全国選挙評議会(CNE)は、2023年に行われる大統領候補者討論会の順番を決める抽選を行った。抽選会は公開で行われ、公証人が出席した。抽選で選ばれたのは、テレビ(エクアドルTV)の位置と大統領候補の介入順だった。
候補者の位置と略歴ビデオの上映は以下の順番で行われる
1) ヤク・ペレス(Yaku Pérez)
2) ボリバル・アルミホス(Bolívar Armijos)
3) フェルナンド・ビジャビセンシオ(Fernando Villavicencio)
4) ルイサ・ゴンサレス(Luisa González)
5) ハビエル・エルバス(Xavier Hervas)
6) ダニエル・ノボア(Daniel Noboa)
7) オット・ソンネンホルツナ(Otto Sonnenholzner)
8) ヤン・トピック(Jan Topic)
また、5つのテーマ(安全保障、経済、社会政策、民主主義、環境)に絞り話が進むが、話題を振るのは下記4人の候補者だ。
テーマ軸1(治安と非行・組織犯罪の影響の包括的管理) ヤン・トピック
テーマ軸2(経済システム、雇用創出、生産性開発):ボリバル・アルミホス
テーマ軸3(社会政策:教育、健康、文化、家族、社会福祉):オット・ソンネンホルツナ
テーマ軸4(民主主義、制度、市民参加):ダニエル・ノボア
テーマ軸5(持続可能性、リスク管理、環境保全):司会者がサポート
討論会は19:00から22:00まで国営ラジオとテレビで行われる。参加するのはルイサ・ゴンサレス、オット・ソンネンホルツナ、ヤク・ペレス、ダニエル・ノボア、ボリーバル・アルミホス、フェルナンド・ビジャビセンシオ、ハビエル・エルバス、ヤン・トピックの8人。
選挙討論委員会は最も関連性の高い問題を取り上げるため、質問の数を40から20に減らした。各候補者は1分間で質問に答え、45秒間で返答し、同じ時間で反論する。討論会の司会者はシセラ・バヨナ(Gisella Bayona)とアンドレス・フングブルス(Andrés Jungbluth)が務める。
なお、事前にわかっていることとしては8人の大統領候補全てはドル体制の維持を提案していると言うことだ。しかし手放しでそれを支持しているわけではなく懸念の色合いを見せる候補者もいる。なおアミゴ運動のボリバル・アルミホスだけが、この問題に言及していない。
市民革命の候補者であるルイサ・ゴンサレスは、ドル化に批判的な政治運動の出身だが、「私たちの政策はドルであり、脱ドルの計画はない」ときっぱり述べている。しかし、彼女の伴走者であるアンドレス・アラウス(Andrés Arauz)は、エクアドルが経済的に完全なる脱ドル化は不可能であることを残念に思っている。エクアドルにおけるドル化への参入はトラウマ的なものだったが、一方で撤退は破滅的なものになり、「金融システムの不安定化を意味する」と彼は認めている。その一方彼らコレア主義者等が推し進めたいとしているのは電子的な決済手段、エクアドル中央銀行のデジタルマネーの導入、つまり「ecuadolarisation」と呼ぶ主権仮想通貨システムの構築である。アラウスは前回の大統領選挙立候補時点でも同様のことを言及している。ecuadolarisationについてアラウスは「近代的な技術、電子的な決済手段の利用に基づくもので旧来型の兌換ではなく、電子的手段による決済方法であり、エクアドルで慢性化している資本逃避を避けるために、支払いの槍の管理における非常に積極的な政策である」と説明した。経済学者でアナリストのウォルタ・スパリエは2023年8月6日付のエル・ウニベルソ紙に掲載されたコラムで、この「等極化」の提案について説明している。実際の効果は、「国家がドルを吸収し、私たちの口座からドルがなくなる」ということだという。しかし、スクレやペソのような、銀行でドルに交換できる別の通貨を受け取るのではなく、エクアドルドルという国内でのみ有効な決済手段を受け取ることになる」。スパリエは、エクアドル国民はもはや紙幣を受け取らず「パタコネス」と呼ぶ一種の電子約束手形を受け取ることになると説明する。しかし、同氏もまた「当局が紙幣の流通を完全になくすことは難しい」と述べていた。公共交通機関の料金を支払ったり、ソフトドリンクを買ったりするのに振り込みは面倒だ」からだ。選択肢としては、「エクアドルをドルに換えるための毎月の割り当て」があるのではないかと、アナリストは推測していた。アラウスによる提案はは2023年4月のもので、臨時選挙が行われることが判明する前のものだが、ゴンサレスはアラウズが政権において経済政策を担当することを明言していることから、彼女が当選した折には、別の言説が生まれる可能性は大いにありうる。
Este es el texto de la entrevista. Te invito a leerla en vez de creer en memes. Ya estamos grandecitos para no entender el poder del capital financiero y sus tentáculos en los medios. pic.twitter.com/3WVuxqbgQG
— Andrés Arauz (@ecuarauz) August 8, 2023
Unidad Popular、Partido Socialista Ecuatoriano、Democracia Síの3党から構成される同盟Claro que se puedeの候補者であるヤク・ペレスは、公的財産や共同体財産と共存する私有財産を尊重し、ドル化を強化することを提案する。
国民民主行動同盟(Acción Democrática Nacional:ADN)はレニン・モレノ元大統領の従兄弟が代表を務める人民・平等・民主主義同盟(los movimientos Pueblo, Igualdad y Democracia)とMover(旧Alianza PAIS)からなる。同盟からの候補者となったダニエル・ノボアは、4つの行動指針を掲げ、ドル化の保護にも熱心だ。「安定した予測可能な経済は、内外の投資を誘致し、雇用を創出するための基本的な要件であ」り、また「財政規律を維持し、財政運営に責任を持つことが不可欠である」と説明している。そのためには「国際準備高を増やすべきであり、これは外部からの経済的ショックに備えたセーフティネットとなる。これらの措置は、ドル化を維持するのに役立つだけでなく、投資家に対してポジティブなシグナルを送ることになる」と述べた。
Estamos aquí para hacernos cargo y resolver, de una vez por todas, los problemas más urgentes que tenemos los ecuatorianos.
¡Basta de que no nos dejen avanzar! ¡Basta de vivir asustados! ¡Basta de no poder trabajar ni progresar!
¡Es hora de llevar juntos al Ecuador hacia… pic.twitter.com/tTQFBQeYo5
— Otto Sonnenholzner (@ottosonnenh) July 14, 2023
Actuemos同盟 (SUMAとAvanzaから成る)のオット・ソネンホルツナは、経済軸の第一点として「ドル化を守り、強化する」ことを提案している。「等極化は、エクアドル国民が持つ唯一の確実性を奪うことを意味する。ドル化を否定する候補者たちにチャンスを与えてはならない」と8月7日に述べている。
キリスト教社会党(Partido Social Cristiano:PSC)、愛国者協会(Sociedad Patriótica:PSP)、民主主義センタ(Centro Democrático)で構成される恐怖のない国に向けた同盟(alianza Por un país sin miedo)のヤン・トピックは、ドル化へのコミットメントを提案している。彼は「経済に安定を与え、エクアドル国民、特に最貧困層の生活の質を向上させ、経済発展の防波堤となったツールである」と主張する。
Construye運動(旧Ruptura)の公認を経て出馬するフェルナンド・ビジャビセンシオは「現在のドル化システムを守ることを目的に、政府はすべての貿易政策手段(関税と準関税)を留保する」こと、その一方で既存の貿易協定を尊重し「エクアドルがが競争優位性を持つ分野や産業の発展を促進する効果的なメカニズムを確立」することに言及した。そして「コレア主義者が持ち込もうとしている、エクアドルを再びラテンアメリカの大きな『洗濯屋』に変えてしまうような偽の通貨、仮想通貨を拒否するつもりだ」と述べた。
RETO運動(旧ポデモス)の公認候補ハビエル・エルバスは、国を再建し、再活性化への道を歩ませるためには、「強固なドル化による安全な国家を保証する」ことが必要だと言及している。「不安定な状況の中で、ドル化は一定の安定を維持するための手段である」と彼は政府計画の中で述べている。
大統領候補は、8月13日の討論会に参加する義務がある。さもなければ、解任および/または2年から4年間の参加権利停止、および21から70統一基本給(9,450ドルから31,500ドル)の罰金によって罰せられる「非常に深刻な」選挙違反となる。
討論は2時間43分に及ぶ。
今回モデレーターに選ばれた2名ジゼラ・バヨナとアンドレス・フングブルスは現在TCテレビジョンのニュースキャスターである。ファッション・ジャーナリストで、アパレル・ラインを持つという夢を叶えつつあるジゼラ・バヨナは1997年からジャーナリストとしての経歴を開始しEl Comercio紙、Ecuavisa紙、Panamericana Televisión(リマ、ペルー)、CNN(アメリカ)、Teleamazonas、FM Mundoラジオなど、エクアドル国内外の複数のメディアで活躍している。また、2023年2月にキトとピチンチャで行われた統一地方選挙の討論会の司会も務めた。一方のフングブルスは、現在は廃刊となったHoy紙の記者、テレシステマ・チャンネル4の記者、カブレノティシアスの情報部長兼司会者、エクアビサの記者兼ニュース司会者を歴任した。Diblu、Forever、Radio City、radio Centroなどラジオ番組の司会者、プロデューサーでもある。
Como #PlenoCNE aprobamos la actualización del Manual de #EcuadorDebate2023; y, tras la propuesta de la terna de moderadores por parte del Comité Nacional para el efecto, se designa a @gisella_bayona y @ajungbluth como los profesionales que dirigirán este encuentro democrático ⤵️ pic.twitter.com/4JmmpFQFCe
— Diana Atamaint (@DianaAtamaint) July 21, 2023
討論会は以下YouTubeから生中継で見ることが可能だ。
今回のMuerte cruzadaに関する別記事はこちらから。
参考資料:
1. Elecciones Ecuador 2023: en este orden se ubicarán los candidatos para el debate presidencial
2. Elecciones Ecuador 2023: los ocho candidatos a la Presidencia ofrecen mantener la dolarización
3. ¿Qué dicen los presidenciables sobre la dolarización en Ecuador?
4. ¿En qué consiste la ecuadolarización que quiere el correísta Andrés Arauz?
5. Quiénes serán los moderadores del debate presidencial en Ecuador
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