(Photo:@avnve /X)
2月15日(木)午後、イバン・ヒル(Yvan Gil)外相は、ベネズエラ政府は、カラカスにある国連人権高等弁務官技術顧問事務所の活動を停止することを決定したこと、さらに今後30日以内に、同事務所との間で交わされた覚書に記載されている「技術協力条件の包括的な見直し」を行うと発表した。
ヒルは同事務所がニコラス・マドゥロ(Nicolás Maduro)大統領政権に反対する言論を維持するための道具となっていること、「国際社会の前で、国連憲章に違反する植民地主義的で虐待的な態度を正すまで」そこで働く職員を追放することも述べている。このベネズエラの決定は、技術諮問事務所の職員の追放(72時間以内に国外退去)も含まれている。
#Comunicado Venezuela anuncia su decisión de suspender las actividades de la Oficina Técnica de Asesoría del Alto Comisionado de Naciones Unidas para los Derechos Humanos en Venezuela y realizar una revisión integral de los términos de cooperación técnica descritos en la Carta de… pic.twitter.com/6OUb85cCIf
— Yvan Gil (@yvangil) February 15, 2024
この決定は「テロリズム」の容疑で活動家ロシオ・サンミゲル(Rocio San Miguel)の逮捕をきっかけにする。サンミゲル容疑者の逮捕は、暗殺計画に関係しているとされるが、高等弁務官だけでなく、米国や欧州連合(EU)も政治的自由により逮捕されたのではないかと「深い懸念」を抱いている。しかしベネズエラによれば「この機関が、公平な機関であるどころか、クーデターの主な標的であるクーデター計画者やテロリストのグループの私的な事務所と化してしまったという、不適切な役割を果たしてきた」ため国連機関を活動停止とした。
「ベネズエラ政府と国民に不利な言論を維持するために、この機関が国際的な議論の場として繰り返し利用されていることを遺憾に思う。公平な態度とは程遠く、クーデター計画者やテロリストの私的な事務所と化している」と外務大臣は声明を読み上げた。
また、平和と共存に損害を与えかねないにもかかわらず、さまざまな暗殺未遂、クーデター、陰謀、その他国家主権と憲法に対する重大な攻撃に関与する者たちの免責を国連は常に求めてきたと大臣は付け加えた。ベネズエラ政府は、このような行為に直面しても忍耐強く対処し、対話を通じて、この事務所の業務を真実と国際的な合法性の尊重に向けるよう繰り返し求めてきたと言う。しかしベネズエラからの要請には応じなかったことから、このような状態になった。
Que @amnistia, @_Provea y sus ONGs asociadas al Departamento de Estado demuestren solidaridad automática con quienes son investigados por delitos contra el orden constitucional en Venezuela, no es cosa nueva. ¿Y si es un intento de Magnicidio lo que se investiga? ¡Mucho más… pic.twitter.com/YptJ88ylsy
— Alfred Nazareth (@luchaalmada) February 13, 2024
ヒルはまた、パレスチナ人に対するジェノサイドが完全な不処罰の中で激化している時に、ガザ地区での即時停戦を求めたりせず、それどころか、事実を偽造し、嘘、偽情報、操作でベネズエラに対する攻撃を増長させていることを非難した。
これは国連憲章に違反し、ベネズエラとの間で交わされた覚書の基準を満たしていない。さらに、国連が採択した決議で義務づけられているように、国家の主権、領土保全、内政管轄権を軽視するものである。
ベネズエラ政府は国連人権高等弁務官事務所に対し、国際的な合法性を尊重するよう求めるとともに、人権擁護のための国際的なメカニズムへの協力を継続する意思を改めて表明している。
記者会見で外相は、人権高等弁務官事務所が国家機関の行動に対して繰り返し圧力をかけ、疑問を呈していることを明らかにし、これはいかなる国家にとっても容認できることではなく、ベネズエラ国家は人権分野におけるすべての公約を維持していることを明らかにした。
その一方で、ニコラス・マドゥロ大統領やその他の高官を暗殺し、国内に暴力と混乱を引き起こすことを目的とした極右勢力による陰謀が頓挫したことについて、カラカスの技術事務所や国連人権高等弁務官事務所からの声明がないことを非難している。
ジュネーブ高等弁務官事務所はこの決定を遺憾に思い、次にどのような措置を取るべきか「評価中」だと述べた。「われわれは当局やその他の関係者と関与を続けている。我々の指針は、ベネズエラ人の人権の促進と保護であり、今後もそうあり続ける」と、ラヴィナ・シャムダサニ(Ravina Shamdasani)報道官はAFP通信に送った声明の中で述べている。
高等弁務官技術諮問室は、チリのミチェル・バチェレ(Michelle Bachelet)前大統領が在任していた2019年にベネズエラに設置された。その主な任務は、高等弁務官が人権理事会に提出する報告書で「出された勧告を効果的に実施するための支援を提供する」ことだ。2019年以降、ベネズエラに関する報告書は少なくとも6件ある。
2022年8月に退任する前、バチェレはベネズエラの人権に進展が見られるが、まだ「やるべきことがたくさんある」と述べていた。彼女の後任であるフォルカ・テュルク(Volker Türk)は、2023年1月にベネズエラを訪問し、あと2年間執務することで合意した。滞在中、彼は当局に対し、「恣意的に」拘束されている人物をすべて釈放するよう促し、拷問をなくすための措置を主張していた。同総監は、政府当局だけでなく、市民社会のさまざまなセクターと会談し、超法規的処刑に関する苦情を取り上げた。しかし、同国では拘置所への立ち入りが制限されていると述べていた。
国連人権高等弁務官技術顧問事務所の活動を停止はしたものの一方、ヒルは、ベネズエラは「ジュネーブの高等弁務官事務所に引き続き協力する」とも述べている。
サンミゲル事件
ベネズエラ有数の軍事専門家であるロシオ・サン・ミゲルは2月9日、家族を連れてマイアミに向かう途中のマイケティア国際空港で逮捕された。日曜日の午後に司タレク・ウィリアム・サアブ(Tarek William Saab)法長官がその逮捕を確認するとともに、声明でロシオ・サンミゲルが「国家元首ニコラス・マドゥロや他の高官の命を狙うことを目的とした『白い腕章(Brazalete Blanco)』として知られる陰謀と暗殺未遂計画、およびサン・クリストバル(タチラ)の複数の軍部隊や国内の他の組織への攻撃に関連し、言及された疑いがあるとして逮捕状が出ている」ことを述べている。
スペインの日刊紙『エル・パイス(El País)』によると、逮捕したのは軍事防諜総局(Dirección General de Contrainteligencia Militar:DGCIM)で、娘ミランダ(Miranda)は金曜日に釈放されたものの翌日、航空会社のカウンターで荷物を受け取るよう当局から電話があって以来、彼女の消息はつかめず、ともに拘留中とみられている。その他逮捕されているのは
サンミゲルの2人の兄弟、彼女の元夫アレハンドロ・ホセ・ゴンサレス・カナレス(Alejandro José Gonzales)、ミランダの父ビクトル・ディアス・パルタ(Víctor Díaz)である。月曜日、サアブ検察官は、サンミゲルと元夫を投獄し、残りの拘留者を仮釈放するよう求めるとは述べた。ゴンサレス元大佐は、「政治的・軍事的秘密を暴露した」容疑だ。一方のロシオ・サンミゲルは国家反逆罪、陰謀罪、テロリズム、結社などの罪に問われていると付け加えているた。
「本日2月13日午前10時30分現在、技術弁護団は、ロシオ・サン・ミゲルとも、またカルロス・リエンド(Carlos Liendo)判事のもと、テロリズムを管轄する第二管理裁判所に出頭している5人の家族とも連絡が取れていない」と弁護団は声明で述べた。「それぞれの行方がわからないため、強制失踪は続いている。ロシオ・サン・ミゲルは100時間監禁されている」。「ロシオ・サンミゲルの聴聞会には、憲法第44条に定められた適正手続きの一環として、法的援助を受ける権利を保証するために、彼女が信頼する弁護士が出席する必要があった」と専門家の弁護団は続けた。
. @WOLA_org premia a @_provea por su valentía en la defensa de los DDHH y valores democráticos
Felicitaciones a todo el equipo de Provea
Merecido reconocimiento a una trayectoria ejemplar en la defensa de los DDHH en Venezuela pic.twitter.com/pHdStKLv7X— Control Ciudadano (@ovesede) February 8, 2024
水曜日、カラカスの国連本部の前で数十人の活動家が集会を開き、市民や軍に対する人権侵害の事例を記録するNGO「コントロル・シウダダノ(Control Ciudadano)」のディレクターであり、軍事問題の権威であるサン・ミゲルの釈放を要求した。Proveaなどのベネズエラの人権団体は、「虐待の犠牲者の保護の欠如を増大させ、国際機関による精査を妨げようとする」政府の決定を非難している。Proveaジェネラル・コーディネーターであるオスカル・ムリジョ(Óscar Murillo)はCNNの取材に対し、ロシオ・サンミゲルのケースは「ベネズエラにおける法の支配の消滅を裏付けるものだ」と語った。
マドゥロ政権に反対する人々への政治的迫害は、今年大統領選挙が実施されるベネズエラにおいて、選挙という状況の中で悪化している。「ニコラス・マドゥロ大統領自身が1月23日に開始したボリバルな怒りという計画は、労働組合の指導者、社会的指導者、ジャーナリストに影響を与えた政治的抑圧の前進を構成している」。事実ベネズエラには261人の政治犯がいるが、ここにはNGOのForo Penalによると、18人の女性と146人の軍人を含んでいる。
参考資料:
1. Venezuela suspende actividades de oficina técnica de asesoría del Alto Comisionado de ONU para DD.HH.
2. Venezuela suspende a la oficina de DDHH de la ONU y expulsa a su personal
3. ¿Quién es Rocío San Miguel, la experta en temas militares acusada de “traición a la patria” y “terrorismo” en Venezuela?
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