(photo by Ian Starr)
スペイン語で書評を書くという良い機会(宿題)を得たこともあり、エクアドルジャングルでの滞在や、そこで得た知識、帰ってきてからこの本を通じて感じたことを徒然なるままに、書いてみることとする。なお私自身は小学校の頃から読書感想文の宿題は毎回スキップするほど、それが大の苦手だ。その点加味していただければ幸いだ。
なおこの本は分上下巻と2部構成でしかも分厚いハードカバー。シャーマンと書いてあって怪しいと思う人にも、ぜひ手に取ってほしいと思える一冊、いや二冊だ。なお、ダラダラと長文が続くという代物ではなく、アマゾンで得た知識の多さが長編へと導いた。飽きることなく読み進めることができると思う。私の意識を変えた一冊とも言えるだろう。この本と民族植物学者(著書)のプロトキン博士には感謝してもしたりない。
なお下記感想は、スペイン語で考えたものを日本語化したこともあり、少し違和感が出ている気もするが悪しからず。
エクアドルの国立公園となっているジャングルを訪れた時、ガイドや先住民の人たちが自然の大切さを教えてくれた。誰も植物や動物なしでは生きられないし、地球とともに生きていく必要があるとも。こんな誰でも知っている当たり前のこと、でも忘れがちなこれらのことを、彼らは再確認させてくれた。
インディヘナの人々は自然とともに生きる術を教えてくれた。化粧に使える葉っぱがあルコと、それはマニキュアのような効果を持ち爪に色をつけてくれること。蟻を食べることで特定の病を治してくれること、そしてアスピリンのような効果を持つ木があること、歩く木があることなど。彼らの持つ知識は多岐にわたる。何世代も前からこれら神から与えられた恵をシャーマンや先祖代々付けついできた治癒法を用いるヒーラーたちは活用し病や西洋医学ではたち行かない症状をも治してきた。
これらのリソースはともすれば利権を独占する多国籍企業や大手製薬会社のためのみに存在するのではなく、むしろ先住民やエクアドルの人々のためにある。これらの知識を保存し、後世に伝えていくことは必須であり、持続可能な生活を送るため、そして我々人間自身にも欠かすこともできない。
この本は教授が10年かけアマゾンに通い、先住民コミュニティから聴取した内容が詰まっている。医療のヒントにももちろんなろうが、土着の人々の歴史重んじ、またそれらに興味を持っている人々にも最適な一冊だ。ぜひ一度読んでいただきたい、そう強く思う。
追伸:
毎年多くのジャングルが経済的事由により失われいる。地球の肺である森林の破壊は地球温暖化の原因にもなっている。土地を追われた先住民は、その文化のみならず何世代にもわたり継承してきた知識をも失う。今最も絶滅の危機に瀕しているのはこれら先住民だと博士は言う。自然、先住民、知識は我々の宝だ。我々が今すべき事は持続可能な社会づくりと、それをサポートする体制づくりだろう。
博士はTEDでプレゼンテーションもしている。
参考:
1. TEDGlobal 2014 Mark Plotkin: What the people of the Amazon know that you don’t
2. La Amazonía podría salvarnos la vida
3. Amazon Conservation Team
4. An interview with ethnobotanist Dr. Mark Plotkin: Indigenous people are key to rainforest conservation efforts says renowned ethnobotanist
作品情報:
名前: Tales of a Shaman’s Apprentice: An Ethnobotanist Searches for New Medicines in the Rain Forest
(邦題:シャーマンの弟子になった民族植物学者の話)
発売日: 1994/8/1
著者: Mark J. Plotkin
ジャンル:歴史・地理、文化人類学
Audio Bookもペーパーバックもamazon.comから購入できる。
No Comments