ロシア:ベネズエラは戦略的パートナー、ラ米諸国は停戦を要求

(Photo by Vitalyazub, 2015

ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は、20日火曜日、ベネズエラはモスクワにとって「戦略的パートナー」であると述べ、あらゆる分野、特にエネルギー分野での二国間協力を強化する意向であると断言した。

「ベネズエラは我々の戦略的パートナーであり、ラテンアメリカと全世界における信頼できる同盟国である。我々はマドゥロ大統領と集中的に対話を続けている。国際的なアジェンダの主要な問題に対するロシアとベネズエラの立ち位置は近いか、完全に一致している」と述べるとともに、「ロシアは国内情勢の安定と国家主権の保護を目的としたベネズエラ政府の努力を支持する」と表明した。「今後もあらゆる分野、特にエネルギー、産業、インフラ、輸送、医薬品などの分野で二国間協力を強化していくつもりだ」であり、ベネズエラに対する「非合法な制裁措置」を拒否する一方、モスクワが「国内情勢の安定と国家主権を守るためのベネズエラ政府の努力」を支持していると強調した。

 

このコメントは9月20日に行われたロシア司法省の220周年記念式典、クレムリン宮殿で開催されるアディゲア(Adygea)、カバルディノ・バルカリア(Kabardino-Balkariya)、カラチャエボ・チェルケシア(Karachaevo-Cherkesiya)の各共和国の100周年記念行事で出されたものだ。大クレムリン宮殿のアレキサンダー・ホールで行われた式典においてプーチン大統領はベラルーシ、アルメニア、モルドバ、セルビア、エジプト、ポルトガル、キプロス、韓国、ベネズエラなど24カ国の大使から信任状を授与受けている。


(Photo: Telegram)

 

ラテンアメリカに関するプーチン大統領はコロンビアのグスタボ・ペトロ(Gustavo Petro)大統領も賞賛しており、同国についても「ラテンアメリカにおけるロシアの有望なパートナーであり、同国と友好的な関係を維持することに関心を持っている」と述べるとともに、「我々はペトロ新大統領の貿易、エネルギー、インフラ、科学技術、教育、文化の分野における関係強化に向けた建設的なアプローチに共感している」という言葉とともに、コロンビアで進行中の和平プロセスを引き続き支援すると述べている。

 

一方のラテンアメリカ諸国はウクライナでの戦争終結に向け一致団結している。20日の国連総会で演説したラテンアメリカの大統領のほぼ全員が、ロシアのウクライナ侵攻によって引き起こされた紛争を終わらせるための「即時停戦」「対話」を求めた。一方ウクライナを支配下に置こうとするプーチン大統領の決意を変えることを目的とし国際社会がロシアに科している制裁に対する批判もあった。ブラジル大統領ジャイル・ボルソナロ(Jair Bolsonaro)は、「これらの措置は、経済回復を損ない、欧州諸国を含む脆弱な人々の人権を脅かした」と振り返った上で、「紛争が持続または拡大すれば、安定、安全、人類の繁栄が深刻な危険にさらされる」と警告した。チリのガブリエル・ボリッチ(Gabriel Boric)大統領は、「ロシアのウクライナに対する不当な戦争を止める」ために必要なすべての行動を呼びかけた。左派指導者は、同じく戦争を非難したコロンビアのグスタボ・ペトロと一緒に、この戦争を非難している。ボリビアのルイス・アルベルト・アルセ(Luis Alberto Arce)大統領は、全世界を平和の土地にしようと呼びかけ、パレスチナ紛争など他の紛争についても、国際社会がロシアの侵攻に与えているのと同じ関心を払うよう要求した。アルゼンチンのアルベルト・フェルナンデス(Alberto Fernández)は、「我々は、いかなる紛争も平和的に解決することを常に提唱してきた」と述べるとともに、「すべての敵対行為を停止させることが急務である。このため、ロシア連邦のウクライナ領土への軍事進攻に端を発した紛争に対話を課し、平和を取り戻すために協力する必要がある」した。

欠席したメキシコのアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール(Andrés Manuel López Obrador:AMLO)大統領は、9月16日、インドのナレンドラ・モディ(Narendra Modi)首相、ローマ法王フランシスコ(Papa Francisco)、国連のアントニオ・グテーレス(António Guterres)事務総長からなる対話と平和のための委員会の設立を提案するなど、対話という選択肢に加わっている。AMLO曰くウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymir Zelenski)大統領、ロシアのプーチン大統領、および中国の習近平の間での直接会談の開始を求めている。ロシアーウクライナの戦争は世界的な食糧危機を深め、エネルギー価格の高騰とインフレを引き起こしている。

※個人的な意見は一切含んでおりませんのでご留意ください。

 

参考資料:

1. Rusia afirma que Venezuela es un socio estratégico para Moscú
2. Putin describe a Venezuela como un “socio estratégico”; quiere incrementar la cooperación bilateral
3. “Lo que dijo es una sarta de pendejadas, de estupideces”: Francisco Santos tras discurso del presidente Gustavo Petro ante la ONU

1 Comment

  • miyachan 09/22/2022 at 03:28

     中南米諸国の立ち位置がよくわかりました。コンパクトに纏めてくれてありがとう。米英などに追随する日本は、決して世界標準ではなく、アフリカなども西欧列強に侵略された過去があり、米国などとは一線を画している国が多いようですね。
    「力で領土を広げることは認められない」は、全く正しく「国際常識」でもありますが、かつて散々と武力で征服や植民地化をした国が、なんの反省や謝罪もせず今回の件で主張するのには腹を立てています。

    Reply

Leave a Comment

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください