エクアドル:観光産業に関する緊急経済法案、国民議会で承認される

2024年3月21日、国民議会はエクアドルの観光に関する緊急経済法「観光活動の強化と雇用促進に関する法」を83票で承認した。この法案は、2024年2月23日にダニエル・ノボア大統領によって提出されたもの。提案から約1ヶ月の後、国会は原文に若干の修正とともに承認した。

今後同法案はダニエル・ノボア(Daniel Noboa)大統領に送付され、同大統領は30日以内に見解を示すか、公文書館に送付して発効させることができる。

この法律は、エクアドルの観光活動を促進するために、いくつかの規制、経済、税制の改正を提案するもの。ニルス・オルセン(Niels Olsen)観光大臣の説明によるとその目的は、テイラ・スウィフト(Taylor Swift)のような国際的なアーティストがエクアドルでコンサートを開くことを奨励するものである。このようなショーやその他の文化的イベントは、現在、高い費用と税金のために不可能である。

観光業は、エクアドルにとって石油以外で3番目に大きな収入源である。国家予算総覧によると、2024年には観光省は450億ドルの収入を生み出すと推定されている。

 

この法律が承認されたのは、政治的な論争がなかったからではない。ラファエル・コレア(Rafael Correa)前大統領の支持母体である市民革命運動(movimiento Revolución Ciudadana)の議員7人が、同法に反対することを決定していたにもかかわらず、賛成票を投じた。

ルイサ・ゴンサレス(Luisa González)元大統領候補は、この法案を支持したピエリナ・コレア(Pierina Correa)、パエラ・アギレ(Paela Aguirre)、マルセラ・オルギン(Marcela Holguín)、ジョハナ・オルティス(Johana Ortiz)、サビエル・フラド(Xavier Jurado)、ミルトン・アグアス(Milton Aguas)、ヘンリ・ボスケス(Henry Bósquez)に対して制裁を加えると述べた。ゴンサレスによれば、これは「何の解決にもならない法案」だという。コレア主義であり元大統領・副大統領候補アンドレス・アラウス(Andrés Arauz)は、この法律には「禁制品」があり、ノボア大統領に対し税金を免除する裁量権を与えるものでもあると述べている。

 

観光緊急経済法では何が提案されていたのか

◆航空会社に対する措置

 国内外の航空会社に対し外貨流出税(ISD)を撤廃

ISDの撤廃は目新しいものではない。2021年9月2日、ギジェルモ・ラッソ()大統領も「国内での運航を許可された外国航空会社」に対する出国為替税率を0%とすることを決定している。新法はこの範囲を拡大しエクアドルの航空会社をも適用対象とした。

 燃料に対する税金の引き下げ

航空会社が燃料1ガロンごとに5%の税金を支払わなければならない。これを2024年以降、0%になるまで毎年1ポイントずつ引き下げる。 

 

 
 
 
 
 
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ニルス・オルセン大臣がGK編集長のスサナ・ロア(Susana Roa)に語ったところによると、これらの変更はエクアドルを観光面でより競争力のある国にするための努力の一環である。つまり、この地域の他の国々よりも、より良いフライト価格、より多くのフライト頻度、より良いオファーを提供することである。オルセンによれば、エクアドルの観光競争力は世界ランキングで86位であり、チリ、ウルグアイ、パラグアイといった同地域の他国を大きく下回っているため、これらの変更は緊急の課題である。

 

観光に関する緊急経済法で定められた変更は、2021年以降、観光客の宿泊料金を引き下げることを目的に行われた他の変更に加えて行われる。

国際航空会社に対するISDの撤廃により米国、チリ、ドミニカ共和国とのオープンスカイ協定が結ばれた。これらの協定により、国ごとの発着回数と航空会社の割り当てが解放された。より多くのフライトが提供されることで、価格も下がる。なお2022年には、エコ・デルタとエクアドル・ポテンシア・ツーリスティカの税金が50ドルの固定値から航空券代金の5%に変更されていた。

オルセンは「次の報告書では、我々はもはや2番目に競争力のない国ではない」と確信している、私は非常に楽観的に考えていると述べた。

 

◆エンターテイメント産業に対する措置

ニール・オルセン大臣はスサナ・ロアに対し、国際的な文化・観光イベントのオーガナイザーの信頼を高めるために、多くのアクションが必要であると語った。オルセンによれば、これらのイベントがエクアドルで開催されることで、ホテルやレストラン、その他の観光サービス提供者に対しても収入がもたらされる。しかし、現行法ではそのような成長は望めない。「多くの税金がこの分野の競争力を低下させている」からだ。

 

目的の達成のために議会は以下の変更を承認している:  

 観光サービス業者による海外での支払いに対し、源泉徴収で15%の所得税を徴収

現行法より10%の減税

 地方自治政府は、観光部門に対する追加優遇措置を設けることが可能

これらの優遇措置は観光施設、活動、様式への投資、文化財や自然資産の救済などに適用可能

 観光セクターの企業に対する特別金利と条件での融資、無利息の猶予期間の設置

非常事態宣言が発令された地域の「自然現象や社会的危機」の影響を受けた部門の観光サービス業者に対して、特別で優遇されたプロセスや条件を設ける。これは、農業、畜産業、林業、職人漁業、養殖業なども対象

 

◆その他措置

 エクアドル観光開発基金の創設

エクアドルにおける観光の促進、競争力、発展のための活動、プログラム、プロジェクトの実施に資金を提供。この資金は、エコ・デルタ税とエクアドル・ポテンシア・ツーリスティカ税から徴収される。

これらの金額は観光振興に充てられる。ニルス・オルセン大臣によると「これらの資金をそこに回す法的な数字はなかった。(しかし今回の改正で)エクアドルは国内の観光振興のために700万ドルしか持っていなかったのが、徐々に持っていけるようになると推定されている」。

 祝祭日における観光に関する付加価値税を減税

国または地方自治体の祝祭日には観光活動に対する付加価値税を8%に減額することができる。この措置は、VATが減額される年間合計12日を超えない範囲で、祝日の前後の土曜日と日曜日に適用される。

 国内武力紛争期間中における金融政策

大統領は臨時かつ一時的な方法で、その期間中に発生した納税義務に対する利子、罰金、課徴金を減免することが可能。

 

 

法律承認に対する反応

ダニエル・ノボア大統領は、自身のX(旧ツイッター)アカウントでビデオを公開し、この法律は「多くの若者に雇用を与え、今日経済を必要としている地域の経済を活性化させる」と述べた。ノボア大統領は、「この法律に多数決で賛成するよう」議会議員を激励した市民社会に感謝している。

 

ニルス・オルセン大臣は、この法律が承認されたことで「観光産業が勝利し、国も勝利した」と述べた。また、国民議会議長のヘンリ・クロンフレ氏と経済開発委員会委員長で法案の報告者であるバレンティナ・センテノ(Valentina Centeno)とのビデオも公開した。ビデオの中でクロンフレは、「これがガバナンスであり、国に必要な法律を与えることだ」と語っている。

 

労働組合の代表は、法案が提出されて以来、公に支持してきた。オルセン大臣によると、この法律は観光業界の代表者と何度も話し合い、業界の競争力を向上させるための要望を集めた上で作られたという。

リチャルド・ダビラ(Richard Dávila)元エクアドル観光協会(Asociación Nacional De Operadores De Turismo Receptivo Del Ecuador:Optur)会長は、この法律には観光組合の会長たちが何年も前から要望し、ようやく実現した点がいくつかあると述べている。

 

参考資料:

1. La ley económica urgente de turismo aprobada por la Asamblea, explicada
2. Proyecto económico urgente para el fortalecimiento de las actividades turísticas en Ecuador
3. Asamblea aprobó ley económica urgente de turismo con 83 votos

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