エクアドル:米国との協定で国防省の調達と宇宙管理に変化の可能性

エクアドルとアメリカ合衆国間で締結された相互貿易協定(Acuerdo de Comercio Recíproco:ACR)は、国防分野や国家の技術管理に直接的な影響を及ぼす規定を含むことが明らかとなった。協定には経済安全保障および国家安全保障に関わる条項が含まれ、国内法の調整が必要とされており、公的議論の場で疑問の声が上がっている。

セクション4「経済・国家安全保障」の記事4.1「公共調達」において、エクアドル国防省(Ministerio de Defensa Nacional)は「国防物資取得規則第50条」を改正する義務を負うと規定されている。この改正により、米国企業の輸出ライセンスを第50条の技術移転要件と同等と認め、米国企業が国防省の調達案件に入札できるようになる。従来は軍事領域で限定されていた技術や調達の一部が民間に移行する可能性があり、国内の防衛・宇宙関連政策に変化が生じる見込みである。

第IV章 政府間契約

第50条 政府間契約

本規則において、政府間契約とは、国際社会の公法上の法人や、所属国の技術移転の承認・支援を受けて行動する私法上の法人と交わされる契約を指す。

政府間契約の場合、エクアドル国防省(Ministerio de Defensa Nacional)の戦略物資契約総局(Coordinación General de Contratación de Bienes Estratégicos)は以下の手続きを要求する:

  1. 各政府間契約の前契約手続き開始前に、本規則第III編第I章で要求される書類を整えること。
  2. 契約委員会(Comité de Contrataciones)は、エクアドル国防省戦略物資契約総局と共同で仕様書を作成する。この際、合同司令部(Comando Conjunto)が提出する一般・技術仕様、調査結果、予算計画、納期・納入方法、その他必要書類を基に作成する。
  3. 契約委員会は、必要とする物資またはサービスを提供可能な国家に直接招待状を送付し、仕様書を添付する。
  4. 海外で発行された書類は、権限ある当局により発行され、エクアドル領事館による認証、または適切なアポスティーユが付与され、外国語で発行されている場合はスペイン語に翻訳されること。
  5. 提案書受領後、技術委員会(Comisión Técnica)が仕様書要求事項の適合性を確認し、技術・財務・法務の分析を含む報告書を作成する。必要に応じ、同規則第24条に基づき技術小委員会の支援を受けることができる。
  6. 契約委員会は提案書の技術・経済・法務報告を検討した上で、適切と判断すれば、機関の利益に最も適した提案に契約を付与する。

 

エクアドルの安全保障・技術政策の専門家アレハンドロ・ベナビデス(Alejandro Benavides)は、条項の運用により米国企業がエクアドル国防省の入札プロセスに直接参加でき、従来求められていた「すべての手続き」を履行する必要がなくなると指摘する。例えば、国防物資取得規則第50条第5項では技術的要件の適合性を確認する委員会の設置が規定されているが、ベナビデスによれば、従来は委員会が米国企業の入札がエクアドルの技術移転要件を満たすかどうか疑義を持つ場合があった。しかし、協定では米国の輸出ライセンスと公証済み書類を提出すれば要件を満たしたと見なされ、書類手続きの流れがほぼ自動化される。結果として、技術的・規制上のフィルターが緩和され、外国企業の参入が容易になる見込みである。

さらに、相互貿易協定(ACR)の第4.3条「その他の約束事項」では、エクアドル宇宙機関(Agencia Espacial Ecuatoriana)の権限を軍事管理から民間組織へ移管することが定められている。協定文書によれば、この変更は米国との技術・宇宙分野での協力を促進することを目的としている。民間への移管は、防衛関連の情報、インフラ、技術開発の管理方法を再定義する可能性があり、歴史的にエクアドル軍(Fuerzas Armadas)の管理下にあった戦略的能力の運営再構築を意味する。

 

ガブリエラ・リバデネイラの懸念

市民革命党(Alianza Revolución Ciudadana)代表のガブリエラ・リバデネイラ(Gabriela Rivadeneira)は相互貿易協定(ACR)について、国家主権と経済への影響を懸念している。彼女のs汽笛はこの協定によりエクアドルが米国への依存を強めるというものである。リバデネイラは、協定がもたらす懸念を次の6点で整理している:

  1. 税金を回避して資金流出の恐れ
    米国企業がエクアドルから税金を払わずに資金を引き出す可能性があり、医療・教育・インフラなどへの投資が減少する。
  2. 個人情報や企業情報の管理リスク
    米国の基準でデータが管理されるため、国内の個人・企業情報保護が弱まるおそれがある。
  3. 農産物・食品の規制緩和
    米国の衛生基準を採用することで、国内の独自規制より緩い基準の農産物や食品が国内に入る可能性がある。
  4. 戦略資源の開放
    石油、電力、重要鉱物などが米国企業に開放され、国の天然資源の管理や開発が制限されるおそれがある。サチャ油田(Sacha)も対象となる。
  5. 国防分野の依存拡大
    国防省(Ministerio de Defensa Nacional)の軍事調達で米国の認可を自動的に認める規定により、技術面や運用面で米国依存が強まる。
  6. 宇宙・戦略技術分野の外国依存
    宇宙機関や技術能力が米国との統合により、戦略的分野における外国の影響力が増す可能性がある。

リバデネイラは、「今回の協定は我が国の資源・安全・意思決定能力を容易に引き渡す譲与主義(ENTREGUISMO)であり、統治ではなく従属を助長する」と指摘し、国民への十分な説明と議論の必要性を訴えている。

 

これにより、エクアドルの国防調達や宇宙開発分野において、米国企業が直接参入可能となる一方、国内の規制や自主的管理能力への影響が懸念される状況だ。国内では協定の条項が実際にどのように適用されるか、今後の政策運用が注目される。

#GabrielaRivadeneira #ACR

 

参考資料:

1. El acuerdo con EE.UU. abre la puerta a cambios en compras del Ministerio de Defensa y control espacial en Ecuador

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