ハイチ大統領暗殺事件:事件を受け各国コメントと大統領婦人の状態

(Claude Joseph暫定首相 photo by Zoozaz1

ジョブネル・モイーズ(Jovenel Moïse)ハイチ大統領が7月7日夜殺害されたことについて、カリブ共同体(Caribbean Community:CARICOM)や米州機構(OEA)をはじめ多くの国のトップから声明が出された。彼らは暗殺事件を受け緊急でバーチャルミーティングを開き、ハイチ情勢をめぐり協議している。モイーズ大統領も参加した第42回カリコム首脳会議が終了した数時間後のことである。

声明の中で首脳たちは、長引く政治的・憲法的・人道的危機の渦中にあるハイチの手に負えない状況に深刻な懸念を表明、特に治安の急激な悪化は国民を守る国家の能力を問われているとした。 現カリコム議長であるトリニダード・トバゴのキース・ローリー首相は「モイーズ大統領のご遺族、ハイチの政府と国民、カリコムの兄弟姉妹に、この最も悲惨な出来事に深い哀悼の意を表します。トリニダード・トバゴは、この非常に困難な時期にあるハイチを支援するために、カリコムの仲間やそれ以外の国々とも協力していくことを約束します」と述べるとともに、ハイチでの悲劇的な出来事に衝撃を受けたとした。

隣国ドミニカ共和国のルイス・アビナデル(Luis Rodolfo Abinader Corona)大統領は「暗殺を遺憾に思い非難します。この犯罪は、ハイチおよび地域の民主主義秩序に対する攻撃です。ご家族とハイチの人々に哀悼の意を表します。」と表現した。

また、バルバドスのミア・モトリー(Mia Amor Mottley)首相は、今回の行為を「非道」と表現しこの行為を激しく非難した。また「暴力は決して解決策であってはならず、どのような状況であっても拒否しなければならない」と述べた。

 

各国トップの反応をいくつか以下に記載しておく。
ディアス・カネル(Miguel Mario Díaz-Canel Bermúdez)キューバ共和国国家評議会議長

ジャマイカのアンドリュー・ホルネス(Andrew Michael Holness)首相

セントクリストファー・ネイビスのティモシー・ハリス首相

 

米州機構(OEA)も水曜日に声明を発表し、大統領の暗殺という犯罪行為を最も強い言葉で非難するとした。この攻撃は、米州機構に代表される民主主義国家のコミュニティ全体に対する侮辱であり、我々はこの国の制度的安定性を損なおうとする試みだ。そして政治的暗殺は、民主主義国家には存在しない。私たちは、民主主義の進歩と国の将来を狂わせる恐れのある政治形態に終止符を打つことを求めると付け加えた。

大統領夫人マルティーヌ・モイーズ(Martine Moïse、47歳)については一部死亡説が出ていたが、後々マイアミのジャクソン・メモリアル病院(Miami’s Jackson Memorial Hospital)のライダー・トラウマ・センター(Ryder Trauma Center)に搬送され、治療を受けているという情報が出てきた。なお、ローカル10ニュースによると、夫人は腕と太ももに銃弾を受け、手と腹部にも重傷を負っていたという。バイタルは安定しているが、依然重体である。夫人はフォートローダーデール・エグゼクティブ空港(Fort Lauderdale Executive Airport )に午後3時30分頃到着し、トリニティ・エア・アンビュランス(Trinity Air Ambulance)によって南フロリダに搬送された。

ポルトープランスで生まれ、1994年にロジャー・アングラード大学で高校に通い、1997年に故郷のキスケヤ大学で通訳学の学位を取得した婦人は、大統領だったジョブネル・モイーズと幼なじみで、1996年に結婚。夫婦の間には、Jomarlie、Joverlein、Jovenenelの3人の子供がいる。大統領の子供たちの無事は確認されている。

国家身分証明局(National Office of Identification)と協力し、ハイチ国内の産科・出産センターで出生証明書の登録ができるようにするプログラムを確立したり、女性の権利支援にも熱心で、また、男女平等、早期妊娠、人身売買、母乳育児中の母から子へのHIV感染の問題に取り組んでいた。2017年10月からグローバル・ファンド(Global Fund)・ハイチにおける会長としても務め、国連持続可能な開発目標の一つでもある世界三大感染症 HIV/エイズ 、結核、マラリア対策にも力を注いだ。

 

なお、現時点犯人はスペイン語や英語を話す人物で、訓練が十分なされた人物という情報の他に、米国麻薬取締局の捜査官を装っていたらしいという情報も出てきた。

ハイチでは政治的混乱が続いている。今年2月7日にはモイーズの殺害を計画していたとして国家警察幹部を含む23人が逮捕された。また、大統領退任のデモも断続的にあり、大規模化した2月のそれでは混乱の中で死者も出た。

現在当国は15日間の戒厳令が引かれているとともに公官庁などには半旗が掲げられ国喪に入っている。また、国民は自宅での待機を求められ、自動車の通行制限とともに国際空港を閉鎖している。

クロード・ジョセフ(Claude Joseph)暫定首相は臨時閣僚会議を主宰した後、レオン・シャルル(Leon Charles)国家警察長官らに囲まれてテレビで声明を発表し国家の継続を確保するためにあらゆる手段を講じていること、国内の治安は国家警察と軍によってコントロールされていることを強調し、国民に冷静さを求めている。すべての治安部隊は動員され暗殺事件の捜査が開始されている。政府は捜査や治安維持を目的に治安部隊に最大の権限を譲渡し、国内での乱れを助長したり維持したりする可能性があると判断されるすべての集会を禁止した。大統領が暗殺された後のポルトー・プランスの街は、誰もいないかのように静かで、モイーズの邸宅があるペレラン地区へのアクセスは警察が管理しているという。

 

ハイチ大統領暗殺事件に関するその他記事はこちらから。

参考資料:

1. Haiti’s first lady arrives in South Florida to be treated for gunshot wounds
2. AMLO lamenta asesinato de Jovenel Moise, presidente de Haití
3. Quién era Jovenel Moïse, el presidente de Haití que gobernaba por decreto en medio de la violencia criminal y terminó asesinado
4. STATEMENT BY HEADS OF GOVERNMENT OF THE CARIBBEAN COMMUNITY ON ASSASSINATION OF HAITIAN PRESIDENT JOVENEL MOISE
5. CARICOM HEADS OF GOVERNMENT MEET IN EMERGENCY SESSION TODAY ON HAITI

No Comments

Leave a Comment

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください