エクアドル:2075年までに経済規模5倍超、世界34位の経済規模となる可能性

(Photo:Radio Pichincha)

ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs:GS)の報告書『The Path to 2075』によると、エクアドルの国内総生産(Gross Domestic Product:GDP)は2075年までに7,000億米ドルに達すると予測されている。

2026年のエクアドルの国内総生産(GDP)は約1,303億2,000万米ドルと見込まれており、2075年には現在の5倍を超える経済規模に拡大する計算である。

ゴールドマン・サックス(GS)は、エクアドルが投資を呼び込む環境を整え、生産性を高めることができれば、長期的な経済成長につながる可能性があるとしている。一方で、予測される経済規模を実現するには、政治面と経済面の双方で適切な政策判断を進める必要があるとしている。

 

2075年のエクアドル経済規模

ゴールドマン・サックス(GS)の予測では、2075年のエクアドルは世界経済ランキングで第34位になる見通しである。同国の国内総生産(GDP)は7,000億米ドルに達し、2026年予測の規模と比較して5倍を超える経済規模へ拡大すると見込まれている。一方で、2075年時点でもエクアドルの経済規模は中南米の主要国を下回る見通しである。

ゴールドマン・サックス(GS)は、ブラジルとメキシコが引き続き地域最大の経済大国となり、コロンビア、アルゼンチン、ペルー、チリもエクアドルを上回る経済規模を維持すると予測している。

アンデス地域の比較では、コロンビアの国内総生産(GDP)は約2兆6,000億米ドルに達し、エクアドルの予測規模の約4倍となる見込みである。ペルーの国内総生産(GDP)も約2兆1,000億米ドルとなり、エクアドルの約3倍の規模になると予測されている。

 

成長実現に向けた条件

独立系の経済ジャーナリスト兼経済アナリストであるセバスティアン・アングロ(Sebastián Angulo)は、エクアドルの経済成長について、単に経済規模を拡大するだけでなく、新興市場国の中で相対的に高い成長を実現することが重要だと述べている。同氏は、2075年に国内総生産(GDP)7,000億米ドルへ到達するには持続的な成長が必要であり、それでも地域の主要国との差が残る可能性があると指摘している。また、ゴールドマン・サックス(GS)の予測を上回る成長を実現できるかどうかは、今後の政策判断に左右されると説明している。

同氏は、投資を呼び込む環境の整備、生産性の向上、輸出構造の多様化、競争力の強化が、長期的な経済成長を左右する要素になると述べている。

 

世界経済は緩やかに減速、新興市場国が長期成長をけん引

ゴールドマン・サックス(GS)のグローバル投資調査によると、世界経済の成長率は長期的に緩やかに減速する一方、新興市場国の成長は先進国市場を上回り続けると予測されている。同調査の図表7では、国内総生産(GDP)の推計値と長期的な実質為替レート予測を組み合わせ、主要経済国の実質米ドル建て経済規模を長期的に分析している。

Goldman Sachs Global Investment Research

 

2050年には、中国、アメリカ合衆国、インド、インドネシア、ドイツが世界最大の経済規模を持つ5か国になると予測されている。この期間では、インドネシアが主要新興市場国の中で経済規模を拡大し、ブラジルとロシアに代わって上位に入る見通しである。また、中国は2035年頃にアメリカ合衆国を上回り、世界最大の経済大国になると推計されている。

さらに2075年まで予測期間を延長すると、中国、インド、アメリカ合衆国が世界最大の3つの経済国となる見通しである。インドはアメリカ合衆国をわずかに上回り、世界第2位の経済規模になると予測されている。

一方で、2075年時点では人口動態の見通しを背景に、アメリカ合衆国の潜在的な国内総生産(GDP)成長率は中国を大きく上回ると予測されている。

ゴールドマン・サックス(GS)は、適切な政策と制度が整備されれば、現在の新興市場国が2075年には世界上位10経済のうち7か国を占めると予測している。

 

長期経済予測の特徴

長期間にわたる経済予測には、大きなリスクと不確実性が伴う。

ゴールドマン・サックス(GS)は、104か国を対象に50年間の経済予測を行っている。1~2年先の経済動向を予測することも困難であるため、数十年先の経済規模を見通すことには不確実性が存在する。

一方で、長期予測では短期的な景気循環による変動は時間の経過とともに平均回帰する傾向がある。そのため、長期的な国内総生産(GDP)は、人口、資本、技術といった緩やかに変化する構造的な要因によって主に決定される。

 

世界経済成長率の見通し

ゴールドマン・サックス(GS)は、2024年から2029年までの世界経済成長率について、年平均2.8%になると予測している。この成長率は2020年から2024年までの伸び率を上回る一方、2010年から2019年までの年平均3.2%は下回る見通しである。この予測は市場為替レートを基準としている。また、新興国経済は年平均3.8%、先進国経済は年平均1.8%で成長すると予測されている。

報告書では、新興国と先進国の成長率の差について、その半分以上は生産性の違いではなく、人口動態の違いによって説明されるとしている。

 

アジア経済の成長と中国の減速

ゴールドマン・サックス(GS)は、アジアが引き続き世界で最も高い成長を遂げる地域になると予測している。一方で、中国の潜在成長率が大きく鈍化するため、アジアは2010年から2019年までと比較して、最も大きな成長減速を経験する地域になると報告書は指摘している。

エクアドルについては、2075年までの経済拡大の可能性が示されている一方、その経済規模は中南米の主要国を下回る見通しである。長期的な経済規模の拡大には、投資環境、生産性、輸出産業などの要素が影響するとされている。

 

エクアドル経済は2.1%成長、投資増加と指標改善で「好循環」へ

7月8日、エクアドル経済相のサリハ・モヤ(Sariha Moya)は、国内総生産(GDP)の成長、外国投資の増加、カントリーリスクの低下、主要なマクロ経済指標の改善を根拠に、エクアドル経済が持続的な成長軌道へ移行していると説明した。モヤは、現在の経済状況について「好循環」に入っていると述べている。この循環は、信頼の向上が投資を促進し、投資の増加が生産拡大につながり、経済活動の活発化が財政状況の改善や雇用創出につながるという構造である。

同氏が示した最初の根拠は、2026年第1四半期にエクアドル経済が2.1%成長し、国内総生産(GDP)が300億8,300万米ドルに達したことである。

ただし、モヤは、この成長率だけでは現在の経済環境の変化を十分に示すものではないとしている。成長の背景には、国内経済活動の拡大に加え、企業利益の再投資や新たな資金流入による外国直接投資の定着があると説明している。「2026年第1四半期、エクアドル経済は2.1%成長した。しかし重要なのは、この成長が国内活動だけによるものではなく、利益の再投資や新たな資金流入を通じて、エクアドルへの外国直接投資が定着していることである」と述べた。

外国直接投資の増加と経済活動の拡大

モヤは、経済への信頼を示す指標として外国直接投資(Inversión Extranjera Directa:IED)を挙げている。2026年1~3月の外国直接投資は4億3,100万米ドルとなり、2025年同期の2億3,200万米ドルから85.7%増加した。エクアドル中央銀行(Banco Central del Ecuador:BCE)の統計によると、流入資金のうち商業部門への投資が1億4,940万米ドルを占めた。

モヤは、この投資増加について、新たな資本流入だけでなく、すでにエクアドルで事業を展開している企業が国内での事業拡大を選択していることを示していると説明している。同氏は、外国直接投資の増加によって産業生産の基盤が強化されるだけでなく、国際準備の拡大にもつながると述べた。また、外国企業がエクアドルで事業を開始した後、利益を国内へ再投資するか、国外へ移転するかという選択が、国内経済への影響を左右すると説明している。

経済成長を支える好循環

モヤは、投資拡大と経済活動の活発化によって、エクアドル経済が好循環に入っていると説明している。投資の増加は生産と販売を押し上げ、経済活動の拡大を通じて税収の増加につながるという。

同氏は、2026年1~4月の国内販売額が11.8%増加し、735億6,200万米ドルに達したことを指摘した。また、2026年1~5月の税収は15.5%増加し、106億9,200万米ドルとなった。

モヤは、経済活動の拡大によって販売が増加し、それが税収増加を支える循環が形成されていると説明している。増加した収入は、公共サービスの提供に活用できるとしている。

カントリーリスク低下が示す投資環境の変化

モヤが経済改善の根拠として挙げるもう1つの指標が、カントリーリスク(Riesgo País)の低下である。この指標は2026年を通じて400ポイントを下回る水準で推移し、過去12年間で最も低い水準の1つとなっている。

モヤは、カントリーリスクは国際投資家が投資判断を行う際の重要な指標であり、低下によってエクアドルへの投資環境に対する認識が変化すると説明している。同氏によれば、政府発足時にはカントリーリスクは2,000ポイントだったが、現在は400ポイントまで低下している。この変化により、これまでリスク水準を理由に投資を見送っていた投資家が、エクアドルへの投資を検討できる環境になっているという。また、海外訪問時に投資家から「エクアドルは魅力的な国だが、リスクが高いため進出できなかった」と説明された経験を紹介した。

モヤは、カントリーリスクの低下によって投資ファンドや外国企業が資本を投入しやすくなり、雇用創出、新たなビジネスモデルの形成、生産性向上、輸出拡大につながると述べている。

 

参考資料:

1. Ecuador podría quintuplicar su economía y entrar al top 35 mundial hacia 2075
2. Goldman Sachs publicó el listado de las economías con el mayor PIB proyectado para 2075
3. The Path to 2075 — Is Convergence Really Over?
4. Economía de Ecuador crece 2,1%: Sariha Moya explica por qué habla de un “círculo virtuoso”

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