ケベド(ExpoQuevedo)から軍部隊が退去させられた事態を受け、同施設への軍の即時復帰を命じている。同地域は当時、非常事態宣言および夜間外出禁止令の対象下にあり、治安上の重要拠点と位置付けられていた。
この命令は「公共安全および国家法(Ley de Seguridad Pública y del Estado)」第37条に基づくものであり、ノボア大統領はSNS「X」を通じて、「国民の安全を守り、国家を破壊しようとする勢力と戦うための措置」であると説明した。政府側は、軍の撤退が組織犯罪の影響が強い地域における作戦能力を損なうと判断し、その是正が必要であると位置付けている。
問題の発端は、同日、ケベド商工会議所(Cámara de Comercio de Quevedo)の要請により、軍部隊が施設から撤収したことである。この要請は3月16日付の文書に基づき、第26特殊部隊群セネパ(Grupo de Fuerzas Especiales N.° 26 Cenepa)司令部に対して出されていた。文書では、ロス・リオス県庁(Prefectura de Los Ríos)と連携して進められる展示・イベントセンター建設工事の開始に伴い、施設を使用可能な状態にする必要があるとされていた。
商工会議所会長マルコ・フランコ(Marco Franco)は、このプロジェクトがすでに発注済みであることを認めつつも、「外出禁止令と工事時期が重なるとは想定していなかった」と説明している。また同氏は、同施設が過去にも軍の宿営地として使用されてきた経緯に触れ、工事完了後には再び軍に提供される予定であると強調した。
一方、この問題には県当局も関与している。ロス・リオス県知事(Prefecto)ジョニー・テラン(Johnny Terán)は、当該建設計画が2025年10月31日に県議会(Consejo Provincial)で承認され、適法な入札手続きを経て進められていると説明した。ただし、契約は依然として正式締結段階にあり、商工会議所への正式通知も行われていないため、実際の工事は未着手であると述べ、軍撤退の責任を否定している。
こうした状況を受け、ノボア大統領は強い不満を表明した。同大統領は、軍が任務を遂行している最中に「戦略的拠点」から排除される決定が下されたことに疑問を呈し、ケベード商工会議所および県庁の対応を批判した。
さらに、「戦うことを避ける当局の無関心は容認できない」と述べ、中央政府と地方機関の間における治安対応の認識の相違を浮き彫りにした。
Mientras nuestras Fuerzas Armadas cumplen su misión, respaldadas por su Presidente, hay quienes han decidido expulsarlas de puntos estratégicos, esta vez en Los Ríos.
— Daniel Noboa Azin (@DanielNoboaOk) March 19, 2026
Estamos aquí para defender al Ecuador sin retroceder. No podemos tolerar la indiferencia de las autoridades que…
ケベド爆発事件:住宅襲撃で3人死亡、恐喝と誤認標的の可能性
ケベド市ヴェヌス・デル・リオ地区グリト・デ・リベルタ(Grito de Libertad)地区および20・デ・フェブレロ協同組合(Cooperativa 20 de Febrero)周辺では2026年4月10日未明、爆発物を用いた襲撃事件が発生している。この攻撃により3人が死亡し、その中には未成年者も含まれているほか、少なくとも4人が負傷した。
緊急通報システムECU911(Sistema Integrado de Seguridad ECU 911)によれば、通報は午前0時51分ごろに受信され、爆発は午前1時30分ごろに発生した。国家警察などの関係機関が直ちに現場へ出動し、対応に当たった。
警察の初期情報および住民の証言によれば、武装した複数の人物が車両で現場に到着し、複数の住宅に向けて発砲した後、住宅の一つに爆発物を投げ込んだ、あるいは設置して爆破したとされる。爆発音は数ブロック先まで響き渡り、周辺住民に強い衝撃を与えた。
爆発により少なくとも2棟の住宅が完全に破壊され、さらに3棟目にも構造的損傷が生じた。爆風は広範囲に及び、隣接住宅の屋根や壁も損壊し、現場にはコンクリート片や金属片が散乱するなど被害の大きさが確認されている。
死亡したのはジェニファ・モリナ(Jennifer Molina、45歳)、その息子マテオ(Mateo、13歳)、および近隣住民クレベル・ティセ・モンタチャナ(Kleber Tixe Montachana、52歳)である。目撃情報によれば、現場付近にいた少年が加害者に追跡され自宅に逃げ込んだ後、外に連れ出されて射殺され、その銃声を聞いた母親と近隣住民が救助に向かった直後に爆発が発生し、3人が死亡したとされる。負傷者4人は爆風の影響によるもので、市内の医療機関へ搬送された。
住民の証言では、今回の攻撃は特定の犯罪組織関係者を標的としていたものの、家屋を誤認した結果、無関係の住民が巻き込まれた可能性が指摘されている。またロス・リオス県内では恐喝事件が頻発しており、本件もその延長線上にある可能性が否定されていない。実際、前週にも同地域で類似の攻撃が発生しており、暴力の連鎖が続いている状況である。
現在、国家警察は専門部隊を投入し、犯人の特定および犯行動機の解明に向けた捜査を進めているが、地域住民の間では報復への恐怖から沈黙が広がっている。なお、ロス・リオス県は政府による非常事態宣言の対象地域の一つとなっている。
本事件は、標的型犯罪が誤認によって一般市民を巻き込む形で発生した典型例であり、攻撃手法の過激化と無差別化が進行している現状を示している。ケベド市で発生した今回の爆発は、同県全体に広がる深刻な治安悪化の実態を象徴する事件である。
長期推移:2022年を境とする構造的悪化
年初2か月の殺人件数の推移を見ると、2022年を境に構造的な変化が発生している。
2021年以前は極めて低水準で推移しており、2014年は38件、2017年は21件、2018年は9件といずれも40件未満であった。
しかし2022年以降、件数は急増し、その後は高止まり状態が続いている。2026年の181件という数値はわずかな減少を示すものの、構造的な改善とは言えず、暴力水準は依然として歴史的高水準にある。
犯罪歴と被害者属性の実態
被害者の属性分析では、犯罪歴との直接的関連は限定的である。
ファクトチェックサイト「ルパ・メディア(Lupa Media)」によれば、2024年のエクアドル全体では殺人被害者のうち犯罪歴を有していたのは約2割にとどまり、7,063件中1,486件のみが該当している。
2025年にはさらにこの傾向が強まり、故意殺人被害者の81%は前科を有していなかった。すなわち約8割の被害者は司法記録を持たない一般市民であった。
さらに2019年から2025年までの長期データでも、被害者の57%から81%が犯罪歴を持たないという一貫した傾向が確認されており、暴力の影響が非犯罪層にも広く及んでいる構造が示されている。
参考資料:
1. Atentado con explosivos y ataques armados agravan la crisis en Los Ríos, la tercera provincia más violenta del país
2. Explosión en Quevedo habría dejado tres muertos y varios heridos
3. Explosión en Quevedo deja tres muertos y cuatro heridos
4. Atentado con explosivos y ataques armados agravan la crisis en Los Ríos, la tercera provincia más violenta del país
5. La reducción del “73% de la inseguridad” atribuida a Galo Lara no aplica a todo Ecuador y omite el dato clave de homicidios
6. Noboa ordena el regreso inmediato de las Fuerzas Armadas a ExpoQuevedo tras su desalojo en Los Ríos




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