ボリビアとベネズエラ:朝食ワールドカップ決勝に進んだのはベネズエラ

ボリビアはイバイ・ジャノス(Ibai Llanos)が主催する「朝食ワールドカップ(Mundial de Desayunos)」において、熾烈な戦いの末、準決勝で敗退した。

ボリビア代表の朝食はサルテーニャ(salteña)とアピ・コン・パステル(api con pastel)であり、多くのSNSユーザーから支持を集めた。しかし、ベネズエラ代表の肉ほぐし入りエンパナーダ(empanada de carne mechada)、アレパ(arepa)、マルタ(malta)の組み合わせには及ばなかった。

ボリビアの提案は非常に人気があったものの、必要な票数を獲得することはできなかった。オンラインコミュニティだけでなく、企業、インフルエンサー、メディアも応援に加わったが、惜しくも力及ばなかった。

 

投票は2025年9月7日に締め切られた。ボリビアは合計5,219,000票を獲得したものの、ベネズエラの5,531,000票にはわずかに届かなかった。TikTok、YouTube、Instagramにおける312,000票の差が勝敗を分けた。

 

この大会はボリビアのSNS上でも大きな話題となり、準決勝進出は国民の誇りと結束の波を巻き起こした。庶民市場や都市のカフェ、デジタルプラットフォーム上で、ボリビア国民は一丸となって応援した。ボリビアの人々は「サルテーニャ」「アピ・モラド(api morado)」「パステル(pastel)」を熱烈に支持している。この三つの料理は単なる食文化の一端にとどまらず、国民の集合的アイデンティティの表現ともなっている。

今回の大会参加は、ボリビアの観光促進に向けた貴重な機会をもたらし、同国の味覚をユニークかつ本物の文化体験の一部として世界に発信する足がかりとなっている。ボリビアのユーザーは自国の朝食を応援するために多大な努力を重ね、ラパス市役所(Alcaldía de La Paz)やサッカークラブ「ザ・ストロンゲスト(The Strongest)」も応援に加わった。

 

本大会がボリビアにもたらしたもの

ボリビアの食文化は、私たちを一つにし、同じ思いでつながる力がある。サルテーニャの一口やアピ・モラドの一口は、単にルーツと結びつくだけでなく、国を文化と味わい、そして体験に満ちた目的地として世界に発信する、とフランツ・タマヨ大学(Universidad Franz Tamayo:Unifranz)のホテル・観光学部長ハビエル・リベラ(Javier Rivera)は述べている。

リベラが説明するように、「この現象は、ガストロノミーが普遍的な言語であることを思い出させてくれる。ガストロノミーは私たちが誰であり、どこから来たのかを語ると同時に、訪問者がその味わいを通じて国を知りたいと思う扉を開くのである」。

この団結の精神は、観光という発展の肥沃な土壌を得ている。「朝食ワールドカップ」は、ガストロノミーが観光地のプロモーションにおいて強力な手段となりうることを示した。各料理は、その材料が育まれた場所を巡る招待状でもある。例えば、アピに使われるアンデスのトウモロコシ、サルテーニャを国の象徴にした混血文化の技術、そして揚げたてのパステルが楽しめる市場などである。これらすべてが観光ストーリーとなり、訪問者の体験を豊かにするのである。

デジタル上での影響力は顕著である。ボリビアはこれまでのラウンドで、アメリカ合衆国やアルゼンチンといった大国を破り、TikTokだけで一日あたり180万票を超える得票を達成した。ミームや動画、レシピ、メッセージなどがSNSで拡散される中、ボリビアのガストロノミーが文化的魅力として大きな可能性を持つことが証明されたと言える。ハイパーコネクションの時代において、デジタルでの可視化は極めて重要であり、ひとつひとつの投稿や投票は国際的な観光への関心を引き寄せる窓口となっている。

 

公共機関やメディア、さらには地方自治体までもがこの応援の波に乗ったのは偶然ではない。ラパス市役所(Alcaldía de La Paz)は投票促進キャンペーンを打ち出し、この現象の背後に長期的な観光価値があることを認めている。メキシコ、ペルー、スペインのような国々が料理を通じて国際的なアイデンティティを確立してきたのと同様に、ボリビアも自国のガストロノミーを世界に示す切り札として活用し、同様の歩みを進めることが可能である。

さらに、この大会への参加は単に味覚を可視化するだけでなく、風景や伝統も同時に発信している。ひとつひとつのレシピの背後には探求に値する地域が存在する。数千人の旅行者を惹きつけるウユニ塩湖(Salar de Uyuni)、多様な農業が盛んなコチャバンバ(Cochabamba)の谷間、そして路上の朝食が文化体験そのものとなっているラパス(La Paz)の都市ルートなどだ。このように、「朝食ワールドカップ」はテーブルと目的地、味覚と冒険を結ぶ架け橋となっている。

ボリビアのケースが特に際立っているのは、この大会を共通の大義として昇華させた点である。ペルー、チリ、ベネズエラといった国々が各々のデジタルキャンペーンを展開するなか、ボリビアの熱狂には特別な色合いがあった。それは単に一皿を守ることではなく、国民のアイデンティティを守ることであった。サルテーニャ、アピ、パステルは旗印となり、地域的・政治的な違いを超えてボリビア人を結びつける象徴となった。この帰属意識は観光へと波及し、世界中の訪問者を惹きつける本物志向かつコミュニティに根ざした体験づくりの原動力となり得る。

 

「この大会で起こっていることは、ガストロノミーが単なる食べ物ではないことを教えてくれている。歴史であり、土地であり、アイデンティティなのだ。ひとつひとつの料理はボリビアの文化的多様性を映し出すと同時に、私たちの国をもっと知りたいという人々の関心を呼び起こしている」とリベラは強調する。彼はこの現象を観光セクターにとって長期的なチャンスと捉えている。

文化的な現象として、この大会はガストロノミーが国のイメージを発信する戦略的資源であることを示した。ボリビアにとって「朝食ワールドカップ」の準決勝進出は、世界の会話の中で独特で本物の味わいに満ちた観光地として存在感を示すことを意味する。

「今こそ、ボリビアがただの自然や文化だけでなく、食文化も有していることを示す時だ。そして、その食文化が観光としっかり結びつけば、持続可能な発展の原動力となりうる」とリベラは締めくくった。

「朝食ワールドカップ」はゲームとして始まったものの、ひとつの教訓を残した。それは「アイデンティティも味わえるものであり、観光はボリビア料理という強力なツールを活用して世界を魅了できる」ということである。

 

ベネズエラの対戦相手

もう一つの準決勝では、ペルーがチリを大差で下した。ペルー代表のパン・コン・チチャロン(pan con chicharrón)は980万票を獲得し、チリ代表のマラケタ・コン・パルタ(marraqueta con palta)の780万票を大きく上回った。

こうして、ペルーとベネズエラが大決勝に進出した。決勝では、ペルーのチチャロン入りパン(pan con chicharrón)とベネズエラのアレパが対決し、壮絶な料理対決が繰り広げられることが期待されている。

このイベントの主催者であるイバイ・ジャノスは、決勝に進んだ両国の朝食の質の高さを称賛し、本大会が世界中で何百万人もの人々を巻き込む真のバイラル現象となったと述べている。

決勝戦はスペインのコンテンツクリエイターのアカウント上で、2025年9月8日正午から行われる予定である。

#Gastronomy #朝食のワールドカップ

 

参考資料:

1. ¡Bolivia queda fuera del Mundial de Desayunos!
2. Bolivia en la semifinal del Mundial de Desayunos: turismo, identidad y sabores que conquistan al mundo
3. Bolivia va detrás de Venezuela en el Mundial de los Desayunos; así puedes ayudar con tu voto

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