エクアドル観光省(Ministerio de Turismo)はスペインの人気配信者イバイ・ジャノス(Ibai Llanos)が主催するオンラインコンテスト「朝食ワールドカップ(Mundial de Desayunos)」において、エクアドルの伝統料理「エンセボジャード」を応援するため、アニメキャラクター「セニョール・エンセボジャード(Sr. Encebollado)」を登場させたバイラルキャンペーンを開始した。「味の将軍(Generalísimo del Sabor)」という異名を持つ彼は軍用ヘルメットをかぶったスープのボウルの姿をしている。
マイクを携え、かつてのエクアドルとペルーの対立を比喩的に表現しながら、エクアドル国民に自国の食文化を守るよう呼びかけている。「国を動かす原動力を守るため、味の兵士たちよ、立ち上がれ」。「銃ではなくスプーンで戦うのだ」と述べるセニョール・エンセボジャードは、かつてのペルーとエクアドル間の軍事衝突を連想させつつ、ユーモアを交えて語っている。ペルーとエクアドルにおける歴史的な衝突には、1858〜1860年の戦争、1941年の戦争(リオ・デ・ジャネイロ和平プロトコルで終結)、1981年の紛争、そして1995年のセネパ戦争などが含まれるが、現在、エンセボジャードは準々決勝でペルー代表の料理と対決中で、両国で大きな注目を集めている。
また、セニョール・エンセボジャードは「チフレス(chifles/バナナチップス)と…パンで戦おう!」と語るが、一方でエンセボジャードの付け合わせを巡る国民の論争が登場した。つまり、エンセボジャードと共に食べるものとして「チフレス」の人もいれば、「ポップコーン(カンギル)」の人もいる。この取り組みは料理と国民的アイデンティティとのつながりを築くことも目的としている。
なおエクアドル観光省(Ministerio de Turismo)は以前にも、アニメーション化されたボロン(bolón)を発表しており、同キャラクターは「エクアドルの朝食の魂」として紹介されていた。
この展開に対し、イバイ・リャノスは驚きを隠せなかった。エクアドルおよびペルー両国の政府機関や公的機関がここまで深く関与していることを、彼は信じられなかったという。この朝食をめぐる戦いは、かつての領土紛争の記憶や対抗意識の名残をも映し出すものとなっている。
参考資料:
No Comments