エクアドル:国民は真に戦う政府を求めている、ノボアへの支持率は

4月5日金曜日にメキシコ大使館を急襲したエクアドルのダニエル・ノボア(Daniel Noboa)大統領に対し、世界の指導者たちは衝撃と困惑を表明している。しかしながら国民からの反応は世界のそれとは少し違う可能性がある。つまり有権者が期待し、票を投じた、手段を選ばない犯罪との戦いがそこで行われた可能性がある。

エクアドルのカサ・グランデ大学でコミュニケーション・プログラムのコーディネーターを務める政治コミュニケーション・コンサルタントのカルロス・ガレシオ(Carlos Galecio)は、「ノボア大統領は国民に強いメッセージを発した。「非常に強力なイメージアップだ」と語った。

 

エクアドル国民は前回の選挙で、国際的な麻薬カルテルの存在感が増すにつれ、蔓延する汚職や強盗、誘拐、恐喝、殺人に辟易し、行動派を求めていた。防弾チョッキ、サングラス、レザージャケットを身にまとい、時折スマートカジュアルな白いTシャツを着るノボアは、今のところその役割を果たしているようだ。不法侵入者の足止めが大使館への侵入を意味するのであれば、それでも構わないと、週末に取材に応じたエクアドル人はAP通信に語った。

ノボアが受け継いだのは、必要なとき以外は家から出ない、犯罪被害者をほとんど誰もが知っている、移住を考える人が多い国である。このような決断と経験を裏付ける統計がある。昨年はエクアドル史上最も流血の多い年となり、7,600件以上の殺人事件が発生した。

 

急増の原因は複雑だが、コカインが主な原因だ。カルテルに支援されたギャングたちは、通りや刑務所、太平洋への麻薬ルートの支配権をめぐって争っている。州の財源が減少し、借金が急増し、政治的内紛と汚職が社会・法執行プログラムに資金不足をもたらした。そしてCOVID-19の大流行は、飢えた子どもたちや失業した大人を犯罪グループの格好の新兵に仕立て上げた。

ノボアはこれに対し、警察と軍隊の装備を増強し、エルサルバドルのナイブ・ブケレ大統領が建設したのと同様の刑務所を建設することを約束した。また、20以上の犯罪グループをテロ組織とみなす政令を発布し、4月の国民投票では、街頭パトロールや刑務所を管理する軍の権限を拡大するよう有権者に求める予定である。

エクアドルに本社を置く世論調査会社Cedatosの最近の調査結果によると、回答者の3分の2以上がノボアの大統領職を支持している。Ipsosデータもまた63%の国民がノボア政権を支持している。しかし最新の結果はメキシコと断交を前に行われていることから、例えば国内の非合法武装勢力との戦いや緊急経済対策を支持する人が多いとは言えるかもしれないが、今回の外交問題へのリアクションに対してもポジティブだったのかと言うことについては言い切れない。

Cedatosの調査によると国民が最も興味を持っているのは蔓延する暴力であり、腐敗や麻薬組織は8項目中4番目の関心事となっている。一方のIpsos統計では最も多くの人が雇用に対する不安を抱え、続くのが治安や暴力、そして汚職と続く。

 

エクアドル最大の財産のひとつを受け継ぐ36歳のノボアは、8月の特別選挙で予想外の勝利を収め、11月に大統領に就任した。彼は左派のラファエル・コレア元大統領の子飼いを破ったのだが、コレア自身はベルギーに移住し、そこに亡命することで汚職の有罪判決に関連する実刑判決の服役を免れた。

警察は前副大統領ホルヘ・グラスを逮捕するため、首都キトのメキシコ大使館に入った。ノボアは月曜日、この作戦に関する最初のコメントとして、「国家の安全、法の支配、犯罪者、汚職人、麻薬テロリストに対するいかなる不処罰も拒否する国民の尊厳を守るために、例外的な決定を下した」と述べた。また、「私の義務は司法制度の判決に従うことであり、非常に重大な犯罪に関与した受刑者に亡命を許すことはできない」と述べた。

外交施設はウィーン条約により外国の領土とみなされ「不可侵」が保障される必要がある。つまりホスト国の法執行機関は大使の許可なく立ち入ることは許されない。メキシコは、ハーグの世界法廷で家宅捜索に異議を申し立てる予定だ。それでも、ノボアの武力行使はすぐに国内で賞賛を浴びた。

「私はノボア大統領の行動に賛成だ。勇気ある行動だと思うし……彼をより強くすることになると思う」と大学教授のガブリエラ・サンドバル(Gabriela Sandoval)は語った。「優先すべきは、掃除、消毒、ノボア大統領のような重要なプロセスを継続し、家を整えること」だと述べる。

エクアドルでは2月に大統領選挙が行われる。ノボアは再選の可能性がある。ノボアへの信頼は厚く、企業グループは、今回の襲撃事件に対する世界的な非難が、商業や、すでに茨の道となっているエクアドルとメキシコの貿易協定交渉に影響を与えることはないだろうと考えている。

エクアドル・メキシコ商工会議所のロベルト・アスピアズ(Roberto Aspiazu)副会頭は、「これらの政治的、時事的な問題は「遅かれ早かれ、貿易協定も現実のものとなるだろう」とし、問題は過ぎ去り、その後の関係は正常に戻ると語った。

ニューヨークを拠点とするシンクタンク外交問題評議会のラテンアメリカ研究フェロー、ウィル・フリーマン(Will Freeman)はメキシコとの外交断絶のタイミングは、エクアドルにとって特に不幸なことであり、ノボアの犯罪撲滅の野望にとっては逆効果になるかもしれないと言う。エクアドルは、4年ほど前まではラテンアメリカで最も穏やかな国のひとつだった。メキシコとコロンビアのカルテルが、エクアドルで確立した活動を拡大し、海岸沿いの都市に定住し、ワールドクラスの港を悪用して、近隣のコロンビアとペルーで生産された数億ドルのコカインを出荷するようになった。「エクアドルのギャングはそれ自体が犯罪勢力だが、メキシコのシナロアやハリスコの新世代カルテルと同盟を結んでいる」とフリーマンは言う。

ノボア政権時代、エクアドルに麻薬カルテル撲滅のための重要な装備と訓練を提供してきたアメリカは、先週の捜査後、国際法を遵守することの重要性を繰り返し強調した。ブライアン・ニコルズ(Brian Nichols)国務次官補(西半球担当)は、「米国は、外交使節団を尊重する国際法上の受入国の義務を非常に重く受け止めている。「我々はエクアドルとメキシコが友好的に解決することを奨励する」と述べている。

 

#エクアドル国内紛争 #フィト #ホルヘ・グラス

 

参考資料:

1. Ecuadorians wanted an action man. President Noboa has fulfilled that role — embassy raid included
2. INFORME OPINIÓN ECUADOR. Abril 3, 2024

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