メトロ・デ・キト(Metro de Quito)は決済システムの障害に伴い輸送システムを2023年5月11日から停止している。5月29日にキトの新市長であるパベル・ムニョス(Pabel Muñoz)が報告した内容によると運転再開は2023年12月の第1週となる見込みだ。運行再開にあたっては稼働時間を制限し、午前6時から午後10時までとする。市長によると「明らかに事業者と自治体の準備が整っていないのに、メトロの運行を開始させようとする政治的圧力(presión política)」があったと説明している。運行開始時点で一般市民を受け入れられる状態では全くなかった。
https://twitter.com/MetrodeQuito/status/1656783179712217088
「何百人もの人が切符を買えず、混雑が生じた」と語るムニョスはトンネル内での工事についても言及しており、「作業」がいまだ行われており、建設会社と運営会社が同時に作業することは不可能であると断言した。
メトロ・デ・キトの新マネージャーであるビクトル・ウゴ・ビジャクレス(Victor Hugo Villacrés)と市長は交通システムの連携不足の原因の一つは、すべての関係者が意思決定に関与していないことだと述べている。ムニョスは過去の市政が建設会社やオペレーター、資金提供者と同時に会議を開いて交通システムの機能にとって最善の方法を見つけようとしてこなかった、と批判している。
キトの地下鉄が抱える問題は運賃徴収システムのみではない。例えば18本の列車が機能していない。これについてパベル・ムニョスは「市が購入したすべての列車を稼働させ、すべての列車が作られた設計通りに稼働できるようにしなければならない」と述べている。
https://twitter.com/MunicipioQuito/status/1663323301689556992
ビジャクレスはキトのメトロを「ラテンアメリカで最も近代的な作品のひとつだが、回収システムとしては従来型」だと評価している。メトロのエントリーシステムは「5つのコンポーネントを読み取ることができる」が、現在はQRコードという1つしか読み取ることができず、そのために運行プロセスが停止している。また、キト・メトロの列車は「自動プログラミング」、つまり運転手なしで稼働しなければならないと説明している。「ボタンを押せば、地下鉄は走る。自動的に方向転換もできるはずである。それなのに今はそれができない。欠けているのはその自動運転に伴う設計だ」と市長は述べた。これまでの運転については運転手が同乗し動かした。ムニョスは自動化できていない状態の改修には2024年6月まで時間がかかることを発表している。
パベル・ムニョスはまたメトロを安全に利用してもらうために、地下で起こりうるさまざまな事態を想定し、利用者の安全を確保するための緊急時対策を現在作成中であることを明らかにするとともに、メトロが適切に機能するためには、レール、列車、システム全般の保守契約が必要であると述べている。市長は「たとえ(メトロの)運営会社があっても、メンテナンスがなければ列車は止まってしまう」。だから「まだ契約していないオペレーターの監督役も必要だ」とも指摘している。ムニョスは「すべてのシステムが連携し、つながっていること」がメトロの運用に必要だと述べた。さらに、「地下鉄が機能するかどうかを確認するために、最大限の負荷テストを行い、緊急事態をシミュレートする必要がある」とも述べている。
メトロが運行を停止し、乗客を乗せられない状態においても費用は発生している。1日あたり83,000〜86,000米ドルもの費用を自治体は支払わねばならない。費用の発生は契約締結の翌日、すなわち2023年11月29日から始まっている。
メトロを皆楽しみにし、運行にあたっては多くの人がその綺麗さやシステムの新しさについて語っていた。2022年12月21日に開通した。社会的適応期間を経て商業運用が本格的に始まる予定だった。しかし開通から半年たたずして、メトロは停止した。メトロはキトにおける統合大量輸送システム(Sistema Integrado de Transporte Masivo de Quito:SITM-Q)の中心的役割を担う予定だ。メトロバスQ線(トロンカル・セントラル・トロレブース、トロンカル・オリエンタル・エコビア、トロンカル・オクシデンタル メトロブース)およびバスネットワークで構成される。
なお最近においてはメトロにまつわる詐欺も発生しており、同社は注意を喚起している。
https://twitter.com/MetrodeQuito/status/1663280050240716800
参考資料:
1. El Metro de Quito volverá a funcionar en diciembre de 2023, ¿por qué?
2. Metro de Quito volverá a operar la primera semana de diciembre
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