エクアドル:グアヤキルの女性刑務所長就任後1ヶ月で銃撃される

グアヤキル女性刑務所ミシェル・マジョルガ(Mishel Mayorga、正式名称グアヤス第2自由剥奪センター(Centro de Privación de Libertad Guayas N°2))は、3月9日(木)午後5時過ぎに襲撃を受けた。4人の男が放った少なくとも30発の銃弾は刑務所長を警護していた警察官に怪我を負わせている。警官たちは前腕と頭部を負傷し病院で治療を受けている。そのうち1人は重体で命がけで戦っている。就任1ヶ月の刑務所長自体に怪我はない。

マジョルガはグアヤキルの刑務所群を構成する5つの刑務所のうちの1つだ。所長たちは同女子刑務所で勤務を終えた後、運転手と2人の警察官とともに移動中、白いジープ型車両に乗った4人に2.23口径のライフルで攻撃された。襲撃はダウレ(Daule)への道、ラス・パルマス・モテール(Las Palmas Motel)の近くで起こったようで、車の助手席側ドア付近と車のフロント部に銃弾が打ち込まれている。局長は車の前部に乗っていたと考えられていたようだ。だから車の前部を攻撃した直後、犯人は逃走した。局長は車の後ろに乗っていたため助かった。しかし警察官フレディ・バルソラ(Freddy Barzola)は前腕を、エディソン・フタド(Edison Hurtado)は頭部を撃たれている。容態が安定しているバルソラは警察病院に移され、警察官フタドは私立の診療所に運ばれ治療を受けている。

 

刑務所への脅威は初めてでも独立したものでもない。事実この事件はエル・インカ(El Inca)刑務所長のサンチアゴ・ロサ(Santiago Loza)大佐がバイクで近づいてきた犯人による発砲で暗殺されてからわずか3カ月後に起きた。

ロサは犯罪組織ロス・ロボス(Los Lobos)の支配下にある刑務所で働いていた。ロス・ロボス自身は2022年11月に刑務所の虐殺を止めるために和平協定を受け入れると発言していた。「我々は、一般市民と国家に対するこれらの暴力行為を無力化するために団結している。大統領、我々は国家と戦争しているわけではなく、対立する組織が最近起こした恐喝、誘拐、攻撃の受益者でもない」とロス・ロボスの広報担当者は語っている。ロサの短い在任期間中にロス・ロボスのメンバー数名が他の刑務所に移送された一方、同刑務所で11回目の虐殺が発生している。

ミシェル・マジョルガ所長就任数週後には女性刑務所内で所長を脅迫する手紙やパンフレットが出回っていた。元刑務所長でフェミニスト活動家のガビス・グレンダ・モレノ(Gavis Glenda Moreno)も2018年3月27日、グアヤキルで武装攻撃を受けて殺害された。その1年前にも発生した襲撃からは生き延びたものの、殺された。治安専門ジャーナリストのカロル・ノロニャ(Karol Noroña)によると、2022年1月にも同じ刑務所の所長ロレナ・カルデロン(Lorena Calderón)も襲撃を受けている。彼女自身は無傷だったものの、仲間は弾丸で足を負傷した。

米国国土安全保障省によるとエクアドルの商業都市であるグアヤキルの港は、世界への麻薬密売の物流センターとなっている。また、国内で最も暴力的な刑務所の所在地でもある。このため、路上での暴力も加わり、世界で最も危険な都市50のひとつに数えられている。グアヤキル(Guayaquil)、デュラン(Durán)、サンボロン(Samborondón)では1日あたり5人の暴力的な死者が出ている。

今回の銃撃事件を受けミシェル・マジョルガの所長は3月10日(金)、安全の確保を目的とし刑務所には出勤しなかった。自由を奪われた成人と青少年犯罪者の包括的ケアのための国立サービス(Servicio Nacional de Atención Integral a Personas Adultas Privadas de la Libertad y Adolescentes Infractores:SNAI)によると、所長のための警備が強化されている。SNAIは声明の中で、所長に対する襲撃を「反省」「遺憾」と表現し、同時に国家警察が犯人を特定するために必要な調査を実施していることを保証している。なおSNAIも政府省も国家警察も、未だこの攻撃の背後に誰が、どの犯罪集団がいるのか、まだ特定できていない。フアン・サパタ(Juan Zapata)内務大臣は負傷した警察官の「早期回復」を祈るとともに、今回の事態を強く非難している。

 

2021年の刑務所内の暴力事件(詳細はこちら)は、政府が刑務所内での監視を怠っていることを露呈させた。政府はこの暴力の波は、国内で活動する組織犯罪、麻薬密売、マフィアに対する行動への反応であると主張しています。

マジョルガ所長らが襲撃された同じ日、マナビのエル・ロデオ刑務所(la prisión de El Rodeo)の中級刑務所棟で2人の囚人の遺体が発見された。これらの事件はギジェルモ・ラッソ(Guillermo Lasso)が掲げた刑務所の体制強化と統制が達成されていないことの表れだ。2022年だけでも少なくとも70人の警察官が殺されている。

 

参考資料:

1. ¿Qué pasó en el atentado contra la directora de la cárcel de mujeres de Guayaquil?
2. Dispararon contra la directora de la cárcel de mujeres de Guayaquil: sus dos custodios fueron heridos
3. Dos heridos tras ataque a directora de cárcel de mujeres de Guayaquil
4. Directora de la cárcel de mujeres de Guayaquil sufrió un atentado que dejó policías heridos

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