ダニエル・ノボア(Daniel Noboa)大統領は、ブラジル、ウルグアイに続き、地域歴訪の三カ国目としてアルゼンチンを訪問した。今回の訪問には、外相ガブリエラ・ソンメルフェルト(Gabriela Sommerfeld)が同行している。ノボア大統領は、アルゼンチン商業・サービス会議所をはじめとする実業界関係者との会合を通じて、エクアドルへの投資誘致および二国間貿易の拡大を図っている。
2025年8月21日、エクアドルのダニエル・ノボア・アジン大統領は、ブエノスアイレスのカサ・ロサダにおいて、アルゼンチンのハビエル・ミレイ(Javier Milei)大統領と会談を行った。会談では、安全保障、貿易、教育、文化を含む幅広い分野において、二国間の協力を強化する必要性について一致した。
エクアドル外務省によれば、両首脳は会談の中で、テロリズムおよび組織犯罪などの脅威から民主主義を防衛することの重要性を再確認した。また、関税の見直しや貿易拡大の新たな可能性、さらにアルゼンチンによるエクアドルのエネルギー関連プロジェクトへの投資についても意見交換が行われた。これと並行して、両国の閣僚級チームによる拡大会合が開催され、安全保障をはじめとする各分野における技術協力の具体的な議題が協議された。
#AgendaArgentina🇦🇷
— Cancillería del Ecuador 🇪🇨 (@CancilleriaEc) August 21, 2025
En la Casa Rosada, el presidente @JMilei recibió con honores a su homólogo ecuatoriano @DanielNoboaOk, quien asistió junto a la canciller @gabisommerfeld y la delegación oficial.
🤝El encuentro presidencial abre camino para avanzar en varios temas como: pic.twitter.com/PnHvMS6AaQ
二国間合意
訪問の一環として、エクアドルの公共誠実性事務局長ホセ・フリオ・ネイラ(José Julio Neira)と、アルゼンチンの反汚職局長アレハンドロ・メリク(Alejandro Melik)は、公共の誠実性強化および汚職防止に関する協力を強化するための協定に署名した。本協定には、優良事例の共有、講演会や研修コースの実施、ならびに成果が測定可能な共同作業計画の策定が盛り込まれている。
さらに、ネイラ局長とアルゼンチンの金融情報ユニット(Unidad de Información Financiera)長ポール・スターク(Paul Starc)は、資金洗浄、テロ資金供与および関連犯罪の防止を目的とする了解覚書に署名した。
市民の安全保障分野では、両国の治安担当大臣ジョン・レインバーグ(John Reimberg)およびパトリシア・ブルリッチ(Patricia Bullrich)が、暴力の予防、市民の安全および公共秩序の強化を目的とした協定に署名した。主な目的は、国境を越えた犯罪組織と闘うことである。
また、ノボア大統領は滞在中、ブエノスアイレス自治市の市長ホルヘ・マクリ(Jorge Macri)より、「名誉来訪者(Visitante Ilustre)」の称号を授与された。授与式は、同市を代表する文化施設であるコロン劇場(Teatro Colón)で行われた。
El presidente @DanielNoboaOk se reunió con @jorgemacri, jefe de Gobierno de @gcba. #ElNuevoEcuador impulsa sus relaciones de amistad para promover cooperación a favor de los ciudadanos.
— Presidencia Ecuador 🇪🇨 (@Presidencia_Ec) August 22, 2025
En el Teatro Colón, el Primer Mandatario fue distinguido como Visitante Ilustre y recibió las… pic.twitter.com/wmoAAEfOxN
ノボアとビジネス関係者との会合
2025年8月20日(水)、アルゼンチンでの公式日程を開始したダニエル・ノボア大統領は、一連の企業関係者との会合を行った。これらの会合において、ノボア大統領はエクアドルの輸出品目を紹介するとともに、外国からの投資に対して同国が提供する利点を強調した。2023年から2024年にかけて、エクアドルはアルゼンチンから1,860万米ドルの外国直接投資(Foreign Direct Investment:FDI)を受け入れており、そのうち83%が鉱業・採石分野、16%が企業サービス分野、残りはその他の分野であった。
大統領府の発表によれば、ノボア大統領はアルゼンチンの企業関係者に対し、自身の政権が「持続可能性」「環境的持続性」「収益性」という三つの柱のもとで生産的発展を推進していると述べ、その目的は特に最も脆弱な層を含む国民のニーズに応えることであると強調した。
また、大統領は安全保障や経済分野における施策にも触れ、これらの施策が信頼と安定をもたらし、生産的成長に良い影響を与えていると述べた。
さらに、ルイス・アルベルト・ハラミージョ(Luis Alberto Jaramillo)通商・生産・投資大臣は、南米南部共同市場(メルコスール=Mercosur)の強化の重要性を訴えた。メルコスールは経済的、政治的、社会的な統合を促進する地域的枠組みである。
ハラミージョ大臣はさらに、エクアドルが新規投資に対して魅力的な契約条件を提供していることを指摘した。たとえば、「投資保護協定(Acuerdos de Protección a la Inversión)」により、税制上のインセンティブの安定化や、国内外の仲裁へのアクセスが可能となっている。この協定は100万米ドルを超える投資案件に適用され、最長で15年間有効である。
また、同大臣はエクアドルの輸出品の質の高さにも触れ、ピタヤ(ドラゴンフルーツ)、アボカド、パッションフルーツ、エビなどを例に挙げた。そして「今年はエビの輸出額が80億米ドルに達する見込みである」と述べた。
一方、ナタリオ・マリオ・グリンマン(Natalio Mario Grinman)アルゼンチン商工会議所(Cámara Argentina de Comercio y Servicios)会頭は、大統領訪問を歓迎し、次のように述べた。「エクアドルはこれまで何度も注目されてきた国であり、今では非常に好意的に見られている。ノボア大統領とそのチームの今回の訪問を歓迎し、我々の国とエクアドルとの結びつきをさらに強化できることを喜ばしく思う。」
両大統領、マチェーテとチェーンソーを手にポーズ
2025年8月21日、エクアドルとアルゼンチンの会談はまず儀礼的な挨拶から始まり、その後、両国の作業チームを交えた拡大会議へと移行した。両大統領はカサ・ロサダで並んで撮った写真を公開し、ノボアはマチェーテを、ミレイはチェーンソーを手にポーズをとっていた。
2023年の大統領選挙キャンペーン中、ミレイは実際に点火したチェーンソーを公の場で披露し、「国家の規模を切り縮め」、極端な緊縮政策を実施するという公約を象徴的に示した。政権は、省庁の数を20から14に、事務局を9から3に削減する方針を示し、5,000人の公務員を解雇することを発表している。
公式データによると、2025年上半期にアルゼンチンはエクアドルへ4億2,300万ドル相当の製品を輸出し、前年同期比で7.7%増加した。一方、エクアドルからの輸入は2億1,770万ドルに達し、45.9%の増加を記録した。これにより、アルゼンチン側には2億500万ドルの貿易黒字が生じている。
参考資料:
1. Daniel Noboa y Javier Milei acuerdan cooperación bilateral en seguridad, comercio y más ámbitos
2. Daniel Noboa y Javier Milei posan con machete y motosierra durante su reunión en la Casa Rosada de Buenos Aires
3. Daniel Noboa se reúne con empresarios en Argentina y busca atraer más inversión
No Comments