ドゥケ大統領暗殺計画者はFARC第33戦線の反体制派

7月22日、政府はドゥケの乗ったヘリコプターと陸軍旅団への自動車爆弾攻撃の犯罪計画を実行・立案したとされる元軍人のアンドレス・フェルナンド・メディナ・ロドリゲス( Andrés Fernando Medina Rodríguez、通称エル・カピ(El Capi))とFARC第33戦線の反体制派10人を逮捕したと発表した。バルボサ(Francisco Barbosa)検事によると組織のメンバーである10人をククタ(Cucuta)とサンタンデール(Santander)州北部ラ・ガバラ(La cabra)村でのことだ。

 

 

旅団に対する攻撃に参加したとして、加重テロリズム、加重殺人未遂、加重共謀罪で拘束されたのは、エル・カピ以外にホアキン・メディナ(Joaquín Medina、通称ホアキン(Joaquín))、チロ・アルフォンソ・グティエレス・バレステロス(Ciro Alfonso Gutiérrez Ballesteros、通称チロ(Ciro))だ。

また、自動車爆弾攻撃の共謀罪で起訴されているのは、エジソン・ドゥラン・アスカニオ(Édison Durán Ascanio、通称アスカニオ(Ascanio))、ブラジミル・アコスタ・ペレス(Vladimir Acosta Pérez、通称イミー(Yimmy))、フレディ・エステバン・マルドナード・トラド(Fredy Esteban Maldonado Torrado、通称パンチョ(Pancho))、ホン・フレディ・リサラゾ・ロドリゲス(Jhon Freddy Lizarazo Rodríguez、通称エル・フラコ(El Flaco)またはミゲル(Miguel))、へラルディン・フィアヨ・トラド(Geraldine Fiayo Torrado、通称ヘラルディン(Geraldine))、犯人を発砲場所に運んだタクシーの運転手とされるイェイソン・ヘルミニオ・ベルナル・リンコン(Yeison Herminio Bernal Rincón)と、後方支援をしたとされるイェフェルソン・ロマン・ガンボア(Yeferson Román Gamboa)が逮捕されている。

 

事件を振り返ってみよう。(詳細はこちら

6月25日、コロンビアのイバン・ドゥケ(Iván Duque Márquez)大統領や内務大臣ダニエル・パラシオス(Daniel Palacios)、国防大臣ディエゴ・モラノ(Diego Molano)などが乗ったヘリコプターブラックホークが、コロンビアとベネズエラの国境付近を飛行中、地上から攻撃を受けた。サルディナタ(Sardinata)地方における治安問題などを話し合うための会合からの帰りのことだった。銃撃は空港のあるノルテ・デ・サンタンデール(Norte de Santander)県ククタ(Cúcuta)のカタム(Catam)の滑走路から少し離れたエル・アト(El Hato)村とラス・パルマス(Las Palmas)村から行われており、ベネズエラ軍のマークが入ったライフルなどがククタでは見つかっていた(詳細はこちら)。ヘリコプターには6発の銃弾が打ち込まれていた。

また、同暗殺未遂事件の10日前6月15日にも陸軍第30旅団のククタ兵舎への自動車爆弾攻撃が行われていて、そこでは米軍関係者を含む44人が負傷した。15日15時05分トヨタの白いバンが公務員になりすました2人の人物とともに入ってきて、15時10分にバンは1度目の爆発を起こし、その2分後に2回目の爆発を起こしたという。旅団の設備に深刻なダメージを与えたのみならず、民間人含む36名が負傷した。モラノ大臣の言葉で言うこの「卑劣なテロ攻撃」に関しては政府は当初他の可能性も捨てきれないとしながらも、民族解放軍(ELN)の中央司令部のエリセル・エルリント・チャモロ(Eliecer Erlinto Chamorro、通称アントニオ・ガルシア(Antonio Garcia))の命令を受けた都市戦線のメンバーが関与しているだろうことを発表していた。軍を狙った自動車爆弾攻撃は2019年1月17日に首都ボゴタのサンタンデール総合警察カデット学校(Escuela de Cadetes de Policía General Santander)の敷地内でも起きており、そこではエクアドル人女性を含む22人の士官候補生の死亡と67人の負傷者が出ていた。なおこのテロではELNが犯行声明を出していた。

 

7月24日、ディエゴ・モラノ(Diego Molano)国防相は都市ククタで報道陣を前にして「捜査過程で明らかになったのは、(犯人の企ては)ククタでの攻撃だけでなく、ボゴタ(Bogota)近郊で大統領専用機を撃墜し彼を殺害するというものもあった」ということだ。国家警察長官のホルヘ・ルイス・バルガス(Jorge Luis Vargas)将軍も政府関係者のみならず、特に治安部隊や検察庁に対するテロを計画しており、警察の精鋭部隊である「スパルタ作戦」へのドローン攻撃も計画されていたと付け加えた。

高度な訓練を受けた軍人でヘリコプターパイロットであったメディナは12年間の勤務の後、2016年に健康上の問題で任意の退役をした。標的となった旅団にいたアメリカ人に「危害を加えたかった」ようだとバルガスは述べたが、その理由については言及していない。

なお、自動射爆弾については上述の通りELNの関与が疑われていたが、事件を捜査している中でこのエル・カピが容疑者として浮かび上がり、この軍人がFARC第33戦線とつながりがあるともあり、同ゲリラとそれを率いるホン・メチャス(Jhon Mechas)が黒幕とし調査が開始されていた。なお、諜報部からの情報によると役陸軍大尉が陸軍大隊基地に30キロもの爆薬を持ち込んだという。この人物がエル・カピである可能性が高い。エル・カピは第33戦線の麻薬密売活動、武器密売、犯罪行為の調整役だった。 

 

ディエゴ・モラノは引き続き「この攻撃がベネズエラから計画されたことは明らかであり、したがって、マドゥロ政権(コロンビアへの攻撃が行われる場所からテロリストを匿い続けているベネズエラ大統領)がベネズエラ政府との間で重大な仕事をしていたことを国際社会に反省させる必要がある」と述べるとともに、「ホン・メチャスの指示、ククタでのこの攻撃のための金額、これらはすべて証明されており、そこ(ベネズエラ)から計画されたものであり、証拠は整っており、第30旅団への攻撃と大統領を攻撃するためにベネズエラのカタトゥンボ(Catatumbo)からやってくる人々と関連性がある」とした。両事件が発生したカタトゥンボ地域には、民族解放軍(ELN)ゲリラ、FARC反体制派、麻薬密売グループが蠢いている。平和・和解財団によると、少なくとも27の違法グループがこの国境地帯で活動している。

退役軍人の弁護士であるルイス・アルベルト・ロドリゲス( Luis Alberto Rodríguez)は、弁護対象者のテロリズム、殺人未遂、犯罪の共同謀議、武器の不法携帯、他人の財産への損害賠償の罪に対する刑期の短縮化に務めるものの、警察に対して事件の詳細情報の提供についてはするつもりがないことを言っている。背景には、彼の「パトロン」やその他のテロ行為の首謀者についての情報を提供すれば、米国に送還される可能性が高くなることがわかっているからだと分析するのは地元紙EL TIEMPOだ。

ちなみにカピの父親であるホアキンについても、第30旅団攻撃のために利用した車の手配を行ったとして刑事訴追されている。ロドリゲス弁護士は、ホアキンは息子に利用されたもので、爆破事件とは無関係だと言っているものの、彼もまたアメリカに連行される可能性を知っているだろうとのこと。

そんな中、マグダレナ・メディオ・ブロック(Bloque Magdalena Medio)から先週末が5分間のビデオと声明文を発表し、両事件、さらには鉱物会社のインフラへの攻撃など、少なくとも4つの暴力行為は自分たちの犯行であることを認めるとともに、これらの攻撃はまだ終わっていないと警告した。また報道官は、このような犯罪行為はすべて「戦争の一部」であると断言し、「戦略的な兄弟」と見なす民族解放軍(ELN)のゲリラのメンバーに敬意を表した。マグダレナ・メディオ・ブロックはFARC-EP)のサブディビジョナルユニットのひとつ。

 

ちなみに当初より疑問視されていた大統領の乗るヘリコプター情報がなぜ漏れたのかと言うことだが、SEMANA社が入手した機密報告書「セキュリティスキームで起こりうる情報漏洩について(Fuga de información, posible integrante del esquema de seguridad)」によるとドゥケ大統領の警護担当者が、飛行機が軍事基地に着陸した際の正確な情報を漏らしていたことが判明している。

 

その報告書には以下のようにある。

リチャードという名の男が、航空機を攻撃するスナイパーの指揮を執っていた。暗殺計画のために1ヶ月前に家とバン2台を購入。暗殺のために15日間でカタトゥンボからFARC反体制派10人がボゴタに到着、暗殺計画を実行。ドゥケに対する攻撃はバレットタイプのライフル、50ミリ口径、「ランプまたはドリズル」タイプの爆薬を使う。犯罪計画は「コロンビアの目標6」とし、大統領を緊急かつ確実にククタに移動させるために、第30旅団やノルテ・デ・サンタンデールの警察司令部を爆弾で攻撃する。ティブーから同市に持ち込んだ爆発物を使って、クスクタのコラル・デ・ピエドラ地区にある警察のシジンを攻撃することも計画。武器はセロ・ピコ地区の家で保管。ククタの検察庁本部や司法省庁舎への自動車爆弾も計画。それに際してはベネズエラ・ナンバーのバスや高級車を使う。

ちなみに実行されてしまった第30旅団への攻撃は技術的な問題で2000メートルあった起爆コードが290メートルしか作動しなかった。それ故惨劇は計画ほど大きくならなかった。全てのコードが正常に利用されていたならばこの軍司令部ごと完全に吹き飛ばされていた。

この当局からの手紙によって、エル・カピは、ドゥケの動向に関する機密情報を漏らしている元軍人の同僚が誰なのかを告白することにもなる。

 

EL TIEMPOが入手した情報ではブカラマンガの機動・航空作戦大隊で数年間一緒にいた中尉と大佐がいて、これらと常に連絡を取り合っていたという。そのうちの1人は軍の司令部で重要な地位にある。

国家警察長官のホルヘ・ルイス・バルガス・バレンシア(Jorge Luis Valgas Valencia)将軍は月曜日の午後、ホン・メチャスの居場所を特定するために、最高6億円の報奨金を提供することを発表した。また国務大臣もGAO-r33の解体、ホン・メチャスの逮捕目的で、1万4000人の制服組で構成されるノルテ・デ・サンタンデール特定司令部(CENOR)を創設した。「彼らを解体し、彼らがすべての過ちを償うまで、エスパルタ作戦と連動してこの司令部と執拗に協力していく」とモラノは語った。

ホン・メチャスは2016年、イバン・モルディスコとジェンティル・ドゥアルテの指揮のもと、FARC反体制派の第33戦線を組織し始めた。現時点では、彼が主要グループとともにベネズエラのズリア州にいる可能性があるという情報を得ているとバルガスは断言した。

 

参考資料:

  1. ¿Quién es alias Jhon Mechas, el hombre señalado de estar detrás del atendado al presidente Iván Duque?
  2. Un exmilitar colombiano, identificado entre los responsables del atentado contra el presidente Iván Duque
  3. Autoridades colombianas dicen que el ataque a Duque fue planeado “desde Venezuela”
  4. ¿Quién está detrás del reciente ataque contra el presidente Iván Duque?
  5. Colombia: el atentado contra el presidente Iván Duque fue planificado en Venezuela por disidentes de las FARC
  6. Capitán jubilado del ejército colombiano diseñó y ejecutó atentado contra Iván Duque
  7. Un coche bomba explota en una base militar en el norte de Colombia
  8. Exmilitar detenido por ataque a Duque quería volver a atentar en Bogotá
  9. Alias El Capi aceptaría cargos por atentado contra el presidente Iván Duque
10. ¿Extraditarán al ‘Capi’ por atentado a Duque y a militares de EE. UU.?
11. Hasta $600 millones por alias Jhon Mechas, autor de carro bomba en Cúcuta y atentando contra Duque
12. Disidencias de Farc reconocen atentado en Trigésima Brigada y contra Duque en Cúcuta

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