(Photo:EFE)
コロンビア共和国大統領のグスタボ・ペトロ(Gustavo Petro)は、自身のSNS「X(旧Twitter)」において、エクアドルの元副大統領ホルヘ・グラス・エスピネル(Jorge Glas Espinel)がコロンビア国籍を取得したと発表した。2025年9月16日(火)のこの発表は、新たな外交論争を巻き起こした。これに対し、エクアドル共和国外務省も声明を発表している。
ペトロ大統領は「X」の投稿で、この決定を「諸国の平和への一歩」と評し、ダニエル・ノボア(Daniel Noboa)政権に対し同氏の引き渡しを求めた。「市民ホルヘ・グラスがコロンビア国籍を取得したことを受け、エクアドル政府には彼のコロンビア政府への引き渡しを期待する。ラテンアメリカ諸国の平和に向けたこの一歩に感謝する」と述べている。ペトロ大統領が公開した文書によると、2025年9月16日、ホルヘ・グラスは在キト・コロンビア総領事館(Consulado General de Colombia en Quito)で宣誓を行ったという。
この手続きは、2023年制定の法律第2332号(Ley 2332 de 2023)および2025年施行の決議第9411号(Resolución 9411 de 2025)に基づいて実施されたものである。文書には、コロンビア政府が2025年8月21日付の免除令第0927号(Decreto de Exoneración Número 0927)および2025年8月28日付の帰化認定証第134号(Carta de Naturaleza Número 134)によってグラスの帰化を正式に承認したことが記録されている。宣誓の際、在キト・コロンビア総領事パウラ・アンドレア・ペルドモ・ラミレス(Paula Andrea Perdomo Ramírez)がグラスに対し、コロンビア共和国の憲法および法律を遵守・尊重・擁護する意思があるかを問うたところ、グラスは「Sí juro(はい、誓います)」と答えた。なお、議事録には、グラスのコロンビア国籍取得は出身国であるエクアドルの国籍を放棄することなく付与されたと明記されており、コロンビア憲法の規定に準じたものとされている。
ホルヘ・グラス、エクアドルにおける刑の執行状況
エクアドル共和国政府は、ホルヘ・グラスに他国籍が付与される可能性があっても、同氏に下された3件の汚職事件に関する有罪判決は依然として有効であり、エクアドル法に基づきその執行が継続されると強調した。この声明は、グラスの司法的立場を国際問題化しようとするいかなる試みにも歯止めをかける意図がある。同氏は左派政党「コレイスタ(correísmo)」の象徴的存在であり、同党の最後の重要人物として現在も収監されている唯一の人物である。一方、グスタボ・ペトロ大統領は、近年のコロンビアにおける初の左派政権の指導者であり、ラファエル・コレア元エクアドル大統領の長年の支持者として知られている。
ホルヘ・グラスは汚職事件「オデブレヒト(Odebrecht)」および「賄賂(Sobornos)」に関連して、それぞれ6年および8年の懲役刑を受けており、いずれも確定判決である。2023年には、エクアドル国家刑務所庁(Servicio Nacional de Atención Integral a Personas Adultas Privadas de la Libertad:SNAI)の承認を得て、キトの裁判官によって両刑期の統合が認められ、合計で8年の刑期を服すこととなった。これに加え、「マナビ州復興事業(Reconstrucción de Manabí)」事件では、新たに13年の懲役刑が言い渡されている。この判決は第一審であり、今後二つの法的手段により取り消しまたは無効化される可能性がある。
この事件において、裁判官らは2016年に発生した地震の被災地であるマナビ州およびエスメラルダス州の沿岸地域への復興支援資金が、ホルヘ・グラスによって流用されたと認定した。この判決はエクアドル共和国検察庁(Fiscalía General del Estado)の主導で行われ、グラスの刑期にさらに8年の実刑が加えられた。これにより、彼の刑期は事実上、終わりの見えない連鎖となっている。
グラスは依然として拘束されており、自身に対する司法措置を「政治的迫害」と主張し続けている。また、何らかの外国籍が逃げ道になる可能性に望みをかけているとみられている。最近ではコロンビア国籍を取得したほか、祖父がナチスから逃れてエクアドルに移住したドイツ系ユダヤ人であることから、ドイツのパスポートも所持している。
エクアドル共和国検察庁では、ホルヘ・グラスに関連する複数の予備捜査が進行中であり、その中にはフェルナンド・ビジャビセンシオ(Fernando Villavicencio)殺害事件に関するものも含まれている。
政界での台頭から転落まで
グラスの政治的人生は、2007年にラファエル・コレア大統領によって連帯基金(Fondo de Solidaridad)の総責任者に任命されたことから始まる。両者の関係は、1970年代にエクアドル・グアヤキル市のボーイスカウト活動で知り合ったことに端を発し、その後も密接な関係を築いた。グラスは通信相(Ministro de Telecomunicaciones)、戦略部門担当大臣(Ministro de Sectores Estratégicos)、そして副大統領(Vicepresidente de la República)を歴任した。
2017年には、当時の大統領候補レニン・モレノとのペアで副大統領に再選されたが、その直後にオデブレヒト汚職事件に関連して不正共謀罪(asociación ilícita)で有罪判決を受け、6年の実刑判決を言い渡された。
2019年には服役中に新たな捜査が開始され、それが後の「賄賂事件(Caso Sobornos)」へと発展する。この事件では、元大統領ラファエル・コレアをはじめとする側近らも起訴されている。検察はこの事件について、政権与党「Alianza País」の選挙活動資金として国家と契約する業者から不正な献金を受け取る体系的スキームが存在したと主張している。一方、2007年から2017年までエクアドルを統治したラファエル・コレア元大統領は、すべての容疑を否定し、国際監査の実施によって司法プロセスの正当性を検証すべきだと訴えている。
経済的責任と損害賠償義務
コロンビア大統領グスタボ・ペトロの投稿削除
参考資料:
1. Jorge Glas recibe la nacionalidad colombiana y Gustavo Petro pide a Ecuador entregarlo
2. Jorge Glas recibió la nacionalidad colombiana gracias a gestión de Gustavo Petro
3. Gustavo Petro otorga la nacionalidad colombiana a Jorge Glas, antiguo vicepresidente de Ecuador y condenado por corrupción
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