(Photo:EFE – Prensa de Abelardo de la Espriella)
イスラエルは中東でトルコとの対立を深める一方、南米ではコロンビアとの外交・経済関係の正常化を急速に進めている。その象徴となるのが、9月1日から実施される両国民に対する査証取得要件の相互免除である。イスラエル政府は8月20日、スペイン語の公式アカウントを通じてこの決定を発表した。今回の合意は、イスラエル外相ギデオン・サール(Gideon Sa’ar)とコロンビア外相オマル・ブラ・エスコバル(Omar Bula Escobar)の協議を経て決定された。
今回の措置は、2025年5月にイスラエル側が再導入し、その後コロンビア側も導入した相互の査証要件を撤回するものだ。両国関係は、ガザ地区をめぐる立場の違いから大きく悪化していたが、コロンビアで政権が交代したことで、外交関係と経済関係の修復が急速に進んでいる。
コロンビアでは8月7日、アベラルド・デ・ラ・エスプリエジャ(Abelardo De La Espriella)が大統領に就任した。これを境に、コロンビアとイスラエルの接近は一気に加速した。デ・ラ・エスプリエジャ政権の発足前から、ブラ外相とサール外相はワシントンで協議を重ね、両国関係を全面的に回復するための行程表を策定していた。この行程表には、新たな大使の任命、エルサレム(Jerusalem)におけるコロンビア外交公館の開設、食品、機械、肥料、石炭などの分野における商業関係の再活性化が含まれている。
さらに、関係正常化の動きは外交・経済分野だけにとどまらない。コロンビアが南アフリカによるイスラエルをめぐる国際司法裁判所(International Court of Justice:ICJ)の訴訟から撤退することや、ハーグ・グループ(Hague Group)から離脱することも、関係改善の一環として報じられている。こうした一連の動きは、前政権下で急速に悪化したイスラエルとの関係を、デ・ラ・エスプリエジャ政権が外交、経済、国際的な政策協調の各方面で転換しようとしていることを示している。
コロンビア、イスラエルとの関係を全面的に回復へ
イスラエル側では、すでにボゴタ駐在の新たな代表としてビビアン・アイゼン(Vivian Aisen)を任命している。アイゼンは職業外交官で、これまで北マケドニア大使を務めたほか、イスラエル外務省の中米担当部門を率い、ロンドン、チリ、ブリュッセル、欧州連合(EU)関連の外交使節団でも勤務するなど、多国間外交と地域外交の経験を重ねてきた。今回の赴任は、イスラエルとコロンビアの関係が急速に修復へ向かう中でのものとなる。
一方、コロンビア側もイスラエルとの外交関係を全面的に回復する方針を示しており、エルサレムへの大使館移転を進めている。両国は外交関係の再構築に加え、安全保障、貿易、経済、観光などの分野でも協力を拡大しようとしており、9月1日からの査証免除はその具体的な措置の一つとなる。
両国関係は、2024年5月に当時のコロンビア大統領グスタボ・ペトロ(Gustavo Petro)が、ガザ地区をめぐるイスラエルの軍事行動を理由にイスラエルとの外交関係を断絶したことで大きく悪化していた。当時のイスラエル大使ギラド・ダガン(Gilad Dagan)は、ペトロ大統領が関係断絶に向けて設定した期限に合わせ、2024年6月20日にコロンビアを離れた。
その後、イスラエルは2025年5月にコロンビア国民に対する査証要件を再導入し、コロンビア側も相互措置を取った。今回の合意は、こうした対立局面からの明確な転換を意味する。9月1日以降、コロンビア国民とイスラエル国民は、相手国への短期渡航に際して事前の査証取得を必要としなくなる。もっとも、査証免除は入国審査や滞在条件そのものを撤廃するものではなく、渡航者はそれぞれの国が定める入国要件を満たす必要がある。
ゴラン高原の承認も関係改善を象徴
8月10日、デ・ラ・エスプリエジャ大統領は、イスラエルによるゴラン高原の主権を承認した。ゴラン高原は1967年以降イスラエルが占領し、1981年にはイスラエルが一方的に併合を宣言したシリア領であり、その主権は国際的に広く承認されていない。コロンビアによる今回の承認は、2019年に米国がイスラエルの主権を承認して以来、これを認める2番目の国となる動きだった。これに対してサウジアラビアなど地域諸国からは反発が示された一方、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はコロンビア政府の決定を歓迎した。
さらに、8月10日にコロンビアで発生したマグニチュード7.4の地震へのイスラエルの対応も、両国の接近を印象づける出来事となった。地震では西部を中心に大きな被害が発生し、カリ(Cali)などでも建物の倒壊や救助活動が続いた。イスラエルは捜索・救助を担う82人の派遣団をカリに送り、デ・ラ・エスプリエジャ大統領はネタニヤフ首相との電話会談で支援に謝意を示した。
一方、このイスラエル側の支援はコロンビア国内で政治的な論争も引き起こした。ペトロ前大統領や左派・進歩派勢力は、イスラエルの派遣団による救助活動に批判的な立場を示し、支援の受け入れをめぐって新政権との対立が表面化した。イスラエル側は人道支援として活動していると説明しているが、今回の対応をめぐる論争は、イスラエルとの関係を急速に改善するデ・ラ・エスプリエジャ政権と、前政権以来の親パレスチナ的な立場を維持する勢力との政策的な隔たりを浮き彫りにしている。
こうした関係改善は、イスラエル側にとってもラテンアメリカ外交を強化する機会となっている。サール外相は2026年を外務省の「ラテンアメリカ年」と位置づけ、同地域の国々との外交、経済、観光関係の強化を進めている。コロンビアとの関係回復は、その中でも重要な成果の一つとして位置づけられている。
一方、トルコとは戦略的対立が深まる
このようにイスラエルがコロンビアとの関係を急速に改善する一方、トルコとの関係は逆方向へ進んでいる。両国の対立は、もはやガザ地区をめぐる政治的・外交的な対立だけでは捉えきれない。パレスチナ問題に加え、シリア情勢、エネルギー、地域インフラ、中東全体の勢力均衡をめぐる利害の衝突が重なり、長期的な戦略的競争へと広がっている。近年の分析でも、イスラエルとトルコの関係は、従来の外交的な応酬から、地域秩序そのものをめぐる競争へ移行しつつあると指摘されている。
過去20年間、特に2023年10月に始まったガザ戦争以降、両国の間では繰り返し緊張が表面化してきた。しかし現在の関係悪化は、レジェップ・タイイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdoğan)大統領とベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相の個人的な対立や、一時的な外交危機だけでは説明できない。イスラエルとトルコが、シリアを含む中東の将来の安全保障秩序について異なる構想を持つようになったことが、対立をより構造的なものにしている。
イスラエル側は、トルコが地域において攻撃的な野心を追求していると警戒し、米国製の先進戦闘機の取得などを含むトルコの軍事能力強化にも懸念を示している。一方、トルコはガザ、シリア、レバノンにおけるイスラエルの軍事作戦を強く批判し、イスラエルの政策が近隣諸国だけでなく、トルコ自身の国家安全保障にも影響を及ぼしていると主張している。
経済面でも関係悪化は鮮明になっている。両国間の貿易は大幅に縮小し、観光交流も落ち込み、外交関係も大きく後退した。こうした国家間の対立は社会レベルにも波及し、双方で相手国に対する敵対的な感情が強まっている。さらにシリアをめぐる軍事的緊張が加わったことで、イスラエルとトルコの関係は、従来の外交上の対立を超え、偶発的な軍事衝突さえ回避しなければならない段階に入っている。
パレスチナをめぐる根深い対立
トルコによるパレスチナへの関与は、公正発展党(Justice and Development Party:AKP)の発足によって突然始まったものではない。オスマン帝国の歴史的遺産に加え、初期のトルコ共和国が経験した歴史も背景にあり、トルコの歴代指導者はパレスチナを自国の歴史的・戦略的環境を構成する重要な地域として捉えてきた。トルコはパレスチナ側との政治的・外交的関係を長く維持しており、現在もガザ情勢をめぐって積極的な関与を続けている。
こうした歴史的背景の上に、現在のトルコとイスラエルの対立が重なっている。イスラエル側は近年、トルコがハマス(Hamas)に対する政治的・外交的な支援を提供していると強く警戒している。イスラエルは、トルコがハマスの幹部を受け入れてきたことや、同組織との接触を維持していることを問題視し、トルコ国内からハマスの活動が行われているとの主張も繰り返している。
とりわけガザ戦争以降、トルコ政府はハマスとの接触を維持しながら、停戦やガザ情勢をめぐる外交的取り組みにも関与している。2026年にもトルコの仲介努力の一環として、ハマス関係者との協議が行われている。
イスラエルにとっては、こうしたトルコの姿勢が、戦後のガザの安全保障体制をめぐる問題とも直結する。そのためイスラエルは、将来のガザ統治や安全保障においてトルコが重要な役割を担うことに強い警戒感を示している。一方、トルコは自国をガザ情勢の外交的仲介者の一つと位置づけており、この立場の違いが両国の対立を長期化させる要因となっている。
シリアで軍事的利益が衝突
現在、イスラエルとトルコの戦略的利益が最も直接的に衝突しているのがシリアである。
バッシャール・アサド(Bashar Assad)政権が2024年に崩壊して以降、トルコはアフマド・アル・シャラア(Ahmed al-Sharaa)大統領率いる新政権の主要な支援国の一つとなった。アンカラ(Ankara)はシリアの軍事・安全保障能力の再建を支援し、訓練や装備面での協力を進めている。これに対してイスラエルは、新政権そのものへの警戒に加え、トルコがシリアで影響力と軍事的プレゼンスを拡大することを強く警戒している。両国の軍事的活動が同じ地域で重なることで、偶発的な衝突を避ける必要性も高まっている。
イスラエルが特に懸念しているのは、トルコがシリアに長期的な戦略的足場を築くことで、イスラエルの軍事行動の自由が制約される可能性である。とりわけイランやシリア国内の武装勢力に対するイスラエルの作戦にとって、トルコの影響力拡大は新たな制約要因になり得る。こうした懸念が、シリアをイスラエルとトルコの戦略的競争の中心へと押し上げている。
その緊張が一気に表面化したのが2026年8月のアブ・アル・ドゥフール空軍基地(Abu al-Duhur Air Base)へのイスラエルによる空爆だった。イスラエルは、シリア側が同基地へのトルコ軍の展開を認めようとしており、イスラエルとの間で維持されてきた安全保障上の現状を脅かすとして攻撃を実施した。一方、トルコ側は、同基地への軍事展開をめぐるイスラエルの主張を否定した。
シリアのアサド・アル・シャイバニ(Asaad al-Shaibani)外相も、同基地にトルコ軍基地を設置する計画や、恒久的なトルコ軍の駐留計画は存在しなかったと説明している。同基地はシリア空軍が使用できるよう復旧作業が進められていたもので、トルコ軍将校が事前に訪問していたことは認めたものの、それは訓練や専門知識の交換を目的とする、継続中の軍事協力の一環だったとしている。また、施設は当時まだ十分に稼働できる状態ではなく、大部分が空いた状態だったという。
それでもイスラエルのイスラエル・カッツ(Israel Katz)国防相は、レジェップ・タイイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdoğan)大統領がトルコをシリアでの「危険な冒険」に引きずり込んでいると非難し、イスラエルの安全保障を脅かすいかなる主体も容認しないと警告した。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相も、イスラエル側がシリアに対して基地へのトルコ軍の駐留を認めないよう事前に警告していたと説明している。
これに対しトルコ国防省は、イスラエルによる空爆を「無謀」な行動と批判し、国際法を順守して攻撃を停止するよう求めた。そのうえで、シリアが自国の軍事能力とインフラを再建する取り組みを支援し、シリアの主権と領土的一体性を守るための関与を継続すると表明した。
シリアをめぐる対立は、単なる軍事施設の扱いをめぐる意見の相違ではない。トルコが新たなシリア政府を支え、その軍事・安全保障面での再建に深く関与する一方、イスラエルは自国の安全保障環境に影響を及ぼす勢力の拡大を阻止しようとしている。アブ・アル・ドゥフール空軍基地をめぐる一連の動きは、両国がシリアの将来像をめぐって異なる戦略を追求していることを明確に示す出来事となった。
エネルギーと地域インフラをめぐる競争
両国の利害衝突は、エネルギーやインフラ、さらには中東全体の勢力均衡にも及んでいる。
エネルギー分野では、トルコが、東地中海の天然ガスや電力をギリシャおよびギリシャ系キプロスを経由して輸送する、イスラエルが支援する構想に強く反対している。トルコ側は、この構想がトルコ系キプロス人の主張や権益を排除するものだとみている。
一方、イスラエルは、トルコとイラクが進める「開発道路(Development Road)」プロジェクトを、湾岸地域とイスラエルの地中海沿岸港を結ぶ輸送回廊に対抗する構想とみている。こうした認識の違いから、地域の物流やエネルギーをめぐる競争も、両国の戦略的対立を構成する要素となっている。
摩擦はアフリカの角にも広がっている。トルコはソマリアの領土的一体性を重視しており、イスラエルとソマリランドの関係強化や、バブ・エル・マンデブ海峡(Bab al-Mandab Strait)周辺にイスラエルの軍事施設が設置される可能性について、ソマリアの領土保全だけでなく、トルコ自身の地域的利益に対する挑戦とみている。
さらに、中東全体の勢力均衡も、両国の対立を規定する重要な要素となっている。
イスラエルがヒズボラ(Hezbollah)に対する軍事的成功やイランへの圧力を背景に、自国に有利な地域秩序を構築しようとする一方、トルコはパキスタン、サウジアラビア、エジプトなどとの協力を強化し、主要なイスラム諸国を中心とする地域安全保障の枠組みを構想している。
アンカラにとって、こうした枠組みは地域の安定を実現するための構想だが、イスラエル側では、トルコが地域での影響力を拡大し、イスラエルの戦略的優位に対抗しようとしているとの警戒が強まっている。エネルギー、輸送網、地域的な軍事・外交関係、そして中東の勢力均衡をめぐるそれぞれの利害が重なり合うことで、両国の対立は一時的な外交摩擦を超えた、より広範な戦略的競争となっている。
トルコの外交政策も変化
こうした対立の背景には、トルコの外交政策における長期的な変化もある。
冷戦期の大部分において、トルコは西側陣営との緊密な連携を追求し、イスラエルとも協力関係を維持していた。しかし、キプロスをめぐる西側同盟国との緊張や欧州統合への不満、さらに中東を取り巻く地域情勢の変化などを背景に、トルコは徐々に外交・安全保障上の戦略的優先事項を見直すようになった。
その後の歴代政権は、中東との政治、外交、経済面での関与を拡大し、地域の安定をトルコの国家安全保障と切り離せない問題として捉えるようになった。公正発展党(AKP)はこの流れをさらに加速させたものの、その方向性そのものを新たに生み出したわけではない。
トルコが地域への関与を深めるにつれて、その戦略的利益はイスラエルの利益と次第に衝突するようになった。トルコは国家安全保障を単なる領土防衛に限定せず、地域の貿易ルート、エネルギー安全保障、輸送網、難民の移動、周辺のアラブ・イスラム諸国の安定まで含む、より広い概念として捉えるようになっている。
一方、イスラエルは、こうしたトルコの地域的影響力の拡大や軍事的パートナーシップを、自国の安全保障環境に影響を及ぼす新たな戦略的脅威として警戒するようになっている。
ガザをめぐり逮捕状を要請
この対立は2026年8月、法的な領域にも広がった。
トルコは、5月にガザへ向かっていたグローバル・スムード船団(Global Sumud Flotilla)の活動家を乗せた船舶をイスラエルが攻撃・拿捕した事件をめぐり、ベンヤミン・ネタニヤフ首相らに対する逮捕状を発行した。トルコのアキン・ギュルレク司法相(Akın Gürlek)は、ネタニヤフ首相と別の容疑者について7月14日に逮捕状が発行されたと明らかにし、国際刑事警察機構(International Criminal Police Organization:INTERPOL)の赤手配書を発行するよう内務省に要請したと述べた。トルコ側は容疑としてジェノサイド、人道に対する罪、拷問などを挙げている。イスラエルは、トルコが主張するこれらの容疑を否定している。
5月、イスラエル軍はガザへ向かっていたグローバル・スムード船団の少なくとも2隻に発砲した。約50隻が参加していた船団の活動家らは地中海でイスラエル軍に拘束され、その後イスラエルの刑務所へ移送され、国外追放された。フランス、イタリア、オーストラリアも、この拿捕をめぐる司法手続きを開始している。当時、イスラエルの国家安全保障相イタマル・ベン・グビル(Itamar Ben-Gvir)が、拘束された船団の活動家らを挑発する動画を公開したことも強い反発を招いた。
これに対しネタニヤフ首相側は、エルドアン大統領によるイスラエルの指導者や兵士への脅迫は成果を上げないと反発し、エルドアン大統領を「反ユダヤ主義者」と非難した。さらにイスラエル側は、地域を不安定化させようとするトルコの試みに対して強硬に対応すると表明した。
エルドアン大統領府はこれに反発し、ネタニヤフ首相側の発言を「取るに足りない政治的策略」と批判するとともに、イスラエル政府がトルコを新たな脅威として見せようとしていると非難した。こうして両国の対立は、シリアなどをめぐる安全保障上の緊張に加え、ガザをめぐる法的措置と政府間の非難の応酬へと広がっている。
イスラエルによるガザでの殺害、人道支援活動員も標的に
イスラエル軍によるガザでの攻撃では、パレスチナ人だけでなく、食料を届ける人道支援活動員や医療関係者、国連職員も命を奪われている。2024年4月に発生したワールド・セントラル・キッチン(World Central Kitchen:WCK)の車列への攻撃は、その被害を象徴する事件の一つとなった。
2024年4月1日、イスラエル国防軍(Israel Defense Forces:IDF)は、ガザの民間人に食料を届けていたワールド・セントラル・キッチン(WCK)の車列を攻撃し、7人の人道支援活動員が死亡した。犠牲者は、英国人3人、ポーランド人1人、オーストラリア人1人、カナダ人1人、米国・カナダ二重国籍者1人だった。この事件について、イスラエル国防軍(IDF)は、車列に武装警備員が同行していたことが出発前に軍へ伝えられておらず、その警備員をハマスの戦闘員と誤認したと説明している。また、車列が軍と事前に調整していたルートから外れたとも主張した。イスラエル国防軍(IDF)は、この事件に至る過程には「重大な失敗」があったことを認めた。しかし、指揮官たちの判断は犯罪行為があったと合理的に疑うに足るものではなかったとして、刑事捜査を行わないと決定した。
これに対し、英国、カナダ、オーストラリアは、この決定を「恥ずべきこと」だと非難した。3か国の外相は、犠牲者とその家族には正義と説明責任が与えられるべきだとして、引き続き真相を追求すると表明した。
オーストラリアのペニー・ウォン外相(Penny Wong)は、攻撃についてなお多くの「未解決の疑問」があると指摘した。特に、最初の攻撃が「壊滅的な誤り」だったのであれば、なぜその数分後にさらに2回の攻撃が行われたのかという点を問題視した。ワールド・セントラル・キッチン(WCK)創設者のホセ・アンドレス(José Andrés)も、刑事捜査を行わない決定について「間違っており、私たち全員にとって痛ましい」と述べ、事件を調査する独立委員会の設置を求めた。
人道支援活動員の犠牲は一つの事件にとどまらない
提供された情報では、ガザは依然として「人道支援を行うには世界で最も危険な場所」とされ、2025年には186人の人道支援活動員が死亡したとされている。
人道支援活動員が殺害されることは、支援を担う個人の命が失われるだけではない。食料や医療などを必要とする住民への支援そのものが止まり、現地で活動を続ける人々にも強い萎縮効果を与える。
ワールド・セントラル・キッチン(WCK)をはじめ複数の慈善団体が支援活動を停止したことで、ガザでは支援を必要とする住民がさらに援助を受けにくい状況が生じた。
医療関係者や国連職員も犠牲に
イスラエル国防軍(IDF)は、ワールド・セントラル・キッチン(WCK)の車列への攻撃について刑事捜査を行わないと決定したのと同じ声明の中で、2024年にガザでイスラエル軍によって殺害された5歳のパレスチナ人少女ヒンド・ラジャブ(Hind Rajab)と、その親族6人の死亡事件については刑事捜査を行うと発表した。
さらに、2025年3月に殺害された15人のパレスチナ人についても捜査するとした。この15人には医療関係者と国連職員が含まれており、遺体は1週間後、押しつぶされた車両のそばにある浅い墓から発見された。
つまり、ガザでは食料を届ける人々だけでなく、医療に携わる人々や国連職員も殺害されている。
こうした被害は個々の人道支援活動員への攻撃だけにとどまらず、医療施設や医療活動にも及んでいる。
提供された情報によれば、紛争開始から約6か月の時点で、世界保健機関(World Health Organization:WHO)はガザ、ヨルダン川西岸、イスラエル、レバノンにおける医療施設・医療活動への攻撃を900件以上確認していた。これらによって736人が死亡し、1,014人が負傷したとされている。また、当時ガザにあった36の病院のうち、部分的にでも機能していたのは10施設だけだった。
ガザ市のアル・シファ病院(Al-Shifa Hospital)もイスラエル軍による約2週間の軍事作戦を受けた。アル・シファ病院はガザ最大の病院で、750床、26の手術室、32の集中治療室、透析部門、中央検査室を備えていた。
世界保健機関(WHO)は同病院への立ち入り許可を求めていたが、当時の状況についてテドロス事務局長は「壊滅的」と説明した。
殺害の規模を示す数字
ガザでの被害を一つひとつの事件として見ると、ワールド・セントラル・キッチン(WCK)の7人、ヒンド・ラジャブと親族6人、医療関係者や国連職員を含む15人という数字になる。しかし、提供された情報を合わせると、被害の規模はさらに大きい。
2025年には186人の人道支援活動員が死亡し、医療施設や医療活動への攻撃では736人が死亡、1,014人が負傷したとされる。さらに、子どもやその家族、医療関係者、国連職員も殺害されている。
ワールド・セントラル・キッチン(WCK)の7人の死亡について、イスラエル国防軍(IDF)は自ら「重大な失敗」があったと認めながら、刑事捜査は行わないと決定した。この事件が示しているのは、一度の誤認によって人道支援活動員が死亡したという事実だけではない。ガザでは、食料を届ける人々、医療を提供する人々、国連の活動に従事する人々、そして子どもやその家族までがイスラエル軍の攻撃によって命を奪われてきた。
その被害は一つの事件では終わらず、数多くの人命が失われる規模へと広がっている。
対立と接近が同時に進むイスラエル外交
現在のイスラエル外交には、一見すると対照的な二つの動きが同時に進んでいる。
一方では、コロンビアとの関係を急速に正常化し、査証免除、外交関係の回復、大使の任命、エルサレムへのコロンビア大使館開設、貿易関係の再活性化などを進めている。コロンビア政府によるゴラン高原に対するイスラエルの主権承認も、両国の接近を象徴する重要な決定となった。
その一方で、トルコとは、ガザ、シリア、エネルギー、輸送、地域安全保障をめぐる対立が深まり、シリアでの軍事的接触が偶発的な衝突につながる危険性も高まっている。
ただし、両国が直接的な全面戦争に向かう可能性は依然として低い。トルコは北大西洋条約機構(North Atlantic Treaty Organization:NATO)の加盟国であり、イスラエルにとってもトルコとの直接的な軍事衝突は大きな政治的・軍事的リスクを伴う。そのため、今後の競争は外交的圧力、経済措置、地域同盟、軍事的パートナーシップ、第三国を舞台とした影響力競争を中心に進む可能性が高い。
イスラエルとコロンビアの関係改善、そしてイスラエルとトルコの対立激化は、別々の外交事象に見える。しかし両者を合わせて見ると、イスラエルが国際的な外交関係を再構築する一方、中東では自国の安全保障と地域秩序をめぐる競争に直面している構図が浮かび上がる。特にシリアをめぐるトルコとの対立は、単なる外交上の不和ではなく、中東の将来的な政治・安全保障秩序を誰が主導するのかという、より長期的な戦略競争へと発展しつつある。
#BenjaminNetanyahu #DeLaEspriella #ジェノサイド #Gaza
参考資料:
1. Turkiye accuses Israel’s Netanyahu of ‘genocide’, seeks Interpol warrant
2. Turkey and Israel: Temporary Tensions or a Clash of Major Interests?
3. Israel warns Turkey against ‘dangerous adventures in Syria’
4. Colombia e Israel eliminan la visa mutua para sus ciudadanos a partir del 1 de septiembre
5. Western allies slam Israel for ending World Central Kitchen strike probe
6. UK, Canada and Australia condemn Israel for refusing criminal probe into aid worker killings in Gaza
7. Gaza: Aid worker killings prompt temporary halt to UN operations after dark

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