グアテマラ大統領選挙2023:やっとなされた決選投票候補者の公式発表

(Photo:@justiciayagt/Twitter)

7月14日、最高選挙裁判所(Tribunal Supremo Electoral:TSE)は、2023年6月25日に実施された共和国大統領・副大統領選挙の有効性を宣言し、希望の国民団結(Unidad Nacional de la Esperanza:UNE)サンドラ・トレス(Sandra Torres)とセミジャ運動(Movimiento Semilla)のベルナルド・アレバロ(Bernardo Arévalo)による決選投票を求める合意番号1328-2023を発表した。

同合意は2023年1月20日付政令第1-2023号に基づき国内外のグアテマラ人に対して共和国大統領と副大統領、国民総選挙や中米議会議員選挙に参加するよう呼びかけるとともに、2023年8月20日を第2回大統領選挙の実施日と定め、第1回選挙で得票数の多かった2組の候補が参加することになると付け加えている。

同合意によると第1回投票終了後、選挙・政党法第238条の規定に従い、各県選挙管理委員会、中央区選挙管理委員会、海外投票管理委員会が、政治団体の監査役の参加を得て、それぞれの管轄区域における共和国大統領および副大統領の選挙結果および公式結果を確認するための公聴会を開催した。

TSEは最終的に以下の通り投票結果を発表している。

  • Unidad Nacional de la Esperanza -UNE-:   888,924
  • Movimiento Semilla -Semilla: 653,486
  • Vamos por una Guatemala Diferente -Vamos: 436,918
  • Visión con Valores -VIVA-: 397,469
  • Cabal-CABAL-: 369,903
  • Coalición Valor-Unionista: 366,574
  • Voluntad, Oportunidad y Solidaridad -VOS-: 236,886
  • Bienestar Nacional-BIEN-: 142,129
  • Victoria -VICTORIA-: 137,793
  • Coalición Unidad Revolucionaria Nacional Guatemalteca Movimiento Político
  •  -URNG-MAIZ-WINAQ-: 88,211
  • Todos -TODOS-: 78,503
  • Partido Político Nosotros -PPN-:  66,962
  • Azul -AZUL-: 61,544
  • Partido Político Mi Familia -Mi Familia-: 46,365
  • Compromiso, Renovación y Orden -CREO-: 43,786
  • Unión Republicana -UR-: 40,363
  • Comunidad Elefante-ELEFANTE-: 39,658
  • Partido Humanista de Guatemala -PHG-: 35,423
  • Partido Republicano -PR-: 32,497
  • Frente de Convergencia Nacional -FCN-: 22,816
  • Cambio -CAMBIO-: 18,306
  • Partido de Integración Nacional -PIN-: 7,944

 

総投票数:5,565,598票
有効票:    4,212,460票
無効票:        964,775票
白票:        388,363票
無効票:          56,832票

 

検察庁は7月14日(金)、不処罰特別検察庁(Fiscalía Especial contra la Impunidad:Feci)がセミジャ運動に対して行った捜査について声明を発表した。「国内外から寄せられた意見や偽情報キャンペーン」があり、それ故に声明の発表が必要となった。

最高選挙裁判所市民登録所(Registro de Ciudadanos)は不処罰特別検察庁の要請によりセミジャの取り消しを求めた第7刑事判事の命令に従うことを拒否している。市民登録所のラミロ・ムニョス(Ramiro Muñoz)所長によると、選挙法および政党法に定められた障害により、この命令に従うことができい。ムニョス所長の発言は、国家市民警察とFeciの職員が参加し、武装し、顔を覆い、ナンバープレートのついた車で建物に入った市民登録所本部の捜索、検査、書類の押収の後になされた。

7月13日にも憲法裁判所(Corte de Constitucionalidad:CC)が記者会見を開いておりセミジャに認められた憲法権利保護は選挙プロセスを保証するためであり、検察庁(Ministerio Público:MP)は同政治グループに対する捜査を続行できると言及している。

https://twitter.com/MPguatemala/status/1679875496534855681

 

警察が捜査しているのはセミジャ運動による規約違法の可能性についてだ。2022年5月に市民からの告発を受けたことで捜査が始まったいわゆる「汚職の種」と呼ばれる虚偽署名の容疑に関するもの。検察庁は、セミジャが不正な選挙資金と虚偽の署名を使用した疑いで告発している。1年にわたる捜査の結果、科学的証拠、文書証拠、証言証拠、現場証拠が集められ、その結果、犯罪の実行の可能性があるとして管轄権を求める検察の決定が下された。検察庁の決定は、グアテマラでは前例のないものである。なぜならここ数週間、国内外の各界が、裁判所や司法は投票結果に干渉すべきではないと警告していたからである。そもそもグアテマラの選挙プロセスは、大統領選挙で勝利する可能性のある3人の候補者の活動停止においこみ、候補者として認めることをしてこなかった。

アレバロ・デ・レオンは国家を「共謀」させた「腐敗の盟約」が彼の大統領就任を阻止しようとするだろうと警告していた。グアテマラでは、政治家、軍人、実業家、麻薬密売関係者のグループが、200以上の汚職組織を解体した国連の「グアテマラの不処罰に反対する国際委員会(Comisión Internacional Contra la Impunidad en Guatemala:Cicig)」を2019年に追放して以来、国家機関の大半を共用しており、「汚職の盟約」として知られている。

今回の決定は国際社会をも含めた批判によるところも大きい。捜査が第2回選挙への介入に繋がらないようにとの意図から暫定的な保護措置が必要だとされた。捜査のタイミングがこのようなプロセスを招いたと説明する特別検察庁のトップのラファエル・クルチェ(Rafael Curruchiche)は「グアテマラ第7刑事裁判(麻薬密売および環境に対する犯罪)第1審判事によって出された2023年7月12日付の決議が決選投票実施指定がなされた日付に行われた一方、TSEの協定1328-2023に影響を与えたり、一時停止したりするものではないという意味で、要請された暫定的な保護を認めた」と述べている。また、これは捜査機関に課された刑事訴追の権限と、憲法251条および選挙・政党法(Ley Electoral y de Partidos Políticos:LEPP)251条の規定を損なうものではないと付け加えた。

検察庁は「第2回選挙の日程を妨害したり、8月20日に予定されている決選投票への候補者の参加を無効にしたりすることを意図したものではない」と断言し、「偽情報キャンペーン」がそう主張していると述べた。

オレジャナ(Orellana)判事はセミジャ運動が決選投票に進出することへの停止を捜査の観点から強調していた。憲法裁判所はそれを認めなかった。なぜならオレジャナの決議が一時停止されたことと、刑事手続きは選挙と「独立」しているからだ。つまり捜査機関は政治団体の捜査を継続できる。この承認には、アンヘカ・バスケス(Angélica Vásquez)CC事務局長とアナ・ルシア・クルス(Ana Lucía Cruz)判事本会議事務局長のみが出席し、高等裁判所の社会コミュニケーションチームも参加した。

https://twitter.com/BArevalodeLeon/status/1679360930570723328

 

なお、TSEは第2回投票に向け選挙監視体制を整えるべく、3つの協定(582-2023、584-2023、585-2023)も発表している。

協定582-2023

正式に認定された国内の選挙監視者は選挙に参加できる一方、以下の書類を提示しなければならない。

奉行本会議または調整奉行によって承認された要請書のコピー
身分証明書(DPI)のコピー
選挙管理委員会(Electoral Institute)の選挙監視に関するバーチャルコースを修了したことを証明する書類のコピー
市民的・政治的権利を完全に享受しているグアテマラ市民であること
いかなる政治団体の運営組織のメンバーでもなく、これらの団体に所属していないこと

この職務を遂行するための認定は、TSEによってのみ与えられ、目に見える形で着用しなければならない。なお、超党派の政治団体、非政府組織、市民団体の関係者も参加できる。また、投票も含め、その展開の各段階を監視し、開票や結果速報の伝達を監視することもできる。

同時に第7条では、選挙当局の機能行使を妨げたり妨害したりすること、選挙機関や当局を侮辱したり中傷したりすること、その他多くの禁止事項を考慮しなければならないと説明されている。認定を悪用した場合、認定は即座に取り消され、認定保有者はその後の選挙監視者としての参加資格を失うこととなる。

 

協定584-2023

選挙監視には、準備活動、監視活動、情報提供活動が必要であり、その目的は、選挙展開、その結果、選挙プロセスが実施される主権、TSEの独立性を市民が信頼するように努めることにある。

独立した選挙監視者になるには、グアテマラ人が選挙管理機関に申請し、市民的・政治的権利を完全に享受していることを証明しなければならない。さらに、選挙管理委員会が実施する選挙監視のためのトレーニングコースへの参加を証明する必要がある。

そして本人確認書類(DPI)のコピーと、必要な特徴を備えたデジタル写真を送付する必要がある。一方、選挙監視活動を行おうとする外国人は、TSEに申請書、パスポートのコピー、デジタル写真を提出しなければならない。

 

協定585-2023

海外での選挙監視活動について定める本協定では在外グアテマラ人の選挙監視活動について記載している。2016年の選挙・政党法(LEPP)の改正により、グアテマラ国外(現在は米国でのみ)での投票監視が可能となった。この規制は、この種の活動を希望するグアテマラ人と外国人の両方を対象としており、その要件は以下の通りだ。

TSEに申請書を提出する
グアテマラ人はDPI、外国人はパスポートのコピーを用意する
グアテマラ人は、政党に所属していないこと、または選挙で選ばれた役職を目指していないことを証明しなければならない
選挙管理委員会(Electoral Institute)による選挙監視に関するバーチャル・コースを修了したことを証明する書類のコピーを提出する
デジタル写真を提出する

 

なお不処罰に反対する特別検察官事務所のクルーチェによる発表を受けデモ隊が検察庁(MP)の中央庁舎前に集まり、捜査機関がとった行動に拒否反応を示している。デモの間、抗議者たちはマリア・コンスエロ・ポラス(María Consuelo Porras)司法長官を「クーデター計画者」「テロリスト」と呼んだ。Justicia Yaがシェアしたビデオによると、デモ参加者は「コンスエロ・ゴルピスタ、ボス・ソス・ラ・テロリスタ」というスローガンを掲げ、同議員の行動を非難した。

Justicia Yaは「組織化し、街頭に出る時が来た。私たちは、クーデター計画者が民意を奪うことを許さない。グアテマラ・シティにいる人は、これらの呼びかけに従おう」と今週数回のデモを呼びかけている。

 

今回選挙に関するその他の記事はこちらから。

 

参考資料:

1. TSE establece observación electoral para segunda vuelta de los comicios
2. Retransmisión en Vivo: Jefe de la FECI, Rafael Curruchiche habla del caso “Corrupción Semilla”
3. MP continuará con investigación a Semilla y asegura que actuaciones no tienen la finalidad de interferir en la segunda vuelta
4. TSE oficializa que Sandra Torres y Bernardo Arévalo disputarán la Presidencia en segunda vuelta y dice desconocer alcance de orden judicial

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