エクアドルでは、10人に6人の女性が生涯で何らかの暴力を経験している。この現実は、ジョン・レイムバグ(John Reimberg)内務大臣によって確認され、2025年6月18日にキトで国連女性機関(ONU Mujeres)と共に覚書が署名された。署名式でレイムバグは、この取り組みが単なる象徴的なものではなく、制度改革に向けた具体的な取り組みであることを強調した。彼は「安全は、ジェンダー平等、尊重、そして正義から築かれる。女性はエクアドルの安全保障の一部であるだけでなく、その力、意識、未来そのものである」と述べた。この協定は、国の女性や少女が直面する多様な暴力に対して、より効果的な国家の対応を確立することを目的としている。
FORTALECEMOS NUESTROS LAZOS COOPERACIÓN CON ONU MUJERES
📍Quito| John Reimberg, Ministro del Interior y Alison Vásconez, representante de @onumujeresecu, suscribieron un Memorando de Entendimiento que consolida la… pic.twitter.com/TAUHAkOwqR — Ministerio del Interior Ecuador 🇪🇨 (@MinInteriorEc) June 18, 2025
署名された協定は、以下の4つの主要な柱を中心にした行動計画を含んでいる:
- ジェンダー視点を取り入れた機関の訓練
内務省と国家警察の職員に対して、女性の暴力被害者への配慮を欠かさず、再被害を避ける対応方法を強化する。 - 公共行政における平等の促進
意思決定や機関の手続きにジェンダー視点を取り入れる。 - 戦略的な情報交換
公共政策の改善と効果的な予防活動の設計のために証拠を蓄積する。 - 共同プロジェクトの実施
スポットライト(Spotlight)や安全な都市(Ciudades Seguras)など、地域社会で成果を上げたイニシアチブを継続する。
アリソン・バスコネス(Alison Vásconez)国連女性機関エクアドル代表は、ジェンダー暴力が人道的なコストだけでなく、経済的にも高い代償を伴うことを指摘した。ドイツ協力機構(GIZ)の調査によると、エクアドルは女性と少女に対する暴力のために年間約40億ドル(GDPの4.28%)を失っているとされている。
バスコネス代表は、組織犯罪が女性の生活に与える影響にも警鐘を鳴らした。女性に対する暴力的な死、つまりフェミサイド(女性殺害)、殺人、暗殺は、2020年の165件から2024年には600件以上に増加しており、増加率は350%を超えている。
「暴力は単なる治安や犯罪の問題ではない。それは、平等と恐怖を永続させる文化的、社会的要因によって悪化している。市民の安全を語る際、女性が直面する差別的なリスクを忘れてはならない」とバスコネスは強調した。
この合意は、国連女性機関と内務省との間で数年前から始まった協力の一環であり、既にフェミサイド早期警報システムの開発やジェンダー視点を取り入れた警察の訓練といった成果が得られていると、両機関は発表した。
レイムバグによると、最終的な目標は、「安全が特権ではなく、全ての人に保障された権利となる社会を作ること」であり、「女性にとってより公正で安全な社会は、全ての人にとってより良い社会にすることである」。
昨年の国際女性に対する暴力の根絶の日、つまり2024年11月25日までに、215人の女性が同年殺害されたことがわかった。そのうち107件はフェミサイドであり、犯人は被害者の親密な関係者や配偶者であることが分かっている。少なくとも22人が家庭内暴力の訴えており、さらに、そのうち3人は保護命令を取得していた。
11月25日、エクアドルの女性・人権大臣を務めているアリアンナ・タンカ(Arianna Tanca)は、エクアドルでは「男性中心の暴力」と「組織犯罪」の関係に焦点を当てることが「緊急」であると指摘した。タンカによれば、政府が組織犯罪グループに対抗するために「内戦状態」を宣言した中で、女性たちの体は「戦争の戦利品」となっているという。「女性の体はこの内戦状態の中で戦利品となり、性的に利用され、多くの場合、加害者は麻薬取引に関わっている」とタンカは述べていた。タンカは当時、エクアドルではフェミサイドは減少していると述べる一方で、暴力は依然として続いていると強調した。
2023年は「エクアドルの女性にとって最も暴力的な年」とされた。当時タンカはその「多くのケースが国際的な犯罪や組織犯罪グループの活動に関連していた」と述べていた。ラテンアメリカ代替開発協会(Aldea)も、2023年にエクアドルで発生した321件のフェミサイドのうち172件が組織犯罪に関連していたと報告している。2024年の時点で、女性の暴力的な死亡のうち少なくとも88件が犯罪組織間の抗争に関連していた。
昨年はエクアドルのグアヤス県、特にグアヤキルでは、女性の暴力的な死が最も多く、57件のケースが報告されていた。被害者の平均年齢は35歳であり、19人の女性が子どもまたは若者であった。さらに、10人の女性が妊娠しており、64人が母親であった。
上述の通り22人の女性は家庭内暴力を当局に通報していたが、残念ながらその後も暴力が続き、命を落とす結果となった。そのうち3人は保護命令を受けていたが、それでも暴力を防ぐことはできなかった。フェミサイドの結果として、119人の子どもたちが孤児となったことが報告されている。
昨年は、エクアドルにおける女性に対する暴力が深刻であることを物語っている。政府が内戦状態を宣言し、組織犯罪に対抗している中で、女性たちの命が次々に奪われており、特に家庭内暴力が大きな問題となっている。
参考資料:
1. Día Internacional de la No Violencia contra las Mujeres: las cifras que muestran la realidad de las ecuatorianas
2. Muertes violentas contra mujeres aumentaron 350% en Ecuador en cuatro años, alerta la ONU
3. EL MINISTERIO DEL INTERIOR Y ONU MUJERES FORTALECEN SUS LAZOS DE COOPERACIÓN
4. Ecuador y ONU Mujeres acuerdan incluir enfoque de género en políticas de seguridad
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