(Photo by Presidencia Perú)
3月8日、閣僚理事会のアニバル・トレス・バスケス(Aníbal Torres Vásquez)が内閣のメンバーを伴い議会本会議に登場、約2時間の演説の後「ペルー政治憲法130条を厳格に適用し、政府に対する信任の問題を国民代表に謹んで提出する」と述べ、信任投票を要請した。議会は行政府が行った要請について討論を午後6時半ごろから始め、翌9日午前1時19分に終了した。議論後の投票ではアニバル・トレス内閣は、賛成64票、反対58票、棄権2票を得、トレス自身もカスティージョ大統領の政権が始まって以降4人目の首相となった。
アニバル・トレスは「社会の平和と進歩の持続に貢献できると確信している」と記した公式文書を信任投票に先立ち、アクシオン・ポプラル(Acción Popular)の議員で議会議長マリア・デル・カルメン・アルバ(María del Carmen Alva Prieto)に宛てた。アニバル・トレスは議会での演説で「わが国の民主主義強化のための提案」を行うと発表していた。政府方針の発表の中で首相は、自国の発展と社会正義のためにガバナンスを維持し、政治的安定を保証するための協調行動を呼びかけた、また、議員や国民に、すべてのプロジェクト、プログラム、予算、施策はリアルなものであり、政府計画は「軌道に乗っている」と語った。大統領ペドロ・カスティージョ(Pedro Castillo)は官邸で行われた国際女性デーの祝いの席で「内閣への信任投票以上に、国民の成長と発展を確固たるものにするための信任投票である 」と述べた。また自身の政府は完全に民主的であり、耳を傾ける方法を知っていると断言した。
トレスは議員たちを前にし「やるべきことはたくさんある」と語り、また、国家が「真に市民に奉仕する」ことを確認するために、政府に来たのだと付け加えた。また、全国民が保険制度を利用できるようにするためにはまだ溝があること、何千もの環境負債の発生をタイムリーかつ強力に罰するための環境規制の枠組みがないこと、LGBTQ+の人々に対する偏見やさまざまな形の人種差別・差別がまだ存在していること、労働権がスローガンの域を脱していないことを認めている。トレスは、「国民のニーズと基本的人権は常に優先されなければならない」と断言し、最も弱い立場にある人々に寄り添うことを目的としたCOVID-19とへの対策や経済再活性化との戦いを続けるという政府の姿勢を強調した。
会議では野党議員のみならず信任を与えた議員からも厳しく問われた。本会議での討論で野党が最も厳しく批判したのは、カスティージョの大臣任命能力の欠如と、大統領や他の高官と汚職行為との関連性が疑われたことにある。軍や警察の昇進への介入、大統領側近の実業家への仕事の発注、影の内閣、カレリム・ロペスの宮殿とブレニャの家での存在があった。またまた、アマゾンなど一部の地域の放置や、ボリビアへ海への出口を提供すると語ったことについても厳しく非難された。
上述の通りトレス政権は賛成票が上回り信任を得ることができたことで、議会規則に記載されている不信任による首相と他の閣僚の辞任の受け入れには至らなかった。任命に反対する票は主にケイコ・フジモリ(Keiko Sofía Fujimori Higuchi)の率いるフエルサ・ポプラル(Fuerza Popular)、極右レノバシオン・ポピュラー(Renovación Popular)、超リベラルなアバンサ・パイス(Avanza País)、リベラルのアリアンサ・パラ・エル・プログレソ(Alianza para el Progreso)のメンバーによるものだ。アバンサ・パイスのパトリシア・チリノス(Patricia Chirinos)はトレス内閣を「平凡で、役立たずで、効果がない」と評価し、同僚のロセリ・アムルス(Roselli Amuruz)もは政府の「国家主義的政策」に疑問を呈した。なお答弁でトレスはカスティージョ政権に間違いがあったかもしれないことを認め、それを認めて修正すべきだと述べたが、討論中に彼の内閣が「平凡、無用、無能力、即興、腐敗」と評されたことを嘆いた。
今回の任命された大臣で最も疑問視されていたのはエルナン・コンドリ(Hernán Yury Condori Machado)だ。健康・保険を司る責任者は、COVID-19の第三波をマネジするための最低限の素養すら持っていないと指摘されており、医療協会もまた彼の辞任を要求している。エルナン・コンドリは、前保健大臣セバジョス・フロレス(Cevallos Flores)時に省庁が行なっていた高額な医療・医薬品の購入や、100万ドルという過剰なまでの規模のコンサルティング契約疑惑について指摘し、機関内のマフィアの存在疑惑を糾弾している。
これに対しセバジョスは、自らの政権時代には、すべての買い物が共和国会計監査人と調整されていたことを保証していると述べるとともに、保健省(Ministerio de Salud:MINSA)に問題、例えば少なくとも434人が無許可で4回目または5回目の接種を既に受けている、があることは否定できないとしながらも、コンドリと科学団体やペルー医師会(Colegio Médico del Perú:CMP)との間の「断絶」によって、同省内に「不安な雰囲気」が存在していると述べた。COVID-19のワクチン接種作業の担当者など貴重な人材が辞任したことで、この状況に拍車がかかったとも言及している。セバジョスは大統領がエルナン・コンドリに対する様々な非難から解任を決めた場合、再び保健大臣になるかと問われても「受け入れない」と答えた。現在彼は小児病院でインターンシップを管理し、自らの専門は小児科、新生児科で、今はそちらに専念しているからだとと語った。現保健大臣は、科学的裏付けのない製品を宣伝したこと、専門性を持たずに産科医療を行ったこと、フニン(Junín)での不適切な回収と不適合な交渉の罪の疑いで捜査されていることなど、各方面からその地位にふさわしくないという疑問が呈されている。フエルサ・ポプラル(Fuerza Popular)は、コンドリがポストとしての適性を欠くとして、彼に対する問責決議案を提出しており、3月10日(木)に審議・投票が行われる予定だ。(本内閣やこコンドリの記事はこちら)
参考資料:
1. EN VIVO: Pleno del Congreso debate solicitud de confianza solicitada por el Gabinete Aníbal Torres
2. Pedro Castillo afirmó que voto de confianza es para afianzar desarrollo del país
3. Cevallos sobre presuntas mafias que denuncia Condori en el Minsa: “No precisa, mete a todos en una bolsa”
4. Cuarto Gabinete logró voto de confianza en medio de graves cuestionamientos
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