ブラジル:ボルソナロ、2022年の選挙敗北後の「代替策」模索を認める

(Photo:Antonio Augusto / STF)

ブラジルの元大統領ジャイル・ボルソナロ(Jair Bolsonaro)は、6月10日に開催された自身に対する裁判の第2回公判において証言した。この裁判はボルソナロが2022年10月の選挙結果を否認するために陰謀によるクーデターを計画、つまり犯罪の組織化を主導したとして告発されたものである。ボルソナロは、クーデター未遂の容疑で尋問を受けた6人目の被告である。取り調べの冒頭、モラエス判事から、クーデター陰謀を主導したとの告発が事実に基づくものか問われた際には、「その告発は事実ではない、閣下」とクーデターを企てたことは否定している。最高裁第一法廷で証言したボルソナロは一方、現大統領であるルイス・イナシオ・ルラ・ダ・シルバ(Luiz Inácio Lula da Silva)に選挙で敗北した後、憲法の枠内で結果を見直す「代替案」の検討を認めた。

彼が述べたのは「我々は可能性や代替案について議論した。それは常に憲法の範囲内、憲法の四つの線を逸脱することはなかった」と言うことであり、「しかし、我々は憲法上のいかなる行動の可能性も放棄し、政権の終焉に直面した」と言うことだった。

裁判の第1回公判では、マウロ・シジ(Mauro Cid)中佐が証言し、2022年の選挙を「やり直す」ために「戒厳令を発動する」文書が存在したことを明らかにした。シジはボルソナロの元側近であり、右腕とされる人物である。

裁判の第2回公判では、被告の1人である元法務大臣アンダソン・トレス(Anderson Torres)も証言を行い、捜査中に自宅で発見された文書の草案について言及した。その草案には、戒厳令の宣言、選挙司法の介入、ルラの選挙勝利の無効化といった内容が盛り込まれており、ボルソナロの政権維持を目的としていたことが示唆されていた。トレスは、その文書は誰か不明の人物から受け取った「紙切れ」にすぎず、政府内で流布していた「多数の」類似案の一つであったと説明した。ただし、そうした案はすべて虚偽のものであると常に述べていたと強調した。「当時はこうしたことが頻繁に起きていた」と彼は語り、「他の政府関係者も同様の文書を受け取っていた」とも述べたが、いずれも重要視されることはなかったと付け加えた。自身のケースについては、その文書を破棄する目的で自宅に持ち帰ったが、結局廃棄しないまま他の書類と一緒に保管されており、それが連邦警察による家宅捜索の際に発見されたと説明した。

ボルソナロも選挙後に軍の司令官らと複数回の会合を持ったことのみを認めたが、それらの会話は、憲法の規定の範囲内において、想定される不正の場合に備えるものであったと述べ、不正は証明されていないと主張した。また、自身の「レトリックは常に同様であった」とし、たびたび不信感を表明していたことを強調した。その上で、選挙制度への不信を煽る言動は、選挙制度の透明性を高めることのみを目的としており、クーデターを準備する意図はなかったと断言した。ただし、電子投票システムが不正に利用される可能性があるという自身の主張について証拠を示すことはできないと認め、選挙が「可能な限り透明なもの」となるよう、選挙裁判所を「支援する意図」があったと述べた。

最高連邦裁判所(STF)のアレシャンドリ・ジ・モラエス(Alexandre de Moraes)判事の質問に対し、ボルソナロは28年前から電子投票について批判を続けてきたと述べた。「私は2年間市議を務め、28年間は国会議員だった。私のレトリックは常に一貫していた。電子投票に対する不信、疑念、あるいは批判は私個人に限ったことではない。フラヴィオ・ジノ(Flávio Dino)は、2012年に知事選で敗れた際に、『私は今日、改善され監査されるべきプロセス、すなわち電子投票システムの被害者となる機会を得た』と述べている」と、元法務大臣を例に、電子投票システムの安全性に対する自身の不信感は、決して彼個人に限られた主張ではないと述べた。

また、2022年1月5日に行われた閣議の録画映像において、選挙司法に対する批判を行ったことに関する質問に対して、元大統領は証拠はないと認め、それは「感情の吐露(デザバフォ)」であったと述べた。ボルソナロは、ルイス・ファキン(Luiz Fachin)、ルイス・ロベルト・バロソ(Luiz Roberto Barroso)、およびアレシャンドリ・ジ・モラエスの3人の判事が、選挙を不正操作する見返りとして5000万ドル(約2億7838万レアル)を受け取ったと発言していた。

「証拠は一切なかった、閣下(モラエス判事)。そもそも録画されない予定の会議であった。それは感情の吐露、つまり私のレトリックであった。他の3人の人物が裁判所を占めていたとしても、私は同じことを言っていただろう。申し訳ない。3人の方々の不正行為を意図的に告発する意図はなかった」と元大統領は述べた。

 

元大統領は公判の全過程において冷静さを保っていた。彼は終始、自身の政権を擁護するとともに、2030年まで公職に就くことが禁止されているにもかかわらず、今後も政治に関与し続ける意志を明確にした。

「今日、私は法廷を後にして心穏やかであり、われわれの国が現在直面している混乱から救い出すために、次期共和国大統領になるとの確信をより強くした」と、指導者であるボルソナロは、取り調べ後に自身のSNSアカウントに投稿したメッセージで述べている。そこではまた自らが本法廷において言い逃れをすることもなく、一つひとつの問いに対して、透明性と確信をもって答えたこと、不正義の前に決して膝を屈することはないことを述べるとともに、自らの経験は検閲も迫害もない、より自由で、より公正で、より強い国家を求める数百万のブラジル人の闘いであることを報告している。

 

ボルソナロは、検察の起訴状によれば、2023年1月8日に発生した国家三権(立法・行政・司法)への暴力的な襲撃事件を導いた陰謀の首謀者と見なされ、現在も捜査の対象となっている。同事件は、ルラが大統領に就任してから1週間後に発生した。最高裁第一法廷は、今後この訴訟の段階で、クーデター未遂の容疑で起訴された8人のうち残る2人に対しても尋問を行う予定である。

#JairBolsonaro

 

参考資料:

1. Jair Bolsonaro declaró en el juicio y reconoció que buscó “alternativas” para revisar el resultado electoral de 2022
2. Bolsonaro cita Dino, reforça desconfiança nas urnas e pede desculpas a Moraes em depoimento no STF

 

 

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