(Photo:Radio Pichincha)
犯罪組織、現在はテロ組織と見なされている「ロス・ロボス(Los Lobos)」の最高指導者ウィルメル・ジョヴァンニ・チャバリア・バレ(Wilmer Geovanny Chavarría Barré)、別名ピポ(alias Pipo)がスペインで拘束された。指名手配されていた最悪の犯罪者の一人の拘束は、2025年11月16日(日)に行われ、ダニエル・ノボア(Daniel Noboa)大統領は「本日、地域で最も指名手配されていた犯罪者であり、ロス・ロボス(Los Lobos)の最高指導者である“ピポ(Pipo)”チャバリアを拘束した」と報告した。
ノボアはソーシャルネットワークXを通じ、ピポが死亡を偽装し、身分を変えてヨーロッパに潜伏していたこと。他国で逃亡生活を送る中、エクアドル国内での殺人指令を出していたことも指摘した。ノボアによると、ピポはまた、全国規模で違法採掘の作戦や、メキシコのカルテル「ハリスコ・ヌエバ・ジェネラシオン(Cártel Jalisco Nueva Generación)」と直接的に結びつき麻薬ルートを運営していた。そしてメキシコ、コロンビア、ヨーロッパのカルテルとも同盟関係にあった。
Congratulations to the Government of Ecuador for capturing “Pipo,” one of the most notorious organized crime figures in Latin America. Remember: if governments aren’t attacking crime, it’s because they’re COMPLICIT—tolerating crime is a CHOICE, not a DESTINY. ¡Fuerte abrazo a… https://t.co/1svhh8ikMH
— Christopher Landau (@DeputySecState) November 16, 2025
この拘束はエクアドル警察とスペイン警察の合同作戦の成果によるもので、ノボアは両者に感謝の意を示すとともに、「多くの者は彼を死んだと見なしていたが、我々は地獄の中から彼を探し出した」と述べ、国際的な犯罪に対抗するには国際協力が不可欠であることを強調した。
内務大臣ジョン・レインバーグ(John Reimberg)は、スペイン現地に赴き作戦に参加していたことを報告した。高官によれば、ピポ・チャバリアは2021年に死亡を偽装した後、ベネズエラで新しい身分を取得し、その後コロンビアのパスポートを入手して2022年にスペインへ渡った。ピポは法の追及を逃れつつ作戦拠点をヨーロッパに移していた。
犯罪者によるベネズエラ国籍の利用
ピポ・チャバリアと同様に、ウィリアン・ジョフレ・アルシバル・バウティスタ(Willian Joffre Alcívar Bautista、別名ネグロ・ウィリー/Negro Willy)も、司法の追及を逃れるためにベネズエラ国籍を利用した。
犯罪組織「ロス・ティグエロネス(Los Tiguerones)」の主要指導者で、スペイン(España)で拘束されているネグロ・ウィリーは、2024年10月以降、エクアドルへの引き渡しのため待機している状態である。スペイン当局は、エクアドル側が刑務所の安全を保証する条件で、彼の移送を承認している。ネグロ・ウィリーに対する引き渡し手続きの承認は2度程されているが、2025年5月にも組織犯罪に関連する容疑で手続きが行われていた。
犯罪者がベネズエラ国籍を利用する背景には、ベネズエラ市民は短期滞在(最大90日間)の場合、スペイン入国にビザが不要であることがある。ただし、入国するには有効なパスポート、往復航空券、宿泊証明、十分な経済的手段、旅行保険などの条件を満たす必要がある。
ピポ・チャバリアの失踪経緯
チャバリア・バレは、2011年から2018年まで、グアヤキル(Guayaquil)およびクエンカ(Cuenca)の拘置所で窃盗や恐喝の罪で収監されていた。6年前に仮釈放(prelibertad)を受け、刑務所から出所した。
米国政府は、ピポが麻薬密輸ルートを掌握するために、麻薬密売人レアンドロ・ノレロ(Leandro Norero)やサミル・マエストレ(Samir Maestre)の殺害を指示した人物であると認識している。また、ピポの組織は、2023年に大統領候補フェルナンド・ビジャビセンシオ(Fernando Villavicencio)の暗殺を計画したとして告発されている。
2021年、チャバリアの家族はCOVID-19パンデミックの最中、彼を死亡として報告した。これにより、彼は犯罪組織の活動から姿を消したと見なされたが、エクアドル当局は死亡に疑念を抱き、行方を引き続き調査していた。
2024年、メタスタシス事件の暴露により、52人の被告の一人であるマイラ・サラサル(Mayra Salazar)が、ノレロがチャバリアの死亡偽装を助けたと指摘した。ノレロ自身も2020年に同様の手口を行っていた。
組織犯罪の背景
国立警察が2019年から2022年にかけて麻薬取引の進展を評価した報告書によれば、ピポは「トゥエルト(Tuerto)」としても知られ、ロス・チョネロス(Los Choneros)に所属していた。同組織の指導者ホルヘ・ルイス・サンブラノ(Jorge Luis Zambrano)、別名ラスキニャ(Rasquiña)が2020年にマンタ(Manta)で殺害された際、組織は分裂し、ロス・ロボスが出現し、ピポ・チャバリアはこの新組織で台頭した。マイラ・サラザールによれば、ロス・ロボスはノレロによって資金提供されていた。
ピポ・チャバリアの失踪と犯罪歴の時系列
2011年~2018年
- グアヤキルおよびクエンカの拘置所で窃盗・恐喝の罪で収監。
- 2018年頃に仮釈放を受け出所。
2019年~2022年
- 国立警察(Policía Nacional)の報告によると、ピポは「トゥエルト(Tuerto)」としても知られ、ロス・チョネロス(Los Choneros)に所属。
- 麻薬密輸ルートの掌握や組織内での指揮に関与。
2020年
- ロス・チョネロスの指導者ホルヘ・ルイス・サンブラノがマンタで殺害され、組織が分裂。
- ロス・ロボが誕生し、ピポが台頭。
- ノレロも死亡偽装などの手口を行っていた。
2021年
- COVID-19パンデミック中、チャバリアの家族が彼を死亡として報告。
- これにより、公式には行方不明扱いとなり、犯罪地図から姿を消す。
- しかし、エクアドル当局は死亡に疑念を抱き、行方を調査。
2023年
- ピポ率いるロス・ロボスが、大統領候補フェルナンド・ビジャビセンシオの暗殺を計画したとして告発。
2024年
- メタスタシス事件の暴露により、52人の被告の一人、マイラ・サラサルが、ノレロがチャバリアの死亡偽装を助けたと証言。
- ロス・ロボスはノレロから資金提供を受けていたことが明らかになる。
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参考資料:
1. Alias Pipo, máximo cabecilla de Los Lobos, detenido en España
2. ¿Cómo alias Pipo, el cabecilla de Los Lobos, desapareció del mapa criminal?

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