(Photo:Activate Press)
ニュージーランド北島南岸のンガウィ(Ngawi)からマンガトエトエ(Mangatoetoe)にかけての海岸で、ゴンドウクジラの集団座礁が発生し、43頭が死亡した。クジラは11月5日木曜日の朝に発見され、自然保護局(Department of Conservation:DOC)や地元のマオリの部族共同体イウィ(iwi)、クジラ救助団体プロジェクト・ジョナ・ニュージーランド(Project Jonah New Zealand)などが救助活動に当たった。しかし、海岸の地形や強い波、人里離れた現場へのアクセスの難しさから、発見時に生きていた個体も助からなかった。
救助団体は今回の事態について、関係者にとって「困難で、苦痛を伴う出来事だった」と説明した。自然保護局は現在、クジラをマオリの人々にとっての「貴重な文化遺産」を意味するタオンガ(taonga)として扱い、地元のイウィと埋葬に向けた対応を進めている。
Photo:Marty Melville / AFP / Getty Images
一晩のうちに座礁、43頭の死亡を確認
自然保護局によると、11月5日午前8時過ぎ、北島南端のケープ・パリサー(Cape Palliser)近くにあるンガウィ沿岸で、ゴンドウクジラの群れが座礁しているとの通報があった。
発見当初、少なくとも20頭が海岸に打ち上げられており、そのうち4頭が生きていた。プロジェクト・ジョナは同日午後、自然保護局や地元のイウィと協力し、クジラの健康状態を確認するとともに、満潮時に生きている個体を海へ戻す準備を進めていると発表した。
同日午後には、2頭をいったん海へ戻すことに成功した。しかし、プロジェクト・ジョナのマネジャー、ルイーザ・ホークス(Louisa Hawkes)によると、生存していた4頭は最終的にすべて死亡した。海へ戻された2頭も助からなかった。
その後、自然保護局は金曜日の更新情報で、ンガウィからマンガトエトエにかけての海岸で合計43頭のクジラが発見され、いずれも生き残っていないと考えられると発表した。
プロジェクト・ジョナによると、クジラは数キロにわたる海岸線に広がっており、多くは発見された時点ですでに死亡していた。生きていた個体も、その日のうちに次々と命を落としたという。
別の報道では、現場で約50頭が発見されたとする関係者の証言も伝えられた。自然保護局が最終的に発表した確認数は43頭だった。
強い波や岩場、人里離れた場所が救助を困難に
プロジェクト・ジョナは、今回の救助活動が特に厳しい環境下で行われたと説明した。北島南岸はクック海峡(Cook Strait)の強いうねりにさらされているうえ、現場には砂利が緩く堆積した浜辺や鋭い岩があった。クジラが岩の間に閉じ込められていたことに加え、現場が人里離れた場所にあったため、救助隊が対応するのは容易ではなかった。自然保護局ワイララパ(Wairarapa)地区の暫定運営マネジャー、アリアナ・ハウィラ(Ariana Hawira)は、職員が地元のイウィやプロジェクト・ジョナと協力して対応に当たったと説明した。プロジェクト・ジョナは、最初に現場へ駆けつけ、生きているクジラを支え、できる限り涼しく快適な状態に保とうとした地元住民に感謝を表明した。
ンガウィの住民ロブ・バーグ(Rob Bargh)は、現場について「ひどい状況だ。生きているクジラも、もう息も絶え絶えだった」と語った。
救助に当たった人々は、クジラの体を濡らして冷やし続けようとした。しかし、群れの大半は負傷などによって命を落としたと考えられている。
プロジェクト・ジョナは、今回の出来事について「救助活動に関わった人々にとって、困難で苦痛を伴う出来事だった」と述べた。
Photo:Marty Melville / AFP / Getty Images
地元漁師「40年以上この海岸にいるが、初めて見た」
地元の漁師アンドリュー・シム(Andrew Sim)は、今回の集団座礁を「とても悲しい」と表現した。ラジオ・ニュージーランド(Radio New Zealand:RNZ)に木曜日に語ったところによると、シムは40年以上にわたってこの海岸で過ごし、クジラの座礁を何度も目撃してきた。しかし、ゴンドウクジラがこの海岸に打ち上げられるのを見たことはなかったという。「ここにやって来たのは本当に奇妙です。正直なところ、理由がまったく分かりません。ただ運が悪かったのでしょうか。分かりません」と語った。また、座礁は夜間に起きたとみられるとの見方を示した。
マオリのイウィと協力し、クジラを埋葬へ
自然保護局は、死亡したクジラの埋葬について、地元のイウィと協力している。
マオリの人々にとって、タオンガは貴重な文化的・精神的な価値を持つものを意味する。自然保護局は、クジラをタオンガとして適切に扱うため、埋葬に向けた対応を進めている。
ラジオ・ニュージーランド(RNZ)は、自然保護局と地元のイウィが木曜日の夕方、クジラに名前を付け、カラキア(karakia)と呼ばれるマオリの祈りを捧げる予定だと報じた。
ゴンドウクジラの集団座礁、原因は十分に解明されず
自然保護局によると、ゴンドウクジラは集団座礁を起こしやすい種類だが、大規模な座礁が発生する原因は十分に解明されていない。
ゴンドウクジラは社会性が非常に高く、1頭が道に迷うと、ほかの個体が助けに向かうことがある。自然保護局は、集団座礁について最も可能性が高いとされる説の一つとして、浅く傾斜した海域ではクジラの反響定位が十分に機能しない可能性を挙げている。
スコットランドのセント・アンドルーズ大学(University of St. Andrews)で生物学教授を務め、英国環境・食料・農村地域省(Department of Environment, Food and Rural Affairs)の元首席科学顧問でもあるイアン・L・ボイド(Ian L. Boyd)は、科学メディアセンター(Science Media Centre)を通じてCNNに提供した声明で、集団座礁は社会性の高い種で発生する傾向があると説明した。「社会集団の全部または一部が、同時に座礁する可能性が高いと考えられます」と述べた。
また、集団座礁は特定の場所、特に沖合に向かって緩やかに深くなる海岸線で発生しやすいと指摘した。社会集団全体が方向感覚を失い、潮が引く際に取り残される可能性があるものの、これはより複雑な原因の一部にすぎないと付け加えた。
自然保護局によると、ニュージーランドでは夏に当たる時期にクジラが共通の餌を求めて沿岸に近づき、集団座礁の多くもこの時期に発生する。同国で最大規模のゴンドウクジラの座礁は1918年にチャタム諸島(Chatham Islands)で起きたもので、推定約1,000頭が関係していた。
オセアニアで相次ぐ大規模な集団座礁
近年、オセアニアでは複数の大規模なクジラの集団座礁が発生している。
2022年には、ニュージーランドの人里離れた島々にあるサメの多い海域付近で集団座礁が起き、ゴンドウクジラ約500頭が死亡した。
2025年2月には、オーストラリアのタスマニア州沿岸で150頭以上のクジラが座礁した。タスマニアで50年ぶりに発生したこの種の集団座礁では、すべてのクジラが死亡するか、安楽死させられた。
その前年には、西オーストラリア州沿岸で約160頭のクジラが座礁し、28頭が死亡した。群れの大半は海へ戻された。
ニュージーランドでは、1840年以降、クジラやイルカの座礁が5,000件以上記録されている。今回のンガウィ沿岸での座礁でも、自然保護局や救助団体、地元住民らが対応に当たったが、43頭すべてが死亡する結果となった。
参考資料:
1. More than 40 pilot whales die in ‘distressing’ mass stranding on New Zealand coast
2. More than 40 pilot whales die after mass stranding in New Zealand’s North Island
3. ‘It’s horrible’: Last remaining whales in Wairarapa stranding die
4. Forty-three pilot whales die in mass stranding at Ngawi coast



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