ペルー、チリ:朝食ワールドカップで対戦中、世界最高峰の朝食はこの2カ国に存在するのか

(Photo:Andina)

「チチャロン入りパン(Pan con chicharrón)」は、イバイ・ジャノス(Ibai Llanos)が主催するバーチャルイベント「朝食ワールドカップ(Mundial de Desayunos)」において、ペルーの代表料理として出場している。ペルーの代表的朝食としてはチチャロン入りパン(Pan con chicharrón)に、タマレス(tamales)と国産コーヒー(café nacional)が選ばれ、対戦中のチリの代表的朝食は「マラケタ・コン・パルタ(Marraqueta con palta)」、つまりマラケタにアボカド(palta)を載せたもの、さらにソパイジャ(sopaipillas)とペブレ(pebre)、紅茶(té)が選ばれ争っている。

本ブログではペルーの朝食の詳細やペルーでのおすすめレストラン、さらには「テイスト・アトラス(Taste Atlas)」が評価する世界最高峰の朝食、さらにはチチャロン入りパンの作り方について紹介する。

 

「朝食ワールドカップ」はソーシャルメディア上で大きな注目を集めている。この対決は、各国が自国の料理を誇りを持って擁護する姿勢を映し出すものであり、両国のデジタルフォロワーたちの間では、どちらの料理が地域の代表的存在として君臨すべきかを巡って、熱のこもった議論と強い帰属意識が巻き起こっている。

本大会の仕組みは、投票を一般に開放し、コメントを通じた参加を促進するものである。これにより、インターネット利用者は自国の料理を擁護する意見を表明し、思い出話を共有しつつ、両国(ペルー〈Perú〉およびチリ〈Chile〉)間に根付いた歴史的なライバル関係をさらに強調している。

ペルーは、2026年サッカーワールドカップ予選においては不振を極めたものの、今回の「朝食ワールドカップ」では別の国際的な舞台で注目を集めている。しかし数百人のユーザーが「太平洋のクラシコ(Clásico del Pacífico)」と呼ぶこの対決は、両国に対して数百万の票を集めているが、ペルーが一貫してリードを維持している。9月4日時点でイバイ・ジャノスの公式TikTokアカウントでの投票によると、ペルーは合計460万票を獲得し、チリは300万票にとどまっている。この差は大きなものとなっている。

両国の支持者たちは、それぞれの朝食が持つ独自性を主張し、それがいかに文化的アイデンティティや日常生活にとって重要であるかを訴えている。デジタルプラットフォーム上では、創造的なキャンペーンやミーム、チャレンジが展開され、支持を集めて自国の伝統的朝食を決勝戦へと進出させるための熱狂的な動きが広がっている。

 

 

朝食ワールドカップで奮闘中のペルーの伝統的朝食情報

チチャロンの経済的影響

毎月、ペルー国民は3,000トン以上のチチャロンを消費しており、1世帯あたりの平均支出は33ソレス(S/ 33)である。年間の一人当たり消費量は5.3キログラムに達し、高タンパク質を含むことから食料安全保障への貢献も認められている。

農業・灌漑開発省(Ministerio de Desarrollo Agrario y Riego:Midagri)の発表によれば、ペルーにおけるチチャロン産業は年間2億4400万ソレス(S/ 244 millones)以上の収益を生み出している。この金額は、レストラン業界全体の0.7%、および国内総生産(PIB)の0.02%に相当する。さらに、この産業は8,900以上の正式雇用を生み出しており、少なくとも730軒の専門レストランが存在している。

 

リマでのチチャロン入りパンの価格とお勧めの店

RPPの報告によれば、パン・コン・チチャロンの価格は店舗や料理の内容によって異なる。以下はリマ市内のおすすめの店舗例である。

 

  • キオ(KIO/ラ・モリーナ〈La Molina〉) :クラシックなサンドイッチが21.90ソレス(S/ 21.90)、BBQポーク(chancho BBQ)などの革新的なメニューは15.90ソレス(S/ 15.90)

 

  • エル・チニート(El Chinito/リマ中心部〈Centro de Lima〉) :チチャロンサンドが23.90ソレス(S/ 23.90)、チチャ(chicha)付きの「コンボ・タイパ(Combo Taypá)」は29.50ソレス(S/ 29.50)

 

ペルーにおけるタマレス市場

チチャロン入りパンと切っても切れない関係にあるタマルも、リマでは多様なバリエーションで提供されている。報道によれば、価格はサイズや具材の質によって異なり、3.50ソレス(S/ 3.50)から12ソレス(S/ 12)まで幅がある。以下は、リマで特に評価の高い店舗の例である。

  • ドーニャ・フリア(Doña Julia/スルキージョ〈Surquillo〉):4.50ソレス(S/ 4.50)から12ソレス(S/ 12)まで

  • カサ・ウォン(Casa Wong):四角いタマルが8.70ソレス(S/ 8.70)

  • ドーニャ・ベルタ(Doña Bertha/ミラフローレス〈Miraflores〉):1個6ソレス(S/ 6)

  • タマレス・ヨリタ(Tamales Yolita):価格は3.50ソレス(S/ 3.50)から12ソレス(S/ 12)

これらの店舗は、リマの食卓におけるタマルの人気と、クリオージョ(criollo)朝食の重要な一品としての地位を改めて証明している。

 

ペルーのコーヒー:伝統と経済の原動力

コーヒーはペルーの朝食トリロジー(三部作)を完成させる存在である。過去5年間で国際価格は倍以上に跳ね上がり、1キログラムあたり15ソレス(S/ 15)から35ソレス(S/ 35)へと上昇した。これにより、業界の収入が増加し、世界的な認知度も高まっている。

国内市場では、250グラムのコーヒー豆の価格はブランドや製法によって20ソレス(S/ 20)から40ソレス(S/ 40)まで幅がある。

コーヒー農業(カフィキュルチャ)は直接的に23万人以上の家族を支え、間接的には200万人の雇用を生み出しており、国内総生産(PIB)の約0.2%に寄与している。

毎年8月の第4金曜日(今年は22日)には「ペルーコーヒーの日(Día del Café Peruano)」が祝われ、その経済的、社会的、文化的価値が強調される。この生産は何千もの家族を巻き込み、ペルーを世界に向けて発信する役割を担っている。(アンディナ通信/Agencia Andina)

 

主なコーヒー生産地域

ペルーには大きく3つのコーヒー生産地帯が存在する。

  • 北部地域(Zona norte):アマゾナス(Amazonas)、カハマルカ(Cajamarca)、ピウラ(Piura)、サン・マルティン(San Martín)

  • 中部地域(Zona central):フニン(Junín)、パスコ(Pasco)、ワヌコ(Huánuco)、ウカヤリ(Ucayali)

  • 南部地域(Zona sur):クスコ(Cusco)、プーノ(Puno)、アヤクーチョ(Ayacucho)、アプリマク(Apurímac)

中でもカハマルカ(Cajamarca)、フニン(Junín)、サン・マルティン(San Martín)の各州は生産量でリードしている。一方、アマゾナス(Amazonas)やプーノ(Puno)は品質と輸出量の面で際立っている。

 

 

世界最高の朝食とは

しかしながら、ソーシャルメディア上の投票者の嗜好は、必ずしも専門的な国際ランキングと一致するわけではない。伝統料理に関する世界的ガイドとして知られる「テイスト・アトラス」によれば、世界最高の朝食は、ペルーにもチリにも存在しない。

最上位に位置しているのは、トルコの「カフヴァルトゥ(Kahvaltı)」であり、国際ランキングの頂点において、5点中4.8という非常に高い評価を獲得している。「カフヴァルトゥ」は、トルコを代表する朝食文化である。このガイドによれば、「カフヴァルトゥ」という語は、トルコ語の「カフヴェ(kahve/コーヒー)」と「アルトゥ(altı/下・前)」に由来し、「コーヒーの前に食べるもの」というオスマン帝国時代の古い慣習を反映しているとされる。

この料理文化は、単一の料理を指すのではなく、食卓いっぱいに広がる豊かな構成を特徴とする。複数種のチーズ、オリーブ、新鮮な野菜、伝統的なパン、さまざまな調理法による卵料理、さらには「ボレキ(Börek)」や「バクラヴァ(Baklava)」といった軽食やスイーツ、ジャム類、そして絶え間なく注がれるトルコ茶(Çay)が並ぶ。もはや一つのレシピというよりは、「カフヴァルトゥ」は、甘味と塩味が調和する多彩な味覚を集めた、豊かなプレゼンテーションによる集合的かつ文化的な体験である。

 

テイスト・アトラスにおけるチチャロン入りパンの評価

「テイスト・アトラス」が作成した国際ランキングにおいて、パン・コン・チチャロンは、世界のベストサンドイッチの中で第19位に位置づけられている。評価は5点満点中4.5点という高得点である。このサンドイッチは、ペルー料理の代表格として知られ、豚のチチャロン(chicharrón de cerdo)、カリッとしたパン(pan crujiente)、さつまいも(camote)、そしてサルサ・クリオージャ(salsa criolla)という構成により、独自性と本物らしさが際立っている。

この料理のアイデンティティは、先住民の伝統とスペインによる植民地時代の影響との融合から生まれたものである。その結果、ペルーの多様性と食文化の豊かさを体現する朝食が形成された。現在では、チチャロン入りパンは、リマの早朝の生活や家族の集まりを象徴する存在となっており、ペルーの庶民料理におけるルーツと創造性を今なお色濃く反映している。

 

チチャロン入りパンのレシピ

材料

  • 豚バラ肉(panceta de cerdo)……1キロ

  • 塩……大さじ1(約15g)

  • 砂糖……大さじ1(約12g)

  • ウコン(パリージョ/palillo)……小さじ2

  • 油……1リットル

  • 水……3リットル

  • 黒こしょう(粉末)……小さじ1

  • 黒こしょう(粒)……小さじ1

  • サツマイモ(camote)……3本

  • フランスパン(Pan francés)……適量

作り方

  1. 豚バラ肉に塩、砂糖、ウコン(パリージョ/palillo)、粉末黒こしょうをまんべんなくまぶして下味をつける。

  2. 味をなじませるために、しばらく置いて休ませる。

  3. 鍋に水3リットルと粒の黒こしょうを入れて加熱する。

  4. 味付けした豚バラ肉を鍋に加え、弱火で約40分間煮込む。

  5. 肉を取り出し、水気をよく切っておく。

  6. 深めのフライパンにたっぷりの油を熱する。

  7. 豚バラ肉を揚げ、表面がきつね色になり、カリッとするまで加熱する。

  8. サツマイモの皮をむき、薄切りにする。

  9. 別のフライパンでサツマイモの薄切りを揚げ、カリッとするまで調理する。

  10. フランスパンに横から切り込みを入れる。

  11. パンの中に、スライスしたチチャロン(揚げ豚バラ肉)と揚げたサツマイモを挟む。

  12. お好みでサルサ・クリオージャ(salsa criolla)を加える。

  13. 熱いうちに盛り付けて提供し、すぐに食すのが望ましい。

#Gastronomy #朝食のワールドカップ

 

参考資料:

1. No es Perú ni Chile: el mejor desayuno del mundo se prepara en este país
2. Perú vs. Chile en el ‘Mundial de Desayunos’: precio promedio para disfrutar de un pan con chicharrón, tamal y café en Lima

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