国連の人権専門家は労働搾取を目的とした人身売買の疑いでエクアドルで行われている2つの重要な裁判において、現代奴隷制の被害者に対する正義と賠償を確保しなければならないと述べた。この専門家の要請は60年以上にわたって330人以上を強制労働や隷属、その他の深刻な人権侵害の対象にしたとされる古川拓殖エクアドル株式会社(Furukawa Plantaciones C.A. del Ecuador)に対するエクアドル憲法裁判所、地方刑事裁判所で裁判が進行中であることを受けたものである。
権利侵害は、エスメラルダス(Esmeraldas)、サント・ドミンゴ・デ・ロス・ツァチラス(Santo Domingo de los Tsáchilas)、ロス・リオス(Los Ríos)の各州にあるアバカ(繊維のために収穫される大型植物)の収穫のための会社所有の農場で行われたとされる。
2021年、エクアドルの司法制度は、これらのプランテーションにおける労働条件が「平等、無差別、隷属の禁止、健康、住居、教育を受ける権利の侵害」にあたることを初めて認めた(詳細はこちら)。これらの犯罪を認定した司法当局は、責任当事者である古河拓殖とエクアドル国の双方に、金銭的補償と公的謝罪という形で被害者への賠償措置を実施するよう義務付けた。しかし、地方裁判において、サント・ドミンゴ・デ・ロス・ツァチラス裁判所は、同社の責任のみを認め、エクアドル国の責任は免責した。
このような状況を踏まえ、エクアドル憲法裁判所は昨年4月、エクアドル国の責任不存在の疑いに関する再審理を開始し、その判決は来週にも出される予定である。同時に、サント・ドミンゴ(Santo Domingo)刑事裁判所は6月20日、労働搾取を目的とした人身売買など、古河拓殖が行ったとされる人権侵害に基づき、刑事制裁を受けるべきかどうかを決定する予定である。
国連人権理事会の諮問を受けた専門家たちによれば、両裁判はエクアドルにとって「これらの虐待の被害者に正義を提供するまたとない機会」であり、彼らは「法的救済と賠償を受けるべき」である。「フルカワ・プランタシオネス(古川拓殖)は、犯した人権侵害の責任を問われ、被害者に適切かつ効果的で迅速な賠償がなされなければならない」。
専門家たちはエクアドルに対し法規制を強化し、特にリスクの高い経済部門において定期的かつ効果的な労働検査を実施することで、現代奴隷制を「より効果的に」防止するよう求めている。このコミュニケに署名しているのは奴隷制の現代的形態に関する特別報告者(その原因と結果も含む)である小保方智也をはじめとするメンバーである。議長(報告者)のロバート・マコークデール(Robert McCorquodale)、副議長フェルナンダ・ホペンヘイム(Fernanda Hopenhaym)、ピチャモン・イェオファントン(Pichamon Yeophantong)、ダミロラ・オラウイ(Damilola Olawuyi)、ビジネスと人権に関する作業部会のエルズビエタ・カルスカ(Elzbieta Karska)、教育の権利に関する特別報告者ファリダ・シャヒード(Farida Shaheed)、食糧の権利に関する特別報告者マイケル・ファクリ(Michael Fakhri)、安全な飲料水と衛生設備に対する人権に関する特別報告者ペドロ・アロホ=アグド(Pedro Arrojo-Agudo)が本件に関わった。
日本のFPCマーケティングの子会社であるエクアドル・フルカワは、人権を侵害し、子どもを含む家族全員が雇用されている農園で、労働者に非人間的な条件での労働を強いたとして告発された。それに対し上述の通りエクアドル検察庁は2021年、非常に耐性のある植物繊維が取れる植物であるアバカ農園内で、「現代的な奴隷制の一形態であるグレベの農奴制」が「構成」されていたと発表し、一方のエクアドル憲法裁判所は、エクアドル国家による不作為があったかどうか、企業の直接的な責任、アバカ農園に対する企業の直接的な責任があるかどうかを判断するため、職権でこの事件を審査している。
南米の中でも日本人移住者が少ないとされるエクアドル。しかし戦後、日本海外移住振興株式会社からの融資のもと、古川拓殖が事業を始めていた。日本国の政策のもと少ないながらも行われた移住と、その結果としての開発はエクアドルの人々の飲料水、食料、栄養に対する権利の侵害をし続けている。
JICAもまた古川拓殖を援助している。
参考資料:
1. Ecuador: Victims of modern slavery must have remedy and reparation in ongoing lawsuits, UN experts say (OHCHR)
2. ONU pide a Ecuador indemnizar víctimas de esclavitud moderna
3. El juicio de esclavitud moderna de Ecuador contra Furukawa, visto para sentencia: “Necesitamos justicia”
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