(Photo:EXPRESO)
2025年、エクアドル国営石油会社ペトロエクアドル(Petroecuador)が国庫に対する債務8億5,300万ドルを帳消しにしていたことが、財務省(Ministerio de Economía y Finanzas:MEF)の遅れて公表された財政統計で明らかになった。この処理は、Excelファイルの脚注にのみ記載され、公式の赤字を一時的に小さく見せる形で反映されていた。
財政研究機関(Centro de Investigaciones para el Desarrollo:CORDES)によれば、債務免除がなければ、一般歳出予算(Presupuesto General del Estado:PGE)の赤字は年間5,400万ドルを超えていたとされる。財務省の公式発表では、2025年12月の赤字は2億2,900万ドルで、歴史的に最も赤字の多い月だったが、帳消しによって見かけ上は小さくなっていた。
会計処理の問題点
専門家は、債務免除は本来財源として計上すべきものであり、収入として扱う手法は誤解を招くと指摘している。国際通貨基金(International Monetary Fund:IMF)の財政統計ガイドラインでも、債務免除は収入ではなく財源として扱うべきと明記されている。
サンフランシスコ・デ・キト大学(Universidad San Francisco de Quito:USFQ)の金融専門家フランシスコ・ボルハ(Francisco Borja)教授は、この処理について「片方のポケットから別のポケットにお金を移して、収入が増えたように見せる行為」と表現し、実質的な赤字は消えておらず、記録上の位置が変わっただけだと指摘した。未払いの債務は民間部門に滞留し、非公式の赤字として現れる可能性もある。
IMFとの赤字削減目標との関連
財政研究機関(CORDES)のホセ・イダルゴ(José Hidalgo)研究員によれば、2025年11月から2026年1月までの期間に設定された国際通貨基金(IMF)との赤字上限12億ドルは、11月時点で既に達していた。このため、ペトロエクアドルの債務免除は、赤字目標を見かけ上達成したように見せる操作だった可能性がある。
財政政策観測所(Observatorio de Política Fiscal:OPF)のハイメ・カレラ(Jaime Carrera)ディレクターは、債務免除を除いた場合の赤字は20億ドルを超え、国際通貨基金(IMF)との上限12億2,900万ドルを大幅に上回ると指摘した。また、2025年の年間赤字目標40億7,000万ドルに対して、実際の赤字は54億4,500万ドルに達すると試算しており、2026年以降の赤字削減目標や2029年の黒字目標を達成するには抜本的な構造改革が必要だと述べている。
ペトロエクアドルの財政状況と経済影響
ペトロエクアドル自身の財政状況も厳しい。2025年の原油生産は1億6,000万バレルで2005年以来の最低水準であり、2026年は1億6,995万バレルから1億6,550万バレルに低下すると見込まれている。原油価格も62.2ドル/バレルから53.5ドル/バレルに下落すると予想され、探索投資も不十分で生産回復の見通しは立っていない。財政研究機関(CORDES)は、この件を「公に透明性をもって説明されるべき事案」と指摘している。
債務免除の背景と課題
- 出所の不透明さ
財政政策観測所(OPF)のハイメ・カレラは、ペトロエクアドルや財務省の公表資料では債務免除の正確な起源を追跡できないと指摘している。財政研究機関(CORDES)のホセ・イダルゴ研究員も、政府が緊急時に公営企業から予算資金を借り入れる協定に基づく可能性を示唆しているが、公式確認はされていないとしている。
経済への影響
フランシスコ・ボルハ教授は、国内企業の約70%が国家や関連企業の供給者であることを踏まえ、国の資金繰り悪化は企業の投資縮小や雇用減少につながると警告している。高赤字は国債や高利回り債(10%超)での資金調達を余儀なくし、国の信用リスク上昇、外国直接投資の減少、貧困拡大の要因になる可能性がある。公的債務は2025年末で8,900億ドルに達しており、その利払いが教育や医療などの公共支出を圧迫している。
支出と赤字の増加要因
2025年の財政赤字増加は、総支出の増加と石油収入の減少が主な要因となった。総支出は28,612百万ドルで、2024年の26,009百万ドルから約10%増加した。恒常的支出は給与や社会保障、債務利払いの増加で約1,700百万ドル増加し、非恒常的支出は地方政府への補助や資本投資の増加で約900百万ドル増加した。
赤字増加の具体的な要因は、社会保障ボーナスの支給、交通部門への補償、公的年金基金への拠出(40%分)、公的債務利払い(国内債務利息32%増)であった。石油収入は19%減少し、19億7,400万ドルから15億9,400万ドルに落ち込んだが、税収5.1%増(付加価値税・所得税・関税)と移転収入51%増(2,129百万ドル)で補填された。
財政研究機関(CORDES)は、債務免除の出所や法的枠組み、財務的適切性に疑問を呈しており、国際通貨基金(IMF)の会計ガイドラインとの整合性や透明性に課題があると指摘している。会計上の操作だけでは根本的な財政状況は改善せず、追加の財政調整が必要だと結論づけている。
#IMF #Petroecuador #DanielNoboa
参考資料:
1. Petroecuador perdonó $853 millones de deuda al Estado en 2025
2. Petroecuador condonó una deuda al Estado por USD 853 millones para que el Gobierno de Noboa cumpla con una meta con el FMI
3. Déficit fiscal de Ecuador en 2025 fue mayor al reportado, según Cordes


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