ハイチ:軍司令部に対する襲撃とハイチ代表による国連総会における演説

2024年9月26日(木)午後2時30分頃、ハイチの首都ポルトプランスのシャン・ド・マルス(Champs-de-Mars)で緊迫した状況が続いた。ガリ・コニル(Garry Conille)首相の事務所すぐ近くあるハイチ軍大本部(Grand quartier général de l’armée d’Haïti)に対し市内中心部で活動するギャングが武力攻撃を起こしたことによる。自動小銃を持ったギャングが建物に発砲し、軍施設の警備担当者がこれに対応した。日刊紙『Le Facteur Haiti』によれば、ハイチ軍とケニア軍が装甲車で駆けつけた。両軍が応戦に間に合ったこともあり、攻撃は最終的に阻止された。ギャング団が軍本部を掌握しようとした時、シャン・ド・マルス周辺、特にハイチ国立宮殿付近でも爆発音が聞こえた。

地元放送局は、ポルトープランスの80パーセントを支配する犯罪組織との闘いにおいて、ハイチ国家警察がケニア軍とともにその戦果をさまざまな場所で祝っている矢先のことであり、ギャングの襲撃は皆を驚かせたとコメントしている。

 

このような襲撃が起きた同日の木曜日、ハイチ大統領評議会のエドガ・ルブラン・フィルス(Edgard Leblanc Fils)議長(正式な肩書きは大統領移行評議会議長)は国連総会の年次討論会で、現在派遣されている安全保障支援ミッションを国連が強制する平和維持活動に転換するための議論を開始するよう求めた。 「この変革によって、より安定した資金を確保し、ミッションの能力を拡大することが可能になるだけでなく、ハイチの安全保障に対する国連加盟国のコミットメントを強化することができる」と述べ、さらに、暴走するギャングの暴力を抑えるのに苦労しているため、将来が危機に瀕しているハイチの悲惨な姿を描いた。ルブラン・フィルスが国連総会で語ったのは、武装ギャングの勢力が拡大していて、ハイチがかつてない深刻な治安危機に直面していることであり、「首都圏のギャングの50%は子供と青少年であり、彼らはしばしば法執行活動の大砲の餌となっている」ということであり、「市民は、特に首都ポルトープリンス周辺では、自由に移動したり、学校に行ったりすることさえ怯えながら暮らしている」と言うことだ。このような状況はハイチ人の生活のあらゆる面に影響を及ぼし、国の制度を弱体化させ、経済を麻痺させており、ハイチの人々は希望を見出せないでいる。

ルブランは米国ドナルド・トランプを想起し「選挙キャンペーン中に自然に生じる情熱は、アメリカのような国、つまりあらゆる国からの移民によって築かれた国において、外国人嫌悪や人種差別の口実として決して役立つべきではない」とトランプやその支持者が繰り返す差別主義的対応に対しても懸念も表明している。トランプはオハイオ州スプリングフィールドでハイチ移民が犬猫などのペットを食べていると主張した。この発言は米国や世界中に住むハイチ人に深刻な結果をもたらす可能性がある。一方、ルブランは「私たちの国からの移民、特にオハイオ州スプリングフィールドに住む移民に連帯を示してくれたハイチのすべての友人たちに、兄弟としての挨拶を送りたい」と述べている。ルブランはハイチ人が国内外で示した献身と勤勉な精神についても説明しており、実際、ハイチ移民は長い間アメリカ社会で重要な役割を果たしてきた。

ルブランは暫定評議国政選挙候補者擁立する国民会議開催を通じてハイチ平和安全参加民主主義導く決意ある強調した ハイチ問題の解決は、国民の責任ではある。しかしその一方ハイチの現状は様々な国による介入の一方、都合が悪くなると見捨ててきた国際社会にあるとも言える。

 

#ハイチ大統領暗殺事件 #ハイチ危機

 

参考資料:

1. Haïti : Attaque armée contre le Grand quartier général de l’armée à Port-au-Prince
2. Haití en tensión, atacaron Cuartel General del Ejército
3. CPT: solución de Haití descansa sobre el pueblo, pero comunidad internacional debe aportar
4. Haitian leader supports creating UN-led mission to quell country’s gang violence

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