タイ:査証制度を見直し 観光促進と安全保障の両立を図る

(Photo: Xinhua / VNA)

タイ政府は、外国人旅行者を対象とした査証免除措置および査証優遇制度の見直しを進めている。タイ内閣は2026年5月19日、査証制度の改正案を承認した。

今回の改正は、外国人旅行者の入国手続きを円滑化する措置を維持しながら、制度の悪用を防止し、安全保障上の課題に対応することを目的としている。

タイ政府副報道官のプロイタレー・ラクサミーサンチャン(Ploytalay Laksameesangchan)は7月14日、査証政策の見直しについて発表した。今回の変更では、外国人旅行者向けの入国緩和措置を現在の状況に合わせて調整するとともに、安全保障上の抜け穴を解消し、査証制度の不正利用を防止する方針を示した。また、「一国一制度(One Country, One Entitlement)」の原則に基づき、重複する査証優遇措置の整理を進めるとしている。

 

93か国・地域対象の60日間査証免除制度を終了

改正後、タイはこれまで93の国・地域の国民を対象としていた60日間の査証免除制度を終了する。タイ政府は、制度変更にあたり、経済、安全保障、国際関係、相互主義などを考慮したとしている。

新制度では、各国・地域に適用される入国制度を一つに整理することで、複数の査証優遇措置が重複する状況を解消する。

 

30日間の査証免除対象を65か国・地域へ拡大

新制度では、59の国・地域の国民が、観光目的で30日以内の査証免除による入国が可能となる。さらに、インド、クロアチア、ブルガリア、キプロス、マルタ、モルディブの6か国を新たに追加し、30日間の査証免除対象は合計65の国・地域となる。日本も30日間の査証免除対象に含まれる。

30日間の査証免除対象には、アジアでは日本のほか、ブータン、ブルネイ、ジョージア、インドネシア、キルギス、マレーシア、フィリピン、シンガポール、台湾が含まれる。

ヨーロッパでは、オーストリア、ベルギー、チェコ、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイスランド、アイルランド、イタリア、ラトビア、リヒテンシュタイン、リトアニア、ルクセンブルク、オランダ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、スロバキア、スロベニア、スペイン、スウェーデン、スイス、トルコ、ウクライナ、英国が対象となる。

中東では、バーレーン、イスラエル、ヨルダン、クウェート、オマーン、カタール、サウジアラビア、アラブ首長国連邦が対象となる。

北米では、カナダ、米国が対象となり、オセアニアでは、オーストラリア、フィジー、ニュージーランドが対象となる。また、アフリカでは、南アフリカが対象となる。

 

15日間の査証免除制度を導入

モーリシャス、セーシェル、モルディブの国民は、観光目的で15日以内の査証免除による入国が認められる。

 

到着時査証制度を見直し

タイは到着時査証(Visa on Arrival:VoA)制度についても見直しを行う。改正後、アゼルバイジャン、ベラルーシ、セルビアの国民は、指定された入国地点で到着時査証(VoA)を取得できる。

一方、インド国民については、査証免除制度との重複を避けるため、到着時査証(VoA)の対象から除外される。

 

二国間査証免除協定は継続

タイは、一般的な査証免除制度とは別に締結している二国間査証免除協定については引き続き適用する。

14日間の査証免除は、カンボジアおよびミャンマーが対象となる。ただし、ミャンマーについては国際空港から到着する場合に限られる。

30日間の査証免除は、中国、香港、カザフスタン、ラオス、マカオ、モンゴル、ロシア、東ティモール、ベトナムが対象となる。

90日間の査証免除は、アルゼンチン、ブラジル、チリ、ペルー、韓国が対象となる。

 

長期滞在者は目的に合った査証確認が必要

新制度施行後、これまで60日間の査証免除制度を利用していた旅行者は、滞在計画の変更や適切な査証取得が必要となる可能性がある。

査証免除制度は観光目的での利用を前提としている。退職後の居住、リモートワーク、事業活動、投資、家族滞在、長期居住などを目的としてタイに滞在する場合は、目的に適した査証制度を確認する必要がある。

タイ政府は、旅行者の実際の滞在目的と利用する入国制度を一致させることを求めている。査証免除制度を利用した長期滞在や、観光目的以外での利用については、入国時に確認を受ける可能性がある。

 

新制度施行前に最新情報の確認を

改正された5つの関連規則は、官報(Royal Gazette)への掲載から15日後に施行される予定である。新制度施行前に入国した旅行者については、従来の規則に基づいて許可された滞在期間が適用される。

タイ政府は、今回の変更について観光発展を制限するものではなく、査証制度をより標準化し、透明性を高めるための措置であるとしている。

改正後の制度は、経済活性化、旅行の利便性、国際関係と国家安全保障の均衡を図りながら、査証優遇制度の不正利用や違法活動への利用を防止することを目指している。

 

参考資料:

1. Thailand adjusts visa policy to balance tourism and security
2. Thailand Approves End of 60-Day Visa-Free Stay

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