コロンビア:ボゴタ中心部で大規模な犯罪組織摘発作戦を指揮、172人逮捕、10組織を解体

コロンビアのアベラルド・デ・ラ・エスプリエジャ大統領(Abelardo de la Espriella:A.D.L.E)は2026年10月28日、首都ボゴタ(Bogotá)中心部で犯罪組織を標的とした大規模な治安作戦「ボスル・クラトス作戦(Operación Bosur-Kratos)」を指揮した。作戦では114カ所を捜索し、172人を逮捕したほか、10の犯罪組織を解体したと発表した。

 

未明から8つの行政区で一斉摘発

作戦は10月28日午前1時15分ごろに始まったとする報道がある一方、別の報道は午前1時30分ごろとしている。部隊はボゴタ首都警察本部から出動した。出動地点については、テウサキジョ地区(Teusaquillo)の警察本部とする報道と、エル・サリトレ地区(El Salitre)の警察本部とする報道がある。

警察の専門部隊や軍の部隊は、犯罪が多発する中心部のサンタフェ地区(Santa Fe)とサンベルナルド地区(San Bernardo)を重点的に捜索した。作戦は市内8つの行政区にまたがって実施された。大統領は警察本部にとどまり、作戦を監督した。

作戦に先立ち、前夜には警察本部で関係機関による計画会議が開かれた。現場の状況はドローンや警察官のボディーカメラを通じて指揮所にリアルタイムで送られ、大統領らが映像を確認していた。

作戦には国家警察(Policía Nacional)、陸軍(Ejército Nacional)、検察庁(Fiscalía General de la Nación)の技術捜査部門(Cuerpo Técnico de Investigación:CTI)が参加した。カルロス・フェルナンド・ガラン・ボゴタ市長(Carlos Fernando Galán)は、数カ月にわたる捜査を経て、中央政府と市当局が連携して実施した作戦だと説明した。

 

172人を逮捕、銃器や薬物などを押収

当局によると、逮捕者172人のうち、92人は犯罪組織への関与、29人は麻薬取引、22人は窃盗、15人は違法な銃器所持の疑いで拘束された。このほか、暴行、殺人、女性殺害、未成年者への性的虐待などに関係した容疑者も含まれている。逮捕者は司法手続きのため検察庁に引き渡された。

捜索では、銃器11丁、手りゅう弾3発、弾薬72発、携帯電話34台を押収した。薬物はマリフアナ約2.3キログラム、コカイン130グラム、コカイン塩基(バスコ)2.25キログラムのほか、合成麻薬「トゥシ(tusi)」約250回分を押収した。現金約1000万コロンビア・ペソも見つかった。

逮捕された容疑者には、殺し屋、恐喝犯、強盗犯、犯罪組織の指導者とみられる人物が含まれる。当局は、摘発対象の組織がボゴタで発生した約350件の殺人事件に関与した可能性があるとみている。

ジョバンニ・クリスタンチョ准将(Giovanni Cristancho)は、標的となった組織の一つがボゴタ南部で殺人、恐喝、誘拐、強制移住を引き起こしていた疑いがあると説明した。

 

犯罪組織の幹部とみられる2人を拘束

大統領は、ピコリノ(Picolino)とマイロ(Mailo)という通称で知られる2人の容疑者とも対面した。

ピコリノは、ウスメ地区(Usme)で活動していたとされる犯罪組織「ロス・インヘニエロス(Los Ingenieros)」の指導者と疑われている。同組織は殺人、恐喝、誘拐、強制移住、脅迫などに関与した疑いがある。当局は、ピコリノが女性への襲撃事件や、サンアンドレス島(San Andrés)出身者の誘拐事件に関係した可能性があるとみている。女性への襲撃では、被害者の手が切断されたとされる。

大統領はピコリノに対し、「法の裁きが最大限に下されることになる」と述べた。これは、スペイン語の「Te va a caer todo el peso de la ley」に当たる表現であり、法律に基づく厳しい処罰を受けることになるという意味である。

一方、マイロはサンタフェ地区のナイトクラブ「トロヤ(Troya)」で発生した手りゅう弾攻撃に関与した疑いがある。事件の説明については報道間で違いがあり、1月に発生した攻撃で1人が死亡し9人が負傷したとする報道と、1月22日の攻撃で路上販売員1人が死亡したとする報道がある。

大統領は、マイロの関与が司法手続きで立証されれば40年以上の禁錮刑を科される可能性があると述べ、最高警備レベルの刑務所に収容する方針を示した。また、同容疑者を「卑劣な殺人犯」と呼んだ。ただし、いずれも捜査段階の容疑であり、有罪が確定したわけではない。

 

サンタフェ、サンベルナルド地区で重点捜索

サンベルナルド地区では、麻薬取引の拠点として知られる「オジャ・デル・サンベルナルド(Olla del San Bernardo)」周辺を警察の専門部隊が巡回した。同地区では長年にわたり、少量単位の薬物販売や窃盗、乱闘などが問題となっていた。

サンタフェ地区では、警察官が通行人の所持品検査や店舗の立ち入り検査を行い、ドローンを使って建物の屋上も監視した。作戦の背景には、地域住民から寄せられた複数の苦情があった。殺し屋の活動拠点とされる場所や、資金洗浄に利用されている疑いのある店舗、拷問に使われているとされる住宅について情報が寄せられていた。ただし、これらは住民らから寄せられた疑惑であり、確認された事実として扱うことはできない。

ボゴタ市議会議員のアンドレス・バリオス(Andrés Barrios)は、中央政府と市当局が共同で対応する必要性を訴えてきたとして、今回の作戦を評価した。一方で、犯罪ネットワークや資金洗浄に関する捜査を継続し、情報提供者を保護するよう求めた。

バリオスは、中心部が7年間にわたり行政の放置や統治の不足によって悪化してきたと指摘した。また、大統領府「カサ・デ・ナリニョ(Casa de Nariño)」や国会、ボゴタ市庁舎からさほど離れていない場所に、麻薬販売拠点や犯罪の温床が残っている状況は受け入れられないと述べた。

ガラン市長も、犯罪組織が複数の地域で住民を脅かしてきたと説明し、大統領が国として支援することを約束したと明らかにした。

 

大都市の犯罪組織を標的とする「都市治安ブロック」構想

今回の作戦は、デ・ラ・エスプリエジャ大統領が約3カ月前にバランキジャ(Barranquilla)で発表した「都市治安ブロック(Bloques de Seguridad Urbana、Bosur)」構想の一環である。この構想は、国内の主要都市で犯罪組織に対する作戦を関係機関が連携して実施することを目的としている。

政府は、まず対象となる都市を選定し、その後、段階的に全国へ拡大する方針を示していた。大統領は公開した動画で、犯罪組織の幹部や活動ネットワーク、資金源を標的とし、犯罪の影響を受けた地域を取り戻す考えを説明していた。

今回の作戦は、都市部の犯罪ネットワークを対象とした法執行活動であり、農村部の武装組織に対する軍事作戦とは性格が異なる。都市部の作戦では、容疑者の逮捕と司法手続きが主な成果となる。今回押収された武器も小火器や手りゅう弾が中心で、薬物も小売り規模のものが多かった。

作戦後には、ガラン市長との会合が予定されていた。この会合は「ボゴタの奇跡(El Milagro de Bogotá)」と呼ばれ、午前11時ごろに公式の作戦結果を発表する予定だと報じられていた。

 

大統領、別の爆撃承認も公表

デ・ラ・エスプリエジャ大統領は同日未明、Xへの投稿で、ボスル・クラトス作戦の終了を報告するとともに、別の軍事作戦に関する爆撃を承認したことも明らかにした。

大統領は投稿で、「慌ただしい未明となった。数時間前、非常に重要かつ戦略的な爆撃を承認した。詳細は午前中に発表する。そして、ボスル・クラトス作戦も成功裏に終了した。まもなく、その映像を公開する」と述べた。

投稿の最後には、「祖国の奇跡へようこそ(¡Bienvenidos a la Patria Milagro!)」「祖国のために断固として(¡Firme por la Patria!)」といった愛国的な表現に続けて、「キリスト王万歳(¡Que viva Cristo Rey!)」と記し、自身のイニシャル「A.D.L.E」を添えた。「キリスト王万歳」は、イエス・キリストを王としてたたえるカトリック系の宗教的表現である。

大統領が言及した爆撃については、投稿時点で標的や場所、被害などの詳細は明らかにされていなかった。ボゴタ中心部での犯罪組織摘発作戦と、この爆撃が関連しているかどうかも示されていない。

政府は8月以降、少なくとも5回の空爆を実施しており、10月28日に大統領が言及した作戦は6回目に当たるとする報道もある。10月22日にはナリニョ県(Nariño)での攻撃により、民族解放軍(Ejército de Liberación Nacional:ELN)の構成員少なくとも8人が死亡したと伝えられていた。

農村部での軍事作戦では、カタトゥンボ(Catatumbo)、グアビアレ県(Guaviare)、ナリニョ県などで活動する民族解放軍(ELN)や、旧コロンビア革命軍(Fuerzas Armadas Revolucionarias de Colombia:FARC)の分派組織「第33戦線(Frente 33)」などが標的とされている。こうした作戦では空軍や軍の特殊作戦部隊が関与し、武装組織の拠点を破壊したり、構成員を殺害したりすることがある。ただし、被害や死者数は初期発表の段階で不確かな場合もある。

都市部の犯罪組織摘発では容疑者を逮捕して司法手続きに引き渡す一方、農村部の武装組織に対しては軍事力を用いて組織の弱体化を図る。大統領は両方の活動について、自ら関与し、Xで作戦の進展を発信している。

#AbelardodelaEspriella

 

参考資料:

1. Presidente Abelardo de la Espriella lideró operativos contra crimen organizado en centro de Bogotá
2. Colombia’s De la Espriella Leads Overnight Bogotá Raids: 172 Arrested in “Operation Bosur-Kratos”
3. Ellos son Mailo y Picolino, los delincuentes a quienes confrontó el presidente Abelardo de la Espriella durante el megaoperativo en Bogotá: “Te va a caer todo el peso de la ley”
4. “Autoricé un bombardeo muy importante y estratégico”, Abelardo De La Espriella anuncia golpe y habla de la ‘Megatoma en Bogotá’

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