エクアドル:マルビナス4人の子どもの強制失踪・死亡事案への謝罪と国家責任の認定

(Photo:Marcos Pin/AFP)

エクアドル共和国政府は、4人の子どもの強制失踪および死亡事案について公式に謝罪し、国家の責任を認めた。本件はエクアドル空軍(Fuerza Aérea Ecuatoriana:FAE)の関与が認定された重大な人権侵害事案である。遺族は謝罪を受け入れた一方で、真相解明および司法的責任追及が依然として不十分であるとして、包括的な救済を求めている。

 

公式謝罪式典の実施

公式謝罪式典は2026年6月4日、エクアドル共和国グアヤキル市(Guayaquil)のマレコン、シモン・ボリバル(Simón Bolívar)に位置するロトンダ円形ホール(Hemiciclo de la Rotonda)で実施された。

式典にはエクアドル空軍(FAE)総司令官マウリシオ・サラサル・マチャカ(Mauricio Salazar Machuca)が出席し、エクアドル共和国政府を代表してラス・マルビナスの4人の子どもの強制失踪事案について公的謝罪を行った。一方、ダニエル・ノボア大統領(Daniel Noboa)と同国の国防大臣(Ministro de Defensa)ジャン・カルロ・ロフレド(Gian Carlo Loffredo)は公開謝罪式典に出席しなかった。

 

この式典は、ラス・マルビナス地区(Las Malvinas)の4人の未成年者の強制失踪事件をめぐり、憲法裁判所(Corte Constitucional)が軍(Fuerzas Armadas)に対して実施を命じたものである。

対象となったのはイスマエル・アロヨ・ブストス(Ismael Arroyo Bustos)、ホスエ・アロヨ・ブストス(Josué Arroyo Bustos)、ネヘミアス・アルボレーダ・ポルトカレロ(Nehemías Arboleda Portocarrero)、スティーブン・メディナ・ラホネス(Steven Medina Lajones)であり、いずれもエクアドル空軍(FAE)による拘束後に行方不明となり、その後遺体が発見された。

エクアドル空軍(FAE)総司令官は、エクアドル憲法裁判所(Corte Constitucional:CC)の判決に基づき、国家および軍による人権侵害の責任を認めた。この判決は、11歳から15歳のアフロ系未成年者に対する権利侵害について国家および軍の責任を認定したものである。

同総司令官は遺族および社会に対し、「恥と痛みをもって、国家が責任を負う」と述べ、本事案を「恐るべき事案」と表現した。またエクアドル軍が市民保護という本来の任務を果たせなかったことを認めた。

さらに式典では、エクアドル空軍(FAE)総司令官マウリシオ・サラサル・マチャカがエクアドル憲法裁判所(CC)の命令文を読み上げ、2024年12月8日の夜にイスマエル・アロヨ・ブストス、ホスエ・アロヨ・ブストス、ネヘミアス・アルボレーダ・ポルトカレロ、スティーブン・メディナ・ラホネスの自由を「違法かつ恣意的・不法に」奪ったことを認めた。

サラサル総司令官は「国家がこの恐るべき事案に対して恥と痛みをもって責任を負う」と述べた。また軍の行動および政府対応について「遅く、断片的かつ矛盾していた」と指摘し、国防省の過去の発言が被害者および家族を犯罪者として扱う偏見を助長したことにも言及した。

エクアドル空軍(FAE)総司令官は本謝罪を象徴的行為に終わらせない方針を示し、未成年者対応プロトコルの整備および人権教育の継続実施を進める意向を表明した。

 

事件発生と初期対応

事件は2024年12月8日、エクアドル空軍(FAE)のパトロール隊がイスマエル、ホスエ、ネヘミアス、スティーブンの4人を制止したことに始まる。政府および軍上層部によると、この対応は窃盗への関与を理由とする合法的な介入であり、当局は強制失踪の疑いを否定した。

2024年12月23日、国防大臣ギアン・カルロ・ロフレド(Giancarlo Loffredo、GCL)は、FAEによる4人の未成年者の拘束を認める一方、その理由は窃盗容疑に基づくものであったと説明した。しかし、この主張を裏付ける警察報告書は存在しなかった。

同日、統合軍司令官ハイメ・ベラ(Jaime Vela)およびFAE総司令官セリアノ・セバジョス(Celiano Cevallos)も同様の説明を支持した。一方、ダニエル・ノボア大統領(Daniel Noboa)は、4人を国家英雄とする提案を行う意向を示したが、実現には至らなかった。この発言は、当局が示していた説明と対立する内容であった。

その後の捜査により、4人の遺体はマングローブ林近郊で焼損した状態で発見された。司法解剖の結果、少なくとも3人の遺体に銃創が確認された。

検察は、窃盗容疑を裏付ける証拠を確認できないと結論付け、当該容疑には法的および技術的根拠が欠けていると判断した。

Photo:Radio Pichincha.

 

司法判断と軍関与の認定

本件を担当した裁判所は窃盗という主張を退け、2025年に未成年者の強制失踪の罪で軍人らに対し懲役30か月から34年8か月の刑を言い渡した。さらにエクアドル憲法裁判所(CC)は本件を国家責任事案と認定し、以下を命じた。

  • 国家およびエクアドル空軍(Fuerza Aérea Ecuatoriana:FAE)による公式謝罪の実施
  • 12月8日を未成年者追悼の日とする制度化
  • 内部手続および関連法制度の改革
  • 被害者の名誉回復および誤認言説の訂正

同裁判所は、国家が長期間にわたり被害者を犯罪者として扱う言説を放置したことも問題視した。

Photo:Marcos Pin/AFP

 

遺族の証言と式典の進行

式典は遺族の入場から始まり、会場の参加者は拍手でこれを迎えた。会場ではアフロエクアドルの伝統音楽であるチワロ(Chihualo)が演奏された。

一方、式典の最中には「子ども殺しの政府(Gobierno mataniños)」との声が会場から上がり、エクアドル空軍(FAE)総司令官は退場した。

遺族は謝罪を受け入れたものの、拷問疑惑を含む未解明の事項が残されているとして、事実解明および司法上の責任追及は依然として不十分であると主張している。そのため、包括的な真実の解明と正義の実現を求め、司法的責任の追及を継続している。

式典の中でスティーブンの父ロニー・メディナ(Ronny Medina)は精神的苦痛の深さについて語り、エクアドル人権擁護常設委員会(Comité Permanente por la Defensa de los Derechos Humanos、CDH)および地域住民への感謝を表明した。

イスマエルおよびホスエの父ルイス・アロヨ(Luis Arroyo)は赦しの姿勢を示した。

スティーブンの母シルバナ・ラホネス(Silvana Lajones)とイスマエルの母カティ・ブストス(Katy Bustos)は謝罪を受け入れた。

一方、ネヘミアスの母ヨハンナ・アルボレーダ(Johanna Arboleda)は、事件の真相解明の必要性を強く訴えた。

国連強制失踪作業部会(Grupo de trabajo sobre las desapariciones forzadas o involuntarias:WGEID)の特別報告者アナ・ロレーナ・デルガディージョ(Ana Lorena Delgadillo)は、本件を重大な人権侵害事例と位置付け、アフロ系児童に対する差別の影響を指摘した。また、同氏は行方不明者統計の整備と緊急捜索メカニズムの構築をエクアドルに求めた。

また、エクアドル国民擁護官(Defensor del Pueblo)のセサル・パラシオス(César Palacios)は、尊厳を欠いた安全保障の問題点と国家権力に対する制約の必要性を強調した。

式典終了時には他の行方不明者家族が説明を求めるプラカードを掲げ、警備要員との間で衝突が発生した。

#Los4deGYE #強制失踪

 

参考資料:

1. De víctimas a sospechosos: así criminalizó el Gobierno a los niños de Las Malvinas
2. General de la FAE ofrece disculpas por el caso de los niños de Las Malvinas y abandona el acto entre gritos de “Gobierno mataniños”
3. Ecuador: militares piden perdón por desaparición de menores

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