日本未配給西葡語映画専用チャネル「CANOA」が開設された

映画好きには待ち侘びたという言葉がぴったりの便りが届いた。毎年秋にイベロアメリカの良質な映画を日本に届けてくれることで知られるラテンビート映画祭が常設サイト『CANOA(カノア)』を通じ⽇本未配給の名作をオンラインで提供してくれることとなった。配給されるのはスペイン語・ポルトガル語圏のクラシック作品が中心となる。

運用は2022 1 25 ⽇から既に始まっている。

 

同映画祭は日本ではなかなか触れ合いづらいラテンアメリカ出身作品をスペイン・ラテンアメリカ映画祭を通じ2004年から提供してくれている。映画上演の後には監督、主役なども登場するなど、イベントを盛り上げた。

わた時自身も第一回から楽しみにしており、ペドロ・アルモドバル(Pedro Almodóvar Caballero)監督の「バッド・エデュケーション(La mala educación)」、アメリカ・コロンビア合作「そして、ひと粒のひかり(María, llena eres de gracia)」、メキシコ・エクアドル合作の「タブロイド(Crónicas)」などを本映画祭を通じて知ることとなる。都合で同映画祭では見られなかったタブロイドは2006年に六本木で鑑賞したと記憶している。

開設とともに登場したのはスペイン映画の巨匠ルイス・ガルシア・ベルランガ(Luis García-Berlanga Martí)監督の作品「ようこそ、ミスター・マーシャル!(Bienvenido Mister Marshall)」、「プラシド(Plácido)」、「死刑執⾏⼈(El Verdugo)」と「マリアと僕(Maria y yo)」。ペドロ・アルモドバル監督の「ペピ、ルシ、ボンとその他⼤勢の娘たち(Pepi, Luci, Bom y otras chicas del monton)」だ。 

「マリアと僕」はスペインのアカデミー賞ことゴヤ賞に2011 年の⻑編ドキュメンタリー賞としてノミネートされている。作品は順次追加される。「プラシド」もアカデミー外国語映画賞にノミネートされていた。

スペイン語を学ぶ前どころか、この世に生を受けていない時代の名作にこのように手軽にアクセスできること、さらに映画のプロから選定され解説付きで紹介してもらえることは極めてありがたい。

 

映画鑑賞方法がNetflixAmazon Prime Videoなどのデジタル配信サービスの台頭により大きく変化している。この潮流はラテンビート映画祭はもとより、映画産業に大きなインパクトを与え変格を迫っている。COVID-19 パンデミックで興行延期になるなど、映画業界には極めて苦しい時期となっている。1974年からミニシアター業界をリードし、聖地とも言える岩波ホールも「急激な経営環境の変化」を理由に、729日をもって閉館する。そんな今だからこそオンラインで新たな映画祭にチャレンジすると言う。

カヌー[CANOE]の語源とも言われておる「CANOAは、「トマト」や「ポテト」、「カカオ」同様ラテンアメリカ・カリブ海地域の先住民の言葉が由来のスペイン語。コロナ禍がもたらした数多の問題を乗り越え、文化を西から東へとこの“CANOA”を通じ幅広く運んでいくことを目的として名付けたと言う。

 

みんなで新しい世界を見に行こう。

なお同チャネルのプラットフォームとなる「シネマ映画.com 」では現在期間限定(〜2022210日)で「サステナブル未来映画祭を開催している。また、アフガニスタンからヨーロッパを目指す難民家族 3台のスマートフォンで自らの旅路を記録した映画「ミッドナイト・トラベラー」も先行配信されていてこれまたおすすめである。

 

 

ラテンビート・クラシック『CANOA』

ホームページ:https://canoa.lbff.jp/
視聴⽅法   CANOA』から映画を選ぶと映画配信・決済システム「シネマ映画.com 」に遷移。無料会員登録、決済情報入力で視聴可能となる。

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