ペルー:ホセ・ヘリ大統領、「チーファゲート」事件の国家検察庁捜査対応で公費弁護を利用

(Photo:PAOLO AGUILAR / EFE)

現職大統領のホセ・エンリケ・ヘリ・オレ(José Enrique Heri Oré)は、国家検察庁が主導する予備調査に対応するため、国家予算で雇われる法律顧問を利用できることになった。大統領府副事務局によると、ヘリ大統領自身が国家に弁護費用の負担を求める正式な申請を行い、2026年1月29日に受理された。これは、検察官トマス・ガルベス(Tomás Galvez)が大統領に対する捜査を開始した直後のことだった。声明では次のように記されている。

2026年1月29日付で受理された申請により、現職大統領ホセ・エンリケ・ヘリ・オレは、国家検察庁の捜査(ファイル番号15-2026)に含まれるため、違法な後援および影響力の乱用の疑いに関して法的防御および助言を受ける権利を求める。

 

弁護士の公費負担承認は決定しているものの、契約金額や弁護人の氏名は現時点で公表されていない。大統領府は現在、市場調査を実施し、専門的な法律助言の通常料金を算定中であり、プロセス完了後に公費支出総額が正式に決定される予定だ。こうした契約は通常、直接指名方式で行われ、公募は行われず、大統領が信頼に基づき弁護士を指名する形となる。

ヘリが国家予算を使って自らを弁護させようとしている調査とは、ヘリ大統領が中国企業関係者と行った一連の会合に関連しており、違法な後援や影響力の乱用の疑いがかけられている。

 

「チーファゲート」事件

ホセ・エンリケ・ヘリ・オレ大統領は、中国企業関係者との非公式会合に関連して、国家検察庁の捜査を受けている。この調査は、国家の利益を侵害する違法な後援や影響力の乱用の疑いに関するもので、ヘリ大統領はすでに政府宮殿内で検察に証言を行っている。

2026年1月30日、暫定国家検察官トマス・ガルベスの監督の下、検察チームが大統領府に赴き、ヘリ大統領は尋問場所を自身で決定する権利を行使した。この際、常勤の法務チームが立ち会った。質問は、中国出身の実業家ジーファ・ヤン(Zhihua Yang)およびジ・ウ・シャオドン(Ji Wu Xiaodong)との未登録会合に集中しており、特に問題視されているのは、2025年12月26日にサン・ボルハ地区のレストランで行われたヤンとの私的会合、通称「チファゲート(Chifagate)」である。

大統領側は、この会合は「ペルー=中国友好の日」を祝うものとしており、公式記録が残っていないのは通常の業務運営スタイルによるものと説明している。しかし、ヤンは自身の会社「Hidroeléctrica América」が運営するパチャチャカ2水力発電所の工事延期を、エネルギー・鉱山省に要請していたことが確認されている。

監査委員会が問題視したのは、ヤンとの関係だけではなく、ジ・ウ・シャオドン(Ji Wu Xiaodong)との接触も含まれる。シャオドンは違法な木材取引の容疑で自宅軟禁中という制限下にありながら、大統領府に少なくとも3回出入りしていたが、ヘリは「大統領府で面会していない」「善意で行動した」と説明した。さらに議会出廷前夜には、シャオドンが「ジーファ・ヤンの中華料理店で料理を出していた」と述べ、自身は「あまりスペイン語を話さないので」何も頼まなかったと主張した。しかし、シャオドンは2002年から外務省公認の中国語–スペイン語通訳であり、言語が理由で会話しなかった可能性は低いと見られている。シャオドンはアマゾン地域の犯罪組織「ロス・オスティレス(Los Hostiles de la Amazonía)」に関与しているとされ、検察はこれらの訪問が外国の利益のための不正な便宜供与や違法行為につながったかを調査している。

ヘリ大統領は、2026年2月5日、議会の監査委員会に出席し、チファゲートについて説明した。発言は10分間にわたり、12月26日に中国出身の実業家ジーファ・ヤンとの非公式会合を行ったことについて、「不正や違法行為は一切ない」と主張した。ヘリは、このスキャンダルは政治的操作であり、4月12日の選挙プロセスを混乱させる目的があるとも述べた。また、会合の映像が「同じ情報源から段階的に流出した」と指摘し、「待ち伏せ」の可能性を示唆した。日常的な活動、例えば夕食や買い物が不当に問題視されているとも語り、「誰の罠か? 調査が明らかにする」と述べた。

しかし、ヘリ自身の説明には矛盾もある。これまでチファゲートについて、ペルー・中国友情の日準備に関連する会合、個人的な活動、公式随行者と共に偶発的に立ち寄った会合などと説明しており、「もし不正行為を行うつもりなら、大臣や護衛と一緒に行かない」と述べている。

一方、ジーファ・ヤンの信頼性も疑問視されている。短期間で弁護士を二度変更しており、以前の弁護士エリオ・リエラ(Elio Riera)は、ヤンとヘリの間に友人関係があることを認め、会合はヘリの要請によるものだと強調した。しかし、ヤン本人は声明で弁護士の発言を否定している。「大統領との会合を調整したことはなく、事前打ち合わせもなかった」と述べ、「商業的・企業的な話題は扱われず、違法行為もない」と説明している。

政治的影響も現れている。議会ではヘリ大統領に対する不信任動議が3件提出され、複数政党の議員が推進している。共通点は「非公式会合」「記録の欠如」「説明の食い違い」「公共の信頼の低下」であり、動議推進者ルース・ルケ(Ruth Luque)はヘリを「繰り返し嘘をつく大統領」と評した。不信任決議を可決させるには66票が必要だが、現時点で確保されていない。ヘリが所属する政党「ソモス・ペルー(Somos Perú)」では、大統領候補ジョージ・フォースィス(George Forsyth)が辞任を求めたが、党としては沈黙を守っている。党内では「国で起きていることは悲しく、恥ずかしい。ヘリを大統領にしたのはマフィア議会だ」という声も聞かれる。

最後にヘリは改めて、すべては陰謀だと強調した。「やましいことがなければ怖がることはない」と述べ、「この“陰謀”の背後に誰がいるのか知りたい」と繰り返した。議場の外では、会合で何が話されたのか、なぜ大統領は説明を変え続けたのかといった疑問は解消されていない。「私は辞任しない。辞任するということは、不正行為を認めることになるが、そんなことはしていない」と結んだ。

 

高官向け採用制度を利用した友人採用、給与急増に批判

ホセ・エンリケ・ヘリ・オレ大統領に対する疑惑は、チファゲートだけではない。公式記録によると、ヘリ大統領の近しい関係者である少なくとも14名の女性が、大統領府の高官向け支援基金(Fondo de Apoyo Gerencial:FAG)を通じて採用されていた。高官向け支援基金(FAG)は本来、国家の上級管理職に高度専門家を登用するための制度である。

しかし報道によれば、多くの採用者は公共部門での経験がなく、制度が求める専門的資格も満たしていなかった。さらに採用直前には夜間に大統領府を訪れていた記録もあり、「人脈優先の任命」として批判が強まっている。採用期間は2025年10月10日から2026年1月31日までで、すべて大統領府の行政決定によるものであった。

個別事例:

  • シェイラ・ブリオネス(Sheila Briones)
    高官向け支援基金(FAG)コンサルタントとして採用。国家公務経験なし。大統領と8年以上前から知り合いで、信頼に基づく「職務」として採用。採用前に夜間複数回大統領府訪問、2025年には当時議員だったヘリを6回訪問。
  • スサナ・グティエレス・リベラ(Susana Gutiérrez Rivera)
    2025年11月、大統領府事務局幹部として任命。任命前に夜間に大統領府を訪問。ヘリとの親密さは議会での同席に起因。
  • ロスマリー・マルパルティダ(Rosmary Malpartida)
    心理学者で政治関係者とのつながりあり。FAGで採用されるも、過去に汚職捜査対象者(元運輸大臣フアン・シルバなど)との会合経験あり。
  • マリア・デル・ロサリオ・パメラ・エスピノサ・ディアス(María del Rosario Pamela Espinosa Díaz)
    2025年11月に事務局加入。採用前、10月13日午前9時に大統領府訪問、翌正午まで滞在。
  • ローザ・ガブリエラ・ルエダ・ヤヤ(Rosa Gabriela Rueda Yaya)
    12月12日付で行政アナリストとして任命。10月12日午前9時に大統領府訪問、翌正午まで滞在。制度は本来、高官向けの役職対象。

Image:Infobae

 

行政法専門家のセシリア・ルイス(Cecilia Luis)弁護士は、「高官向け支援基金(FAG)は高度な経験と学術的水準を持つ専門家を登用するための制度だが、現状では基準が満たされていない」と指摘した。刑事弁護士のルイス・ラマス(Luis Lamas)も、複数の採用が大統領本人との個別面談に先立って行われた点を問題視し、「通常、厳格な手続きを経ずに誰も大統領に接触できるわけではない。同等資格を持つ他候補者が評価されたかを説明する必要がある」と述べた。

報道によると、ステファニー・ベガ(Stephanie Vega)とアリシア・カマルゴ(Alicia Camargo)も、ヘリの近親者として、政権発足後に戦略的な役職に就き、給与の大幅引き上げを受けている。ベガは2021年に月額約1,500ソルだった給与が、現在では22,000ソルを超えるまで増加した。一方、カマルゴは大統領府の儀典室に高官向け支援基金(FAG)制度で採用され、月給14,000ソルを受け取っている。カマルゴはまた、中国企業との秘密会合でヘリ大統領と同席していたとされる。

さらに、2025年10月25日にヒルダ・デニセ・サパタ(Hilda Denise Zapata)が内閣顧問として任命される前、同月に大統領府を訪問し、18時から翌日2時まで滞在した記録がある。さらに翌日も正午に戻り、翌日2時ごろまで滞在していた。

元労働大臣アレハンドロ・サラス(Alejandro Salas)は、これらの事例には影響力の乱用や贈賄の疑いがある可能性があり、適切な機関での精査が必要だと指摘している。専門家は、高官向け支援基金(FAG)制度を技術的根拠のない任命に繰り返し使用することは、公務の能力主義を弱め、大統領府の透明性に重大な疑念を生むと一致している。

#JoséJerí 

 

参考資料:

1. José Jerí usará fondos públicos para su defensa legal
2. Contratación de amigas de José Jerí bajo modalidad para altos perfiles genera cuestionamientos por falta de experiencia
3. El presidente de Perú sobre el ‘Chifagate’: “No renunciaré, porque implicaría que cometí un hecho irregular”

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