[URGENTE] エクアドル:夜間外出禁止再実施、未明の殺人は前回措置で77%減少

(Photo:API)

エクアドル大統領のダニエル・ノボア・アシン(Daniel Noboa Azín)は、2026年5月3日から5月18日までの期間、夜間外出禁止令(toque de queda)を実施すると発表した。対象は9県および4つの自治体であり、毎日午後11時から翌午前5時まで移動が制限される。

今回の措置は、2026年に入ってから2回目の夜間外出禁止令であり、同年3月に実施された最初の措置の結果を踏まえて決定されたものである。3月2日にノボアが出した外出禁止令はその対象を沿岸部の4県、つまりグアヤス県(Guayas)、エル・オロ県(El Oro)、ロス・リオス県(Los Ríos)、サント・ドミンゴ・デ・ロス・ツァチラス県(Santo Domingo de los Tsáchilas)を対象とするものだった。この措置は2026年3月15日から3月30日まで適用され、期間中は毎日午後11時から翌午前5時まで外出が制限された。

政府によれば、今回の夜間外出禁止令は、前回の非常事態宣言および夜間外出禁止令の成果を踏まえたものである。治安部隊による作戦において一定の効果が確認されたことから、その延長として作戦行動を強化し、犯罪組織に対して継続的かつ決定的な打撃を与える段階へ移行した措置と位置付けられている。

ノボアは2026年3月の時点で、エクアドルにおける組織犯罪対策が次の段階に入ると述べている。また、アメリカ合衆国を含む友好国の支援を受け、軍および警察による作戦が展開されている。

 

夜間外出禁止令とは何か

夜間外出禁止令とは、特定の時間帯において移動の自由を一時的に制限し、公共空間での移動を禁止する措置である。主に治安維持および犯罪抑止を目的として発動される国家的手段である。

今回の夜間外出禁止令(toque de queda)は2026年5月3日から5月18日まで実施される。また、適用時間は毎日午後11時から午前5時までの6時間であり、この時間帯において公共の道路での移動は原則として禁止される。

 

対象地域

5月3日からの夜間外出禁止令の対象は9県および4つの自治体である。9県とは、前回対象だったグアヤス県、ロス・リオス県、エル・オロ県、サント・ドミンゴ・デ・ロス・ツァチラス県に加え、マナビ県(Manabí)、サンタ・エレナ県(Santa Elena)、ピチンチャ県(Pichincha)、エスメラルダス県(Esmeraldas)、スクンビオス県(Sucumbíos)である。

4つの自治体は、コトパクシ県(Cotopaxi)のラ・マナ(La Maná)、ボリバル県(Bolívar)のラス・ナベス(Las Naves)とエチェアンディア(Echeandía)、さらにカニャル県(Cañar)のラ・トロカル(La Troncal)である。

 

外出禁止令と非常事態宣言

外出禁止令と非常事態宣言は、いずれも治安対策として用いられる措置であるが、その法的性質と役割は明確に異なる。非常事態宣言とは、憲法に基づき国家が緊急事態に対応するために発動する包括的措置である。一方、外出禁止令(夜間外出制限など)は、その非常事態宣言の下で治安維持を目的として、特定の時間帯や地域に限定して課される運用上の制限である。すなわち、非常事態宣言が法的な緊急体制の発動であるのに対し、外出禁止令はその枠組みの中で実施される個別の行動制限である。

非常事態宣言が発動されると、国家は通常の法的制約の一部を超えて対応することが可能となる。主な影響として、住居の不可侵権および通信の秘密に対する制限が挙げられる。住居不可侵権の制限により、警察および軍は裁判所の令状なしに住宅や職場へ立ち入り、捜索、押収、検査を実施できる。また、通信の秘密の制限により、犯罪組織への関与が疑われる場合には、メッセージ、通話、電子メール、手紙などの私的通信について、令状なしでの調査、分析、収集が可能となる。

非常事態宣言における憲法上の位置づけとして、憲法第164条は大統領に対し、侵略、国際または国内の武力紛争、重大な国内騒擾、公衆災害、自然災害といった状況において同宣言を発動する権限を付与している。また、非常事態宣言は、必要性、比例性、合法性、時間的制限、領域性、合理性といった原則に従って運用される必要がある。

2026年3月20日、憲法裁判所(Corte Constitucional:CC)は、夜間外出禁止令が合理性および統制の基準を満たす限りにおいて合憲であるとの判断を示した。憲法裁判所(CC)は、措置の適用にあたり、人権擁護機関(Defensoría del Pueblo:DPE)による監視の実施、正当な理由に基づく外出の個別審査、司法制度および公共サービスの維持、エネルギーなど戦略分野の運用確保、報道機関および国際機関の活動保障を求めている。さらに、警察および軍に対しては、人権の尊重および適正手続の遵守が必要であると明示している。

 

ダニエル・ノボアが再度発令した非常事態宣言は「重大な国内混乱」を理由とするものである。この措置は60日間有効とされ、5月31日まで継続される予定である。また、この非常事態宣言は、夜間外出禁止令が適用されている地域と同一の範囲、つまり9県と4自治体に対し発動されている。

ダニエル・ノボア・アシン大統領の就任以前に非常事態宣言を発動したのは、当時のギジェルモ・ラッソ(Guillermo Lasso:ラッソ)大統領であり、その措置は全国規模で実施された。この背景には、2023年8月10日に首都キト(Quito)で発生した事件がある。同日、大統領候補のフェルナンド・ビジャビセンシオ(Fernando Villavicencio)が政治集会後に殺害された。

この事件を受け、ラッソ大統領は政令841号に基づき、「重大な国内騒擾」を理由として60日間の非常事態を宣言した。政府は、その背景として全国的な犯罪活動の増加を挙げている。さらに、国家機関による迅速な対応の必要性が強調された。

 

首都キト、ピチンチャ県は夜間外出禁止令対象外

キトおよびピチンチャ県における外出禁止令の必要性については、専門家の間で見解が分かれている。

エクアドル組織犯罪観測所(Observatorio Ecuatoriano de Crimen Organizado:OECO)のレナト・リベラ(Renato Rivera)は、首都キトにおいて外出禁止令を適用する必要性は低いとの見解を示している。キトでは意図的殺人の増加が見られる一方で、犯罪発生率は人口10万人あたり8件にとどまり、国内で2番目に人口規模が大きい都市であるにもかかわらず、他都市と比較して低水準であるとされる(最大都市はグアヤキル)。この点から、ノボア政権の外出禁止令は必ずしも必要ではないと評価されている。

同時に専門家の間では、エクアドル政府は市民の殺人事件に対する不満への対応を主目的としているとの指摘もある。そのうえで、暴力が集中する地区に対しては、より的を絞った戦略的対応が本来必要であるとされている。

Tipo 2023 2024 2025 2026 (3月)
Viviendas 1150 930 961 224
Personas 6414 6531 6840 1442
Bienes, accesorios y autopartes 2388 2528 2792 492
Carros 2710 2694 2643 533
Motos 1359 1238 1471 297
Unidades económicas 1346 1268 1279 299
Total 15367 15189 15986 3287

(ピチンチャ県における窃盗の状況)

 

治安指標への影響については、外出禁止令が適用期間中に限って短期的な抑制効果を持つ可能性がある一方で、犯罪増加の根本要因を解決するものではないと分析されている。このため、治安機関の能力強化や戦略の改善が必要であるとされる。

刑事弁護士のウラディミル・ポロニャ・ミニョ(Vladimir Porojnia Miño)は、外出禁止令は治安悪化の緩和には十分寄与しないとの見解を示している。同氏は、刑罰強化を中心とするいわゆる刑罰ポピュリズムと同様の構造にあり、犯罪の処罰を強化しても問題の解決には至っていないと指摘している。

また、同様の議論として憲法裁判所(CC)の判断をめぐる政治的議論も存在する。判事の判断が治安悪化の要因であるとする主張も一部で見られるが、憲法上は不適切とされる行為であると整理されている。この点について同氏は、まず過去の措置の有効性を評価し、その上で再適用の是非を判断すべきであると述べている。

さらに、犯罪者側が外出禁止令の実施を事前に把握し、行動を回避するため、抑止効果が限定的になる可能性も指摘されている。

キトの治安状況について、エクアドル検察庁(Fiscalía General del Estado:FGE)の統計では、ピチンチャ県で記録された犯罪のうち85%以上がキトで発生している。2023年から2026年3月までの期間には、人に対する強盗19,810件、自動車盗難8,055件、経済活動単位への強盗3,823件が確認されたほか、バイク盗難3,856件、車両部品盗難7,606件も記録されている。

Tipo 2023 2024 2025 2026
Viviendas 987 800 810 184
Personas 6016 6084 6396 1314
Bienes, accesorios y autopartes 2181 2360 2619 446
Carros 2529 2524 2509 493
Motos 1241 1085 1283 247
Unidades económicas 1229 1138 1183 273
Total 14183 13991 14800 2957

(キトにおける窃盗の状況)

 

現場レベルでは、ヘルメットを着用しない複数人がオートバイや車両で移動しながら強盗を行う事例が住民から報告されている。特にカルデロン(Calderón)地区では、武装した犯人による店舗襲撃が発生しており、トラウマティック銃および刃物が使用されたケースも確認されている。

このほか、身代金目的の誘拐(強制誘拐)も首都圏へ拡大しているとされる。対象地域には、シモン・ボリバル通り(Simón Bolívar通り)、プリンセサ・トア通り(Avenida Princesa Toa)、ルータ・ビバ(Ruta Viva)、パンアメリカーナ・ノルテ(Panamericana Norte)が含まれる。また、マリスカル・スクレ通り(Avenida Mariscal Sucre)やサン・カルロス(San Carlos)周辺でも発生が報告されている。

これらの犯罪の一部は、犯罪組織(Grupos Delictivos Organizados:GDO)ロス・ロボス(Los Lobos)によって実行されているとされ、抵抗した被害者の殺害や遺棄も確認されている。

このように、キトおよびピチンチャ県における外出禁止令の必要性については、犯罪発生率の相対的低さと、実際の都市犯罪の深刻さという両面から評価が分かれている状況にある。

 

夜間外出禁止令下でも発生した暴力事件

夜間外出禁止令が実施されている状況においても、エクアドルでは一部地域で高水準の暴力犯罪が継続して発生しており、その効果と限界が指摘されている。

2026年第1四半期には全国で2,086件の暴力的死亡が記録された。これは2025年同期の2,400件と比較して約13%の減少であるが、2014年以降では依然として2番目に高い水準である。また、夜間外出禁止令の実施期間中においても、対象となった4県では16日間で215人が殺害されており、全体として暴力の規模は高止まりしている。

最初の夜間外出禁止令の対象地域は、グアヤス県、エル・オロ県、ロス・リオス県、サント・ドミンゴ・デ・ロス・ツァチラス県の4県であった。

規制前後の比較では、暴力的死亡は規制前の2026年2月27日から3月14日の272件から、規制中の3月15日から30日の215件へと減少し、20.96%の減少となった。

県別の内訳では、グアヤス県が180件から139件へ、エル・オロ県が56件から30件へと減少している。

時間帯別では、午後11時から午前5時までの夜間帯において特に顕著な変化が確認された。この時間帯の暴力的死亡は規制前の66件から規制中の15件へと減少し、77.27%の減少である。

 

県別では、グアヤス県が48件から7件へ、エル・オロ県が15件から4件へと大幅に減少した一方で、ロス・リオス県は3件から4件へと増加している。

これらの結果から、夜間外出禁止令は特に未明時間帯において強い抑制効果を持つ一方で、ロス・リオス県のように例外的に増加する地域も存在し、地域ごとの治安構造によって効果に差が生じることが示されている。

#夜間外出禁止令 #非常事態宣言 #DanielNoboa #URGENTE

 

参考資料:

1. Toque de queda en Ecuador en 2026, ¿por qué?
2. Cuál es la diferencia entre toque de queda y estado de excepción
3. En Quito, las muertes violentas aumentaron un 22 % en el primer trimestre de 2026: ¿es necesario el toque de queda?
4. Pese al toque de queda, 215 personas fueron asesinadas en Guayas, El Oro, Los Ríos y Santo Domingo en 16 días

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