（Photo: ruperto miller/ flickr）
日曜日次期大統領として選出されたホセ・ラウル・ムリーノ・ロビラ（José Raúl Mulino Rovira）は、1959年6月13日チリキ県ダビデ生まれの64歳の弁護士だ。
地元放送局『TVN』はホセ・ラウール・ムリーノを「笑顔が少なく、率直だが忠実な」政治家だと評している。しかし、彼を「強引な」男だと評する人々もいる。彼に対する批判の中には、彼が治安大臣を務めていた過去に、反政府デモに対する警察の弾圧がある。2009年7月当時、ムリーノは内務大臣兼法務大臣に任命されていた。2010年7月、ボカス・デル・トロ（Bocas del Toro）で起きたバナナ労働者の抗議デモを弾圧し、死者2人、負傷者数十人、逮捕者100人以上を出した。
しかし何よりも、彼はリカルド・マルティネリ（Ricardo Martinelli）前大統領とともに政治キャリアの大半を築き、最終的に勝利した大統領選で彼の後継者となった指導者として多くの人に見られている。彼をマルティネリの盟友とみなす有権者がいる一方で、ムリーノが亡命を求めたパナマ・シティのニカラグア大使館に難民として収容されていたにもかかわらず、ムリーノの選挙戦で中心的な役割を果たした前国家元首の「操り人形」というレッテルを貼る有権者もいる。
ムリーノ・ロビラ自身、自分の性格は簡単ではないと認めている。一方、妻のマリセル・コーエン・デ・ムリーノ（Marisel Cohen de Mulino）は、家族の中で夫からの笑顔、ハグ、サポートがないことはないとインタビューで答えている。
ムリーノ・ロビエラは、政治の世界に足を踏み入れたのは父親の影響ではなく、「1987年に非常に状況的かつ個人的な方法で」だったとTVNのインタビューで明言している。彼の父ホセ・ムリーノ・ロビラ（José Mulino Rovira）はコスタリカと国境を接する同州の元知事を務めていた。17歳まで同州のコンセプシオン市に住んでいたが、その後、法律と政治学を学ぶことを決意し、1982年にサンタ・マリア・ラ・アンティグア・カトリック大学を卒業した。
「市民十字軍（cruzada civilista）が誕生したとき、私は適切な場所にいた。パナマ経済同友会の役員として働き始め、やがて会長になった」と語るムリーノは連帯党（Partido Solidaridad）と愛国同盟（Unión Patriótica）に参加した。後者は2011年3月27日にカンビオ・デモクラティコ（Cambio Democrático）と合併した。ギジェルモ・エンダラ（Guillermo Endara）政権（1989年～1994年）では外務副大臣を務め、ディーン・R・ヒントン（Deane R. Hinton）駐パナマ米国大使（1990年～1994年）に公式会合で半袖シャツではなくジャケットを着用するよう求めたチームの一員でもあった。
地元紙『ラ・プレンサ（La Prensa）』は、彼のつかみどころのないドライな性格から「スターリン」というあだ名で呼ばれているとした。しかし彼の政治的イデオロギーは、今は亡きソビエト連邦の元大臣会議議長のそれとはかけ離れている。ムリーノは自らを「中道右派」と定義し、実業家で元大統領候補のサミュエル・ルイス・ガリンド（Samuel Lewis Galindo）を政治的師と仰いでいる。母親はよく彼に微笑むように言っていたとラ・プレンサは書いている。
また彼は「法と秩序」を標榜していると述べている。実際、ムリーノ自身、選挙運動の主なバナーの中で、何千人もの人々がアメリカへの移民を試みるために横断する危険なルートであるダリエン・ギャップの閉鎖を強調している。ムリーノはまた、自国が以前に維持したと信じる経済的進歩を回復させることも約束している。彼は、パナマが中米で最初の地下鉄を建設したことに加え、この地域で最も経済成長率の高い国として統合された、彼の政治的後援者の政府の「良い時代」に戻ると断言している。
ホセ・ラウルとヴェロニカは、海事法を専門とする法律事務所ムリーノ＆ムリーノ（Mulino & Mulino）を経営している。マリセル・コーエンと結婚し、4人の子供と4人の孫がいる。双子のモニク（Monique）とアレクサンドラ（Alexandra）は、ペットの世話と餌やりを専門とするビジネスを経営している。ソフィア（Sofía）、サミュエル・イグナシオ（Samuel Ignacio）、イザベラ・ミア（Isabella Mía）、カミラ（Camila）の祖父でもある。
ムリーノは、脊椎の手術を3回受け、その後、悪い医療処置で肺塞栓症を3回起こしたとされている。2001年2月19日、自宅近くのコロナド乗馬クラブで落馬したことが原因だった。
彼はフアン・ディアス・デ・アントン（Juan Díaz de Antón）に「ミ・レガーロ（Mi Regalo）」と呼ばれる牧場を所有し、そこで牛を飼育している。ムリーノが大統領を目指すのは今回が初めてではない。2018年、カンビオ・デモクラティコの大統領候補として予備選に出馬し、当時の同党と対立、65％対21％でロムロ・ルー（Rómulo Roux）に敗れた。
2021年、カンビオ・デモクラティコを離党し、リアリザンド・メタス党（Realizando Metas）の設立を署名で支援した。正確には、リカルド・マルティネリ前大統領が創設したこの政治グループの旗手であるが彼はマルティネリの友人であると主張している。
ボカス・デル・トロでの弾圧で取り調べを受けたことがある。また彼のキャリアは、いくつかの汚職スキャンダルにも揺れてきた。2014年から2019年にかけて行政府を率いたフアン・カルロス・バレラ政権が発足した当初、彼はイタリア企業フィンメカニカとの関係で、19台のレーダー購入の手数料を受け取ったとして横領罪に問われた。その件で彼は2016年4月まで7ヶ月間拘留されたが、2017年8月にその件は無効となった。地元紙は、当時の反汚職検察官のスレイカ・ムーア（Zuleyka Moore）が適切な司法権限を持たずに捜査を行ったという理由で、彼の事件は無効となったと指摘している。
ムリーノは、自分の人生のこの章を許すことも忘れることもないと示しているが、選挙運動では、誰も「迫害」しないと約束もしている。しかし、マネーロンダリングで有罪判決を受け、現在パナマ・シティのニカラグア大使館に滞在しているマルティネリについては、現政権が彼のニカラグアへの渡航を拒否したことを受け、ムリーノは「法律が要求するように」「彼を助ける」ために最善を尽くすと述べている。
5月5日（日）の選挙投票後、ムリーノが最初にとった行動は、前大統領を訪ねるために外交本部に出向くことだった。
マルティネッリの伴走者だったムリーノは、汚職とマネーロンダリングの罪で約11年の刑期を言い渡された前大統領の失脚を受けて、中道右派のアリアンサ党とリアリザンド・メタス党の大統領候補となった。それまではマルティネリが大統領に返り咲くことが有力視されていたが、いくつかの世論調査が示すように、その支持はすぐにムリーノに傾いた。この交代劇は当初、選挙管理委員会によって承認されたが、その後、カリスマ・カラマニテス・テスタ（Karisma karamañites Testa）弁護士によって最高裁判所で争われた。最終的に、選挙2日前の5月3日（金）に、ムリーノは最高裁判所から候補者としての参加を許可された。
最高裁判所（Corte Suprema de Justicia：CSJ）は、選挙裁判所（Tribunal Electoral：TE）が発布し、カリスマ・カラマニテス弁護士が提訴していた2024年3月4日付本会議合意11-1の第2解決ポイントは違憲ではないとする判決を、賛成多数で下した。パナマの最高裁判所はこの判決を下すにあたり、「パナマ国民の主権的意思」がその決定を後押ししたと指摘し、民主主義、制度の完全性、社会の平和、市民の投票権を守ることの重要性を強調した。
学歴／職歴は以下の通り。
[教育]
– チリキ県ダビデのサン・ビセンテ・デ・パウロ大学で初等・中等教育を受ける。そして科学と文学の学士号を取得
-カトリカ・サンタ・マリア・ラ・アンティグア大学で法学と政治学を学び、1982年に卒業
-チューレーン大学で海事法の修士号を取得
[職歴および政治歴]
-同国を初めて統治したギジェルモ・エンダラ政権下で副大臣兼外務大臣（1989年～1994年）
-政府・法務大臣兼公安大臣（2009～2014年）
-最高裁判所判事補
-独裁政権に反対する活動家、市民十字軍の業界団体の代表
-カンビオ・デモクラティコとの合併前の連帯党と愛国同盟党の創設と発展に貢献
-連帯党創立者兼党首
-愛国同盟党第二副党首
参考資料：
1. ¿Quién es José Raúl Mulino, el presidente de Panamá?
2. ¿Quién es José Raúl Mulino, el hombre que llega a la Presidencia de Panamá bajo la sombra de Martinelli?
3. Este es José Mulino, el delfín de Martinelli que es nuevo presidente de Panamá
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