ベリーズ:自殺者の人数の増加とメンタルヘルスケアの必要性

(Photo:Ministry of Health & Wellness

3月に入ってから、多くの殺人事件が発生しているが、それらの殺人事件に加えて、メディアの注目を集めた自殺事件もいくつか報告されている。

最初の事件はコロサル・タウンで発生し、殺人容疑者がコロサル警察署の独房内でズボンを脱いで首に巻きつけ、自ら命を絶った。

3月9日の「英雄と恩人の日」の朝にはベリーズ市議会議長ステファニー・リンド・ガーバット(Stephanie Lindo Garbutt)とオズワルド・ウォレス・ガーバット(Oswald Wallace Garbutt)夫妻が、フリータウン・ロードの自宅で死亡しているのが発見された。夫婦の寝室で銃声がしたためオズワルドの弟が見に行ったところ、この悲惨な状態に直面したと言う。この事件は10代の息子が家にいる間に起きたもので、近隣の人々によると嫉妬と家庭内紛争後の厳しい結末であった。市議はBlue Steel SoundのDJとしても知られた夫によって殺されたが加害者もまた銃を使って命をたった。

3月15日には29歳の男性チャス・ホランド(Chaz Holland)が#34 Fabers Road Extensionにある自室で首に布ベルトを巻き自殺を計った。ホランドは、3年前に父親を失って以来、うつ病に苦しんでいた。カウンセリングを受けたにもかかわらず、ホランドのうつ病との闘いは悲劇的な結末を迎え、悲嘆にくれる家族が残された。

最近開始されたベリーズ国家自殺防止計画に照らして、メンタルヘルス協会(Mental Health Association:MHA)は支援のための必要性を認め、そしてそのような銃のライセンス申請者のための必須のメンタルヘルス評価、および一時的に危険とみなされるものから銃器を削除するには、レッドフラッグ法の実施などの主要な推奨事項を概説した。

「自殺者が出ているのはとても悲しいことだ。私たちは、総合的な観点からこの問題を捉えようとしている。精神衛生面は非常に重要なので、保健省や精神衛生施設と話をしなければならず、家族や困難な状況にある人々、弱い立場の人々を守るという観点からも見なければならない」と、ドロレス・バルデラモス・ガルシア(Dolores Balderamos Garcia)人間開発・家族・先住民問題担当大臣(Minister of Human Development, Families and Indigenous People’s Affairs)は語った。「私たちの省はこのことを非常に懸念しており、精神保健省だけでなく、精神保健協会にも働きかけていくつもりだ。うつ病になるきっかけを探すことはとても重要だ」と続けた。

 

うつ病は自ら命を絶とうとする主な原因の一つである。専門家の臨床医によれば、もう一つの原因はスティグマ(偏見)である可能性があるという。この種の自殺は男性に多い。

「うつ病、不安障害、双極性障害などの精神障害を持つことで、自殺という決断を下すことになる」と、保健福祉省 (Ministry of Health and Wellness)メンタルヘルス・コーディネーターのイヴェス・キンタニラ(Iveth Quintanilla)は言う。「精神障害に関しては、さまざまな要因が考えられる。家族の誰かが精神障害と診断された場合、家族の誰かがその障害に苦しむ可能性が高い。また、人生で経験したことも関係している。子供の頃にトラウマになるような経験をすると、大人になってから精神障害になる可能性がある」とキンタニラは付け加えた。

厚生省の自殺統計によると、2023年には29件の自殺未遂があり、男性21件、女性8件が死亡している。キンタニラは自殺で亡くなる人の年齢は20歳から35歳であると指摘した。これは「キャリアをスタートさせ、結婚し、子供を持つ時期だ。その役割に適合しなければ、人はプレッシャーを感じるのだろう」と説明した。彼女はさらに、うつ病を患っている人が示すサインがいくつかあると指摘した。

「死にたいと表現したり、罪悪感を感じたり、恥ずかしく思ったり、他人の重荷になっていると感じたりする。感情に関しては、絶望感、無価値感、悲しみ、あるいは極度の感情的苦痛を感じているかもしれない。また、行動の変化にも気を配る必要がある。極端にイライラしたり、怒りっぽくなったりすることもある。青少年に関しては、引きこもりがちになる。また、物質の使用が多くなれば、それも指標になります」とキンタニラは述べた。彼女は、精神的な問題に苦しんでいる人は、全国にある保健クリニックで支援を求めることができると付け加えた。

 

UNICEFによるとベリーズの青少年が命を落とすのは殺人と自殺を原因とするものが多い。2017年の死亡率報告書によると世界で最も犯罪にまみれた10の都市空間の一つであったベリーズシティでの殺人の82%がギャング絡みだった。ベリーズの十代の若者たちは、彼らが学校への往復、近所の店を訪れる際、そしてスポーツに参加しようとしたり、友人との時間を過ごすときに蔓延する暴力の危険にさらされている。そしてそのような敵対的な環境にさらされることで、有毒なストレスや、自殺、意図的・非意図的な自傷行為の割合を増加させる可能性のある精神衛生状態につながる。

この国では2014年から2016年の間に15歳から19歳の青少年の自殺未遂率は毎年39%増加した。2008年から2017年にかけて、10歳から19歳の青少年の自殺未遂者数は、全年齢層における自殺未遂者数の3分の1以上(36パーセント)を占めていた。精神科ナースプラクティショナーによると、青少年が精神科クリニックに入院する3大原因は精神作用物質使用による障害、自殺未遂、不安障害やストレス関連障害による精神衛生障害だった。

ベリーズの自殺に関する最新のデータは、行為が男性と警察官の間で最も普及していることを示している。 保健省によって認可された最近の研究では、警察官がストレスによる精神的健康障害に苦しむ傾向があることを示している。

 

2024年3月8日、2024年~2030年までの「ベリーズ国家自殺予防計画(Веlіzе Nаtіоnаl Suісіdе Rеvеntіоn Рlаn)」を政府は発表している。発表イベントに際し公衆衛生・ウェルネス副局長フィデル・クエジャール(Fidel Cuéllar)博士はたとえ1年に1人であっても、(自殺者がいると言う事実は)多すぎると語り、その対処や自殺を計画するための手段への容易なアクセスをどう制限していくかなど検討事項は多いと説明した。ベリーズでは、首吊り、殺虫剤の使用、銃の使用が上位3つの原因となっている。またメディアによる影響も検討する余地がある。保健省メディア各社自殺自傷行為について責任った報道をする方法について話し合う機会持ちたいと述べ、また、若者たちに必要なスキル、ライフスキルを身につけさせ、日々のストレスに打ちのめされることなく、たくましく生きていけるようにすることも必要だとした。

自殺予防計画はPAHOやWHOベリーズ事務所、メンタルヘルスにおける主要な利害関係者とのパートナーシップのもと作られた。

 

参考資料:

1. Suicide on the rise!
2. Suicides put spotlight on mental health
3. Adolescent health
4. Ministry of Health and Wellness and stakeholders launch Belize National Suicide Prevention Plan 2024-2030

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