コスタリカ:2月6日の大統領選挙、過去最多25名が出馬

2月6日開催のコスタリカ総選挙までいよいよ1週間を切った。有権者350万人は大統領、副大統領(2名)、議員(57名)を選ぶこととなる。今回注目すべきは大統領候補者数で、25名と過去最多となった。コスタリカ大学(Universidad de Costa Rica:UCR)の調査政治研究センター(Centro de Investigación y Estudios Políticos:CIEP)の事前調査によると決選投票に進むだろうことがわかっている。1回で大統領が決まるためには、40%以上の票を獲得しなければならない。4月3日に行われるだろう決選投票には第1回投票で得票率1位、2位だった2名が進む。なお、過去において決選投票に進んだのは2002年、2014年、2018年選挙だ。この国の大統領の任期は4年だ。

こんなにも多くの候補者がいることについて専門家は「このような状況に陥った理由の一つに、誰もが大統領職に就くことができるように感じていることによる」と分析をしている。

12月に行われたCIEP-UCRの全国調査によると、中道で国民解放党(Partido Liberación Nacional:PLN)のホセ・マリア・フィゲレス(José María Figueres)と中道右派で社会キリスト教統一党(Partido Unidad Social Cristiano:PUSC)のリネス・サボリオ(Lineth Saborío)がそれぞれ17.2%と15.1%で投票のトップを占めていた。最高選挙裁判所(Tribunal Supremo de Elecciones:TSE)主催の討論会も1月9日から12日で実施されるも「少数派の候補者にとっては価値があったが、それは単なる入り口であり、有権者にとって決定的なものにはならなかった」と国家政治(Observatorio de Política Nacional:OPNA)の観測所の研究助手アレハンドロ・モリーナ(Alejandro Molina)は述べている。なお政治アナリストのエウへニア・アギレ(Eugenia Aguirre)によると「最も関心を集めた話題は、経済と汚職の問題」だったという。汚職に関していえば11月にサンホセ(San José)のジョニー・アラヤ(Johnny Araya)を含む6人の市長が汚職容疑で逮捕されている。ちなみに先日発表されたこの国の腐敗認識指数(2021年度)は昨年より1ポイント上昇の58点とラテンアメリカの標準を上回わり、かつ世界180カ国中38位となっている(詳細はこちら)。

その他にも争点となっていたのはCOVID-19対策、環境対策だ。同国の環境は危機に瀕しており、討論会でもたびたび話題になっている。候補者は、脱炭素化への道、石油・天然ガスの採掘、トロール漁、エスカス協定の批准などについて、多様な見解を示した。特に石油・ガス採掘は、次期政権でも引き続き注目されるテーマとなっている。現政権は、昨年の国連気候変動会議において、デンマークと提携し、化石燃料の生産終了を目指す「Beyond Oil and Gas Alliance and Gas」を立ち上げた。

少し環境問題について各者がどのようなことを述べているか見ていこう。ビラルタは、2040年までに石油、天然ガス、石炭の使用を段階的に廃止する計画を立てており、議会でも化石燃料探査の永久禁止を率先して主張している。フィゲレスは、「エネルギー源としての石油の廃止は、コスタリカ国民の新たな偉業となる」と、化石燃料の放棄を支持する発言も行っている。新共和国党(Nueva República:PNR)の綱領で「グリーン原理主義」の危険性を警告しているファブリシオ・アルバラドは、別のアプローチをとっていて、石油・ガス開発は、雇用の創出や経済成長の促進につながると考え、資源開発産業振興のために国家と民間企業の戦略的提携を呼びかけている。サボリオは「太陽、風、水、バイオマス、有機物のエネルギー源としての利用など、クリーンなエネルギー源にもっと踏み込むべきだと思う。ただし、既存の科学的研究によれば、天然ガスが国に与える可能性を先験的に排除することはない」とメディアについて語っている。

次期大統領は、2019年にアルバラド現大統領の政権下でスタートしたコスタリカの「国家脱炭素化計画」を遂行することが任務となる。この計画の多くは、運輸部門からの排出をなくし、グレーター・サンホセ・メトロポリタンエリアにライトレール輸送システムを構築することに焦点が当てられている。コスタリカは最近、グリーン気候基金から2億7,130万ドルの資金提供の申し出を受け、この列車を購入している。コスタリカの脱炭素化のための資金調達としてグリーンボンドを支持しているホセ・マリア・ビジャルタ(José María Villalta)は2040年までに石油、天然ガス、石炭からの脱却を達成するために、国家脱炭素化計画の改訂、更新、実施を提案している。フィゲレスは、プロジェクトの実施計画を修正する予定としながらも、計画自体は支持している。

この国の経済に関してCIEP-UCRが発表した内容によると
14.4%:2021年11月時点のコスタリカの失業率。13.2%は不完全雇用の状態。いずれの指標も、女性の方が男性より4~5ポイント高い。
   92%:2020年11月から2021年にかけて、生活コストが悪化したと答えた人の割合。
となっている。

ホセ・マリア・フィゲレスは1994年から1998年までコスタリカの大統領を務めた。コスタリカの大統領に選出された20世紀における最年少の大統領だった。クリスチアナ・フィゲレス(Cristiana Figueres)元UNFCCC事務局長の弟で、ホセ・フィゲーレス・フェレール(José Figueres Ferrer)元大統領の息子でもある。フィゲレスは、2000年スイスの世界経済フォーラムの事務局長になるがフランスの通信会社アルカテルから90万ドル以上のコンサルタント料を受け取っていたことが明らかになり、2004年に辞任した。更に時効が成立するまでの10年間、国に戻らなかったことを12月の大統領候補者同士による討論会で強く非難された。「フィゲレスとサボリオは、自分たちに攻撃が集中することを承知で討論会に臨み、イデオロギー的ではなく、戦略的に、できるだけ損害を少なくしようとする保守的なアプローチを見せた」とモリーナは分析している。

国民解放党とキリスト教社会統一党は、1980年代半ばから2014年まで交互にこの国を収めていた。その後は現在の中道左派で市民行動党(Partido Acción Ciudadana:PAC)のカルロス・アルバラド・ケサダ(Carlos Alvarado Quesada)が大統領となっている。なおPACから出馬している候補ウェルメル・ラモス(Welmer Ramos)の人気は奮わない。

https://twitter.com/CiepUcr/status/1483817341272182786

 

CIEP-UCRが選挙2週間前に実施した調査でも、どの政治勢力が有権者から最も支持されるかはまだはっきりしたことはわからない状態だ。世論調査(誤差2.8ポイント)によるとフィゲレスが15%の支持を得て1位、2位はサボリオで14%、新共和国のファブリシオ・アルバラド(Fabricio Alvarado)が11%で続く。それを追うのは拡大戦線(Frente Amplio:FA)のホセ・マリア・ビジャルタが8%、社会民主主義の進歩(Progreso Social Democrático:PPSD)のロドリゴ・チャベス(Rodrigo Chaves)が6%、自由先進党(Liberal Progresista:PLP)のエリエセル・フェインザイ(Eliécer Feinzaig)が3%だ。残りの19人の大統領候補は、支持率が誤差の範囲内に収まっている。候補者たちが、決戦投票に進出できるかは、世論調査で未定としている層をどれだけ獲得できるかにかかっている。CIEP-UCRの世論調査によると、86%の回答者が投票する用意がある一方で、41%の回答者は誰に投票するか決まっていない。なお同調査では47%の人が「選挙直前の1週間」まで誰に投票するか決まらないとし、25%の人が「選挙当日」までいずれかの候補者に決定しないと言及している。コスタリカでは投票は義務制となっているが、棄権しても罰則はない。また、海外のコスタリカ人は大統領選に投票できることとなっている。過去の投票率は平均64.90%で、2018年の大統領選の第1回投票では投票率は65.70%だった。

 

上述の通り今回選挙は決選投票に持ち込まれる可能性が高い。ただこの国における第2ラウンドでは、第1ラウンドに勝った者が確実に勝てるというわけではない。事実2018年選挙ではファブリシオ・アルバラドは第1回投票で首位だったが、第2回投票でも負けている。同選挙では2カ月前の総選挙でわずか14%からしか支持を得ていなかったカルロス・アルバラドが勝利している。候補者が多すぎるので公約については、決選投票に進んだ人物のものを後日見ていくこととする。

なお、CIEPが実施した世論調査「もし明日が投票日だったら」から見えてきた特筆事項は以下の通り。
   95%:サボリオ候補に必ず投票すると答えた支持者の割合は、上位候補の中で最も高く、アルバラド候補は75%で上位候補の中で最も低い
   65%:COVID-19の感染者が多くても投票に向かうと答えた人たちの割合

 

パンデミックにより大規模なイベントを開催できなかったこともある。25人の候補者はコミュニティでの小さな活動、道路脇の看板やテレビ、ソーシャルメディア広告を通じてアピールをし続けた。コスタリカでは近年、税制改革や労働政策、マクロ経済プログラムへの反発から抗議デモが断続的に発生しており、今回の選挙はコスタリカにとって極めて重要なものになると予想されている。投票まで残すところあと1週間。どのような判断を国民は下すのだろうか。

立法府については各州の非公開の政党リストによる比例代表制で候補者が選出される。州の議席数は、人口に応じて4~19議席となっていることを付け加えておく。

 

大統領候補者は以下の通り。

José María Figueres – Partido Liberación Nacional
Lineth Saborío – Partido Unidad Social Cristiana
Fabricio Alvarado – Partido Nueva República
José María Villalta – Partido Frente Amplio
Rodrigo Chávez – Partido Progreso Social Democrático
Eliécer Feinzaig- Partido Liberal Progresista
Rolando Araya – Partido Costa Rica Justa
Welmer Ramos – Partido Acción Ciudadana
Greivin Moya – Partido Fuerza Nacional
Eduardo Cruickshank – Partido Restauración Nacional
Rodolfo Hernández – Partido Republicano Social Cristiano
Federico Malavassi – Partido Unión Liberal
Sergio Mena – Partido Nueva Generación
Rodolfo Piza – Partido Nuestro Pueblo
Oscar Campos – Partido Encuentro Nacional
Luis Cordero- Partido Movimiento Libertario
Oscar López – Partido Accesibilidad Sin Exclusión
Natalia Díaz – Partido Unidos Podemos
Carmen Quesada – Partido Justicia Social Costarricense
Christian Rivera – Partido Alianza Demócrata Cristiana
Maricela Morales – Partido Unión Costarricense Democrática
Martín Chinchilla – Partido Pueblo Unido
Roulan Jiménez – Partido Movimiento Social Demócrata Costarricense
Walter Muñoz – Partido Integración Nacional
Jhonn Vega – Partido De Los Trabajadores

 

参考資料:

1. A Look at Costa Rica’s 2022 General Elections
2. Costa Rica Presidential debate ends without a winner, analysts say
3. Estudio muestra empate en próximas elecciones en Costa Rica
4. Segunda ronda a la vista, confirma encuesta CIEP-UCR
5. Tres elecciones clave este 2022 definirán si América Latina da un viraje completo a la izquierda
6. Elecciones 2022 en América Latina: Un adelanto
7. Los candidatos presidenciales de Costa Rica se enfrentan por el ambiente

 

 

 

 

 

 

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