コロンビア大統領選挙2022:次期大統領は6月19日に決定する

当初の想定通りコロンビアにおける大統領選は第一回投票で結果が出なかった。グスタボ・ペトロ(Gustavo Petro)は当初の世論調査通り選挙を優勢に進め、1位通過した。

約2100万人の市民が第一回投票に足を運んだ。投票率は54%と高い。 集計99%の時点の結果として配下の通りだ。左翼のリーダー、グスタボ・ペトロが40%を獲得、ポピュリストで独立右派の大富豪ロドルフォ・エルナンデス(Rodolfo Hernández)は28%を獲得、右派のフェデリコ・グティエレスを破って決選投票に進むことが確定した。フィコ(Fico)の得票率は23.7%にとどまった

7:40 p.m.  99,92 % 集計結果
グスタボ・ペトロ:     8.524.964 票 (40.32 %)
ロドルフォ・エルナンデス: 5.952.392 票 (28.15 %)
フェデリコ・グティエレス: 5.056.503 票 (23.91 %)
セルヒオ・ファハルド:   888.301 票 (4.20 %)
ジョン・ミルトン・ロドリゲス: 274.198 票 (1.29 %)
エンリケ・ゴメス:     50.509 票 (0.23 %)

2位争いについては当初より接戦が予想されていた。当初はフィコ優勢と考えられていたものの、終盤で強烈な追い上げを見せたエルナンデスが5ポイント差をつけ勝利したこととなる。なお選挙前1週間の世論調査でフィコの方が2ポイント上回っていた。

 

両者について今一度おさらいしておこう。

グスタボ・ペトロは1994年から1996年にかけてベルギーのコロンビア大使館で外交官を務めた。1998年に下院議員となり、汚職や準軍事主義に対する糾弾との戦いで下院の最優秀議員に選ばれた。2006年から2010年まで、共和国上院議員を務め、2012年から2015年まではボゴタ市長を務めた。市長在職中の2013年12月には、1年前の市のゴミ問題で公衆衛生に影響を与えたとして、アレハンドロ・オルドネス(Alejandro Ordoñez)司法長官室から解任されるも数日後、ボゴタ高等法院による判決で復職した。大統領選は3度目で2018年は元大統領イバン・ドゥケ(Iván Duque)に次ぐ2位となった。

 

決選投票に進む77歳の前ブカラマンガ(Bucaramanga)市長はポピュリスト的要素を持っているとして知られる。1945年3月26日にサンタンデール(Santander)のピエデクエスタ(Piedecuesta)で生まれた。コロンビア国立大学(Universidad Nacional de Colombia)で土木工学を学び、1970年に卒業した。最初の建設プロジェクトは、ピエデクエスタ(Piedecuesta)市、フロリダブランカ(Floridablanca)市、ブカラマンガ市で行われた。
2人のパートナーとともに建設会社H.G. (Hernández Gómez y Cía. Ltda.)を設立した。サンタンデール、バランキージャ(Barranquilla)、ボゴタ地区における住宅建設が彼らの得意とするところだ。現在、建設会社の全株式は、彼と妻のソコロ・オリベロス(Socorro Oliveros)、3人の息子たち(マウリシオ(Mauricio)、ルイス・カルロス(Luis Carlos)、ロドルフォ・ホセ(Rodolfo José))が所有している。2004年、娘のフリアナ(Juliana)が誘拐され、行方不明となっている。エルナンデスがブカラマンガ市長を務めたのは2016年1月1日から2019年9月17日まで。市長選では選挙資金の調達や市会議員への暴行事件があったとして3カ月の停職処分の末、辞任した。

https://twitter.com/ingrodolfohdez/status/1531064016063324164

 

両者の同異点を見ていこう。これらは大統領選に先がけ実施されたディベートの内容に基づく。

まずコカインビジネスの撲滅のためのグリフォサート(除草剤)の空中散布について。ペトロは反対をしている。これはグリフォサートによる発がん作用と、それによる散布地域の住人の健康被害を回避するためだと説明している。数年前に空中散布が停止されたグリフォサートだったが、昨年4月、元大統領のドゥケは同農薬の空中散布を再度提案している。本法案は国民による反対行動もあり今年の1月に否決されている。エルナンデスは賛成だった。

ELN(民族解放軍)と和平交渉については両者とも前向きだ。
政府との合意のもと一時休戦(2017年10月1日から2018年1月9日)していた対立は、期限切れとなって以来続いている。これは2019年に発生したサンタンデール県の警察学校の爆発テロに端を発する。テロは政府による和平交渉の再開拒否を決定づけた。現政権下における同国の治安は悪化の一途を辿っている。
ペトロは私たちの政府では、失われた時間を取り戻し、平和条約締結国に対する暴力を止め、社会全体と国際社会の協力を得て、合意の全容を現実のものとすると述べている。

機動的暴動鎮圧隊(ESMAD)の存在は同国においては物議を醸している。増税案に端を発した市民による大規模デモ(詳細はこちら)ではデモ隊とESMADが衝突、多数の死者が出た。暴動化するデモ隊鎮圧に際して必要以上の力を用いたこと、さらには無抵抗な市民に対しても暴力を用いた事実も発覚している。ペトロは同組織の解体に賛成し、もう一方は解体するべきではないと主張している。

安全保障について言えば内なる敵の構築と排除に基づく安全保障のアプローチから、平等、国家主権の保護、市民の安全、生命と自然への配慮に基づく人間の安全保障へと転換し、このプログラムを通じて展開していきます。社会生活の非軍事化を進めるとペトロは述べる。

また彼は2026年までにすべてのコロンビア人が何らかの方法を通じてインターネットにアクセスできるようにするとしている。家庭、学校、企業からインターネットにアクセスできるよう監視、管理していくという。

エルナンデスは鉱業・エネルギー政策を以下のように説明する。今後10年間に石油やガスが不足することが確実視されることから代替エネルギーへの生産に向けた取り組みを行う。地方がより多くの資源を受け取ることができるよう一般使用料制度を改革し、これらの資源の効率的で透明性のある投資を保証するとした。また、2030年のエネルギー自給率達成に向けた新規開拓の拡大と、石油・天然ガスの掘削量増加を推進する。

なお天然資源の利用についてペトロは生産と社会的・環境的正義の観点から地方を変革するために、農地・水改革を通じて、土地・水の保有と利用における不平等ギャップを解消するとしている。農村家庭の土地に対する権利、財産の形式化を保証し、農地開拓の無差別拡大と未開拓地の植民地化を防止するとした。

コロンビア大統領選挙2022に関する他の記事はこちらから。

 

参考資料:

1. ¿Quién es Rodolfo Hernández y cuál es su programa político en las elecciones en Colombia 2022?
2. ¿Quién es Gustavo Petro y cuál es su programa político en las elecciones en Colombia 2022?
3. Elecciones presidenciales en Colombia 2022, en vivo | Gustavo Petro: “Mi contradictor está imputado por corrupción”

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