ペルー:ペドロ・カスティジョ元大統領に懲役34年を求める

(Photo:Presidencia Perú/Flickr)

司法当局はペドロ・カスティジョ(Pedro Castillo)政権時代に起きた汚職疑惑事件について、36ヶ月の公判前勾留を求めた再審請求を拒否したと発表した。これにより、前共和国大統領はバルバディージョ刑務所に収監され、2つの刑に服することになる。

この決定はカスティジョが犯罪組織、共謀、影響力売買の罪に問われている捜査の中で下されたものである。前大統領は政権についた際、ある組織を率いていたとして告発されていた。決議文によると「被告人ホセ・ペドロ・カスティジョ・テロンズに対する職権による予防拘禁の見直しを無効とし、その結果、2023年3月9日付決議第3号により当最高裁判所が指示した36ヶ月間の予防拘禁措置の有効性を無効とする」。

最高裁判所準備捜査部のフアン・カルロス・チェックリ(Juan Carlos Checkley)判事は、ペトロペル社、プロビアス社、住宅省に対する現在進行中の捜査が複雑な事件であることを指摘した。その結果、関係者の逃亡や捜査妨害の可能性について懸念を表明している。

捜査の焦点は、軍内の任命に関連する不正行為の可能性と、公共事業の入札や国家公務員の雇用を有利に進めるための汚職計画にカスティジョとその側近が関与した疑惑である。具体的には以下の点が指摘、捜査されている:

軍と国家警察における昇進
昇進プロセスにおいて不正と影響力の売買があったとされている。これらの疑惑の行為に対して、彼は金銭を受け取ったとされている。

タラタ3世橋の件
2人の元住宅大臣が関与する特定企業のコンソーシアムへの工事発注において、汚職行為の可能性が調査されている。

運輸通信省への介入
供給業者の選定や公共調達プロセスへの干渉の可能性が告発されている。

家族や側近の関与
大統領の家族や側近が汚職や影響力の売買に関与しているとの疑惑が報告されている。

ロス・ニーニョス事件
カスティジョの側近グループで、政府の行為や行政決定に影響を与えるために活動したとされる。

 

一方、検察庁は刑事告発状を提出し、反乱、職権乱用、重大な治安妨害の罪で元指導者に懲役34年を求刑した。カスティジョは現在、この件と、政府宮殿を占拠した犯罪組織のリーダー容疑の2つの予防拘禁措置下にある。なおベッツィ・チャベス(Betssy Chávez)元大臣評議会議長、ウィリ・ウエルタ(Willy Huerta)元内務大臣、ロベルト・サンチェス(Roberto Sánchez)元貿易観光局長、アニバル・トレス(Aníbal Torres)元首相3人の反乱罪に対する求刑は25年である。ベッツィ・チャベスは、カスティジョが読み上げた演説から距離を置こうとし、その内容を知らなかったとさえ否定しているが、ある出来事が彼女を牽制したのは事実である。クーデターと大げさに呼ばれるものを起こす1時間前、閣僚たちのWhatsAppに「歴史的な日に団結と結束」を求めるメッセージが届いていた。

ペドロ・カスティジョが自分のボディーガードに捕らえられ、彼の企てが数時間のうちに失敗したという事実とは別に、検察庁の説明によれば、彼の命令に従った高官もいた。例えば国家警察のマヌエル・ロサダ・モラレス(Manuel Lozada Morales)将軍、フスト・ヘスス・ベネロ・メラド(Justo Jesús Venero Mellado)少佐、エデル・アントニオ・インファンソン・チャベス(Eder Antonio Infanzón Chávez)中尉で、彼らには25年の禁固刑が求刑されている。

この数ヶ月間、ペドロ・カスティジョの弁護側は、クーデターは実行されず、従って、彼は武器を取らなかったことから、反乱とは認められないという主張を繰り返してきた。アルゼンチンの弁護士エウヘニオ・ラウル・サファロニ(Eugenio Raúl Zaffaroni)は、ギド・クロシャット(Guido Croxatto)と同様、元大統領の演説は、当時彼が軍隊の最高指導者であったにもかかわらず、「国民に何をすべきかを告げる宣言」であったと考えている。「彼が権力を握っていると信じていたとしても、それが効果を発揮することはなかった」と主張する。

 

昨年12月の最後の公判のひとつで、ペドロ・カスティジョは、人道に対する罪で刑期を全うすることなく釈放されたアルベルト・フジモリ(Alberto Fujimori)元大統領と自分を比較しながら、自らの投獄に疑問を呈した。「検察官に、私が金銭を受け取ったという十分な証拠となる証票を提示してもらいたい(……)国や世界中が知っている犯罪を犯したアルベルト・フジモリが自由の身であるなら、私を監禁しておく理由は何なのか」と。カスティジョはアテのバルバディージョ刑務所に収容されているが、そこにはフジモリの隣人であり、共謀罪とマネーロンダリングで告発されたアレハンドロ・トレド前大統領も収監されている。今後数日で、検察側の告発内容を確認、次の段階は、口頭審理と最終的な判決である。

ペドロ・カスティジョは、2022年12月7日、まるでロボットのように全国民に向け手にした新聞を読み始めた。その全国放送で元大統領は議会解散と非常事態を宣言した(詳細はこちら)。彼の緊張は明らかだった。テレビで見ていた人々は、アンデス山脈の学校の教師がクーデターを起こすとは信じられなかった。元大統領による議会解散と大統領令による統治を認めようとしない議会は大統領を解任を決定した。カスティジョは失職した直後に亡命のためメキシコ大使館へ向かったが途中で国家警察に反逆容疑で拘束された。一方、ペルー国内ではカスティジョ罷免に対する抗議運動やデモが各地で発生、国内で混乱が生じた。

 

元大統領は言われのない犯罪容疑に関して戦うと述べるとともに、正義と民主主義のために戦うと述べている。

なお、革命ゲリラ運動センデロ・ルミノソ(Sendero Luminoso)との戦いの名の下で市民を殺害し、強制失踪させ、また貧しいものや先住民に対する強制避妊政策をとったアルベルト・フジモリは禁錮25年だった。しかし先日投獄から16年で釈放されている。なお犯罪者に対する当時の求刑は30年だった。一方のカスティージョの求刑は34年。これに対して何も思わない、政治的意図がないとするのは無理がある。

#ペルー危機2023

 

参考資料:

1. Pedro Castillo continuará tras las rejas: Poder Judicial niega revisión de prisión preventiva por 36 meses
2. La Fiscalía pide 34 años de cárcel para Pedro Castillo por el intento de golpe de Estado

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