(Resource:Reuter, Grafic:LR-MN)
※本記事はMarcos González Díaz、Victoria Kornによるコラムを主に参照している。本文は参考資料からアクセス可能。
セミジャ運動(Movimiento Semilla)の大統領候補者たちは、8月10日木曜日、自分たちに対する偽情報キャンペーンを非難した。「我々は、誤った情報を流したり、ヘイトスピーチを助長しようとするいかなるキャンペーンにも反対する。グアテマラ国民は彼らの嘘を受け入れない。真実と変革への願望が勝つだろう」。とソーシャルネットワークを通じ対立候補であるサンドラ・トレス(Sandra Torres)自体も率先して拒否情報を流布している偽情報、「トレス候補が集会で撒き散らす侮辱」をベルナルド・アレバロ・デ・レオン(Bernardo Arévalo de León)は避難している。
https://twitter.com/BArevalodeLeon/status/1689708054961373184
「サンドラ・トレスが、今日我々が目にしている嘘、偽情報、憎悪のメッセージの主役であることは容認できない」とアレバロは述べ、これは「選挙プロセスの自由な発展を狙った直接的な被害である(中略)彼女は、恐怖心から、あるいは真実ではない情報から、人々を騙して投票させようとしている」と付け加えた。
この請願には副大統領候補のカリン・エレラ(Karin Herrera)も参入し、サンドラ・トレスが8月5日の集会で表明した憎悪と差別を糾弾した。「グアテマラは、外国人嫌悪、侮辱、下品な言葉しか流さない政策を容認し続けるならば、変わることも繁栄することもできない」と述べた。
希望の国民統一(Unidad Nacional de la Esperanza:UNE)の大統領候補によると「セミジャの連中は女々しくて穴だらけの連中だ。UNEでは男も女もはっきりしていて、ここでは中途半端なことはしない」。この発言はチマルテナンゴ(Chimaltenango)のサン・マルティン・ジロテペケ(San Martín Jilotepeque)で開かれた政治集会で発せられたメッセージの一部だ。
セミジャ運動の大統領候補は、自分に対する偽情報キャンペーンに関してとる法的措置についてまだ評価中であり、証拠をまとめていると述べている。サンドラ・トレスは自身への非難に対し8月10日(木)に記者会見を開き言及した。彼女曰く「私は自分の選挙運動に集中しており、彼のように誰かを失脚させることに集中してなどいない」。
米州機構(Organización de los Estados Americanos:OEA)のルイス・アルマグロ(Luis Almagro)事務総長は、2023年8月1日から4日にかけてグアテマラ共和国を訪問し調査し、直近で常任理事会に提出した報告書について語っている。それによると「今回の訪問で、選挙イベントに関与する組織に対し『このプロセスの継続性と有効性の基礎となる』コミットメントを得ることができた」。「第1ラウンドと第2ラウンドの選挙結果は、現在から8月20日までの間、絶対に尊重されなければならない」とOAS事務総長は述べた。彼は同国の監視ミッションを「8月20日(2023年)から1月14日(2024年)まで引き続き実施する」ことを述べている。2024年1月14日以降は、同国の統治状況と新政府の発足次第で、延期となるのか、それともここで終わるのかが決定されると付け加えた。この国にOEAが入ったのは選挙プロセスに疑念を抱かせる司法手続きがあったからである。
https://twitter.com/OEA_oficial/status/1689726033270874112
グアテマラには攻撃と脅迫が一般的とされる「選挙過程における過剰な司法化」に起因する、選挙環境で生じる状況から政治的背景が存在する。それを明らかにする必要がある。アルマグロによると「大統領選挙キャンペーンは、組織犯罪の行動によって特徴づけられている」。「今回の選挙は他の選挙に比べて暴力的ではなかったが、組織犯罪は国や地方レベルの選挙に関心を持っている。得られるすべての免罪符に関心がある」と述べた。アルマグロはまた報告書の中で、「現在、最高選挙裁判所に対して、結果の伝達システム、関係者に対する逮捕状、選挙記録の請求、証言召喚など、十数件の訴訟が行われている」と詳述した。
OEA事務総長は、これらの行動は「6月25日の選挙に疑問を投げかけることから始まり、投票所の名前を要求し、結果を発表するシステムにも疑問を投げかけ、プロセスに疑念を投げかけた」と述べた。さらにアルマグロ氏は、再集計プロセスは無駄であり、実質的には何も変わらなかったが、「威圧的な効果があり、状況を変える効果があった」と主張した。
またOES事務総長は、候補者はグアテマラの課題と、これらのグループを取り囲む汚職行為による政治への信頼の欠如による国民の不満に直面しなければならないと指摘した。同団体の代表は、「抗議票が選挙に勝利したことは非常に明らかだ」と述べた。
また、「第2ラウンドに進出した2人の候補者は、汚職と交渉しないことを明確にしなければならない」と述べた。これに加え、「この選挙プロセスで起こりうるあらゆる汚職事件」に直面した場合、当局は、「しかし、リンチすることなく、偏見を持つことなく、法の支配を最大限に尊重した上で」、汚職が一掃されるよう支援すべきだと説明した。最後にアルマグロは、「最高選挙裁判所に対する我々の勧告は、各投票所における各政治団体の得票が記録された4番の書類の写真撮影など、承認されたメカニズムを通じて選挙プロセスを透明化することである」と述べている。
選挙結果が尊重され現大統領から新大統領へ引き継ぎがちゃんとなされるのかについてもアルマグロは、グアテマラのアレハンドロ・ジャンマッテイ(Alejandro Giammattei)大統領は「1月14日、議会が決定する時期に政権を引き渡す」と述べたことを強調した。8月20日に実施される選挙について、アルマグロは、大統領府と検察庁(Ministerio Público:MP)がこれらの約束をすることが重要であると指摘した。この点について、OEA事務総長は、「公約は、このプロセスの継続性と有効性の基本である」と説明した。第1ラウンドと第2ラウンドの選挙結果は絶対に尊重されなければならない」と述べている。
検察庁が現職の大統領(最初はモラレス、2019年以降はアレハンドロ・ジャンマッテイ)を擁護し、彼の考えに賛同しない者を迫害する道具となるのが常だった。この傾向は、裁判官や独立メディアに対する犯罪の増加につながった。その結果、汚職関連事件に取り組む約40人の司法関係者と、それを調査する約20人のジャーナリストが逮捕されるか、刑務所を避けるためにグアテマラを離れることを選んだ。「グアテマラでは、民主主義の破壊を目的とした権威主義的なプロジェクトが行われている」と、4月に同国を訪れたヒューマン・ライツ・ウォッチは非難した。
アレハンドロ・ジャンマッテイ大統領は、こうした非難に言及することはほとんどなかったが、昨年、米州人権委員会(IACHR)の報告書にグアテマラが人権侵害国に含まれていた際には、これを真っ向から否定した。大統領は、国際機関が指摘した「権力の乱用」や「司法の独立の組織的侵害、ましてや国家機関の反抗行為」を否定した。
グアテマラのアナリスト、レンソ・ロサル(Renzo Rosal)は、「物議を醸すような決定、政治の司法化の高さ、候補者や司法関係者への迫害は、投票の数日前になって、この国の雰囲気がかなり希薄で暗いことを意味している」と語っている。「他の選挙のような祝賀ムードや高揚感はない。今回の選挙は、グアテマラで一度も強化されたことのない民主主義の後退と、権威主義の強化によって特徴づけられる」と彼は付け加える。
裁判官やジャーナリストが犯罪者にされたこれらのケースのほとんどで繰り返される名前のひとつが、グアテマラのコンスエロ・ポラス(Consuelo Porras)司法長官である。彼は2018年から就任しているが、彼らに対する迫害キャンペーンを主導していると非難されており、米国は彼を司法妨害の「腐敗した反民主的な」行為者のリストに含めてさえいる。
64歳の社会学者で元外交官であるアレバロが第2ラウンドに進出したことは驚きであった。1944年のグアテマラ革命後、初の民選大統領となったフアン・ホセ・アレバロの息子である。2015年に国を揺るがした抗議運動から生まれた政党から出馬したアレバロが、世論調査の人気投票には一度も登場しなかったにもかかわらず、11.8%の得票率で2位になったことによる。この結果は、過去3人の右派大統領に投票してきた伝統的に保守的な国であるグアテマラで、左派に近い候補者が第2ラウンドに進出したという事実もあり、驚きとなった。これは「古い政治」への懲罰であり、現在の政治体制への拒否反応であるとアナリストは解釈している。
セミジャの主な支持層は、若者や学生運動、首都などの都市部である。アレバロの主な選挙運動の旗印のひとつは、国家における汚職との闘いであり、彼は国家汚職防止システムの設立を擁護し、モラレス前大統領の決定によって2019年に離脱した無処罰問題対策国際委員会(Comisión Internacional Contra la Impunidad en Guatemala:CICIG)の活動を賞賛している。セミジャの提案には、治安分野における刑務所の管理、国家市民警察の強化、公共投資による道路やインフラの建設による雇用の創出、400以上の保健ポストの新設、学生への奨学金支給などが含まれている。
しかし、グアテマラ国民によって最も投票されたのはトレスでもアレバロでもなく、無効票であり、その割合は17.3%であった。これは、国家の汚職に対する複数の告発、不正行為に対する告発、そして大統領になる可能性の高かった3人の候補者(カルロス・ピネダ(Carlos Pineda)、テルマ・カブレラ(Thelma Cabrera)、ロベルト・アルス(Roberto Arzú))の選挙当局による出馬阻止が背景にある。国民は抗議の象徴としてこの無効投票を推進した。930万人以上のグアテマラ国民が投票に呼びかけられたが、棄権率が40%に達したことも、この選挙離れを証明している。しかし、この数字はグアテマラでは伝統的に高く、2019年の第1回投票では38%、第2回投票では58%だった。
トレスの政治生命は2003年、元夫が政権を取った政党、希望の党(UNE)の共同創設者として始まった。同党は当初、社会民主主義を標榜していたが、現在では保守的な国民の票を獲得するため、中道右派に傾倒していると分析されている。例えば、副大統領候補は福音派の牧師で、大きな論争を巻き起こし、「いかなる宗教またはカルトの聖職者」もこの役職に立候補する資格はないとする憲法の条文に基づき、参加を阻止する法的手続きで争われたが、失敗に終わった。
著名なグアテマラ人ジャーナリストのフアン・ルイス・フォント(Juan Luis Font)は、トレスを「グアテマラにおける変革者」と定義している。ファーストレディーとして過ごした数年間、トレスは主導的な役割を担い、社会的プログラムへのコミットメントで際立った存在だった。レンソ・ロサルはBBC Mundoに「実際、彼女は副大統領よりも強力な権力を持っていた」と語る。ルイス・フォントによると彼女は初めて、条件付現金給付(transferencias condicionadas)、連帯食堂(comedores solidarios)の開設、その他貧困と闘うためのプログラムの実行において国家に役割を担わせた。10年以上にわたって同国の汚職と闘い、著名な指導者たちの投獄につながった国際不処罰委員会の復活の可能性に反対していたトレスは、2019年に自身の政党の違法な選挙資金調達と不正な結社の疑いで逮捕された。数カ月の獄中生活の後、昨年末に無罪が確定するまで自宅軟禁されていた。強烈な個性を持つトレスは都市部に「アンチ・ヴォト(antivoto)」(彼女に投票するくらいなら誰にも投票しない人々)に悩まされている(2019年、彼女は第1回投票で最多得票を獲得したが、第2回投票でジャンマッテイに敗れた)。彼女の最も強い支持は農村部で、特に女性に重点を置いている。
https://twitter.com/SandraTorresGUA/status/1689291166494126081
トレスは選挙戦で、これらの社会プログラムを復活させることに加え、シングルマザーの最低賃金を半額にすること、基本的な商品バスケットの付加価値税を撤廃すること、さらにエルサルバドルのブケレの治安戦略を模倣し、「二国間協定」を結ぶことを約束した。彼はまた、刑務所に「介入」し、「軍事化」し、最高警備刑務所をさらに建設すると述べた。
トレスが特に都市部で生み出す拒否反応の高さから集中する「アンチ・ヴォト」のレベルを考えると、アナリストたちは、過去2回の選挙がそうであったように、第2ラウンドで彼女と対決する候補者の勝利はほぼ確実だと考える傾向がある。「トレスはこれまで第2ラウンドを突破したことはないが、これまでは常に右派政党と競い合ってきた。今回の場合、ライバルには顕著な違いがあるため、状況は変わる。また、日曜日に投票しなかった市民が、アレバロという別の選択肢を見て、今投票に踏み切る可能性もある……要するに、今回の第2ラウンドはかなり接戦になるだろう」とレンソ・ロサルは結論づけた。
今回選挙に関するその他の記事はこちらから。
参考資料:
1. Almagro contundente: Giammattei entregará el poder al ganador del 20 de agosto
2. Guatemala | El arte de criminalizar a jueces, periodistas y candidatos electorales – Por Victoria Korn
3. Elecciones en Guatemala: quiénes son Sandra Torres y Bernardo Arévalo, la eterna candidata y el aspirante sorpresa que se disputarán la presidencia
4. Bernardo Arévalo le solicita a Sandra Torres detener campaña en su contra y ella le pide pruebas
5. Guatemala | Una eterna candidata y un aspirante sorpresa se disputarán la presidencia – Por Marcos González Díaz
6. Informe Elecciones Generales – Guatemala 2023
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