ハイチ:米国による国際的介入参加可能性と共和国銀行への襲撃

(Photo:Cocunotcracc / Wikipedia)

米国南方軍司令部のローラ・リチャードソン(Laura Richardson)大将は火曜日、カリブ海の国で急増している暴力に対処するための「国際的解決策」の一環として、ハイチへの部隊派遣を否定しなかった。

「国際的な解決策、ハイチの視点も含めた解決策は非常に重要だと思う。そのため米国だけの解決策が私たちが向かうべき方向だとは思わない」と、ワシントンのシンクタンク、アトランティック・カウンシル(Atlantic Council)でのイベントで将軍は語った。ジョー・バイデン大統領の政権は「まさにそうしようとしている。国際的な解決策の適用について」と、付け加えた。

リチャードソン将軍の発言は米軍が国際的な解決策に加わる可能性はあるかと問われた結果であり、「あの国で何が起きているのか」を考えれば、「国際的な解決策に加わる可能性はある」と言うものだ。また、「国務省と国防総省から要請があれば、準備はできている」とした。

深刻な人道危機は、移民の大量流入を懸念させるが、リチャードソンはメキシコを除くラテンアメリカ諸国を管轄する南部司令部は、起こりうる大量移民に対処するため、「幅広い不測の事態に備えた計画」を更新中であり「われわれは常にそれに備えている」とも答えている。

 

 

ハイチは、今月初めから新たな暴力の段階へと突入している。ポルトープランスの一角を支配する複数のギャングが手を組み、首都の要所を襲撃していることによる。

3月18日、パヴェ通りにあるハイチ共和国銀行(Banque de la République d’Haïti:BRH)の敷地付近で「事件」が発生した。この事件は同銀行に対する武力攻撃の可能性が疑われた。銀行が襲撃されたとのメディア報道の一方、BRHは武力攻撃の標的になったことを直接確認していないとした。

BRH側は、火曜日、X(旧ツイッター)で、「昨日、パヴェ通りにあるBRHの敷地付近で発生した事件に対し、警察と施設の警備チームがプロ意識と効率性をもって対応したことを、一般市民にお知らせしたいと思う」と述べるとともに、治安当局と法秩序を守る軍隊の介入に感謝の意を表した。「私たちは、私たちの地域社会を守るために常に警戒し、尽力してくれた警備員と国家警察に深く感謝している。私たちの事業の安全と従業員の保護は、引き続き私たちの最優先事項だ」と述べた。

法秩序を守る部隊、BRHの捜査官と武装した盗賊たちとのやり取りの中で、盗賊のうち数人が殺害され、武器が押収されたと伝えられている。なお防衛においてBRHの警備員の一人が撃たれ負傷した。

匿名を希望するBRHの関係者がAFPに語ったところによると「私たちの警備隊は、警察や軍隊とともに攻撃を撃退しました。3、4人の盗賊が殺された」。

複数のギャングが手を組み、ポルトープランスの戦略的場所を攻撃しているのはアリエル・アンリ(Ariel Henry)首相に対する戦いの一環と考えるものもいる。しかしアリエル・アンリ首相の辞任発表後、武装した盗賊が暴力的な手段でハイチの首都を完全に掌握し、公共機関や民間施設を攻撃し、住民の間に恐怖を広げるための活動とも言える。少なくとも中央銀行への攻撃の試みは同国における治安上の持続的な課題を浮き彫りにするものである。

 

ハイチでの暴動は鎮まるどころか次の段階へとエスカレーションしている。そのことから欧州連合(EU)、世界銀行、カナダ大使館、国際通貨基金、国連、キューバ大使館の外交官296人は、治安維持活動によりハイチからドミニカ共和国に避難した。

国防省(MIDE)の発表によると「現在までに、男性174人、女性105人、少女9人、少年8人、合計296人が搬送された」。国防省はさまざまな在外公館からの人員移送要請が増加するなか、米国とカナダから、ハイチの不透明な治安状況に対応するため、友好国である両国の駐在公館を支援するよう要請を受けているとも付け加えている。

国連の人員の一部も一時的にハイチ国外に移されたいる。これは「危機的状況に対応する他の人員」が到着する(予定)ことによる。これについては国連事務総長の公式報道官であるステファン・ドゥジャリック(Stéphane Dujarric)も、ドミニカ共和国に必要でない国際的な国連職員を異動させ、危機管理と人道援助の専門要員を投入することも可能にすべきだと説明している。

先週、国連は、暴力に苦しむハイチの人々に人道援助を届ける役割を果たすハイチとの「空の架け橋」を発表した。これについて国連安全保障理事会は3月18日月曜日、ドミニカ共和国の「エアブリッジ」を利用したハイチへの人道援助の開始を確認している。

アントニオ・グテーレス(António Guterres)事務総長のファルハン・ハック(Farhan Haq)副報道官が月曜日の記者会見で「ドミニカ共和国とハイチを結ぶ定期的な空輸(人道支援)が始まったと、現地の同僚から連絡があった」と述べている。ハック報道官は、このフライトは往復便であり、「ポルトープランスへのアクセスが良くなる」よう、両国間で「ヘリコプターの定期便が増える」ことを期待していると説明した。「我々はその努力を続けており、現地のすべての当局と関係者が私たちの努力に協力してくれることを願っている」と付け加えた。

ドミニカの国連食糧機関(United Nations World Food Programme:WFP)のジャン=マルティン・バウア(Jean-Martin Baue)代表は今週初め、ハイチでは400万人が「深刻な食糧不安」に直面しており、100万人が飢饉の危機に瀕していると述べた。国連によれば、ポルトープランスの人口は約1100万人で、避難民の総数は36万人を超え、その半数は子どもである。

 

国内外から広く疑問視されていたアンリは、ケニア行きを終えてハイチに戻ることができなかった。彼は3月11日に辞任を表明し、暫定大統領評議会が結成されるまでは政府が日常業務を管理すると述べた。ハイチ国民はそれ以来、この暫定当局の成立を待ち望んでいる。

ケニアは、国連が監督する国際安全保障ミッションを率いる警察官の派遣を約束したが、袂を分かったアンリ首相の辞任後、同国を率いる暫定大統領評議会が結成されるまで、派遣を停止した。

#ハイチ大統領暗殺事件 #ハイチ危機

 

参考資料:

1. EEUU no descarta envío de fuerzas a Haití como parte de «solución internacional»
2. Rechazado un ataque contra el banco central de Haití
3. 296 diplomáticos han sido evacuados desde Haití hacia RD
4. La BRH confirme un « incident » à proximité de ses locaux mais ne parle pas d’attaque armée
5. WFP calls for humanitarian access as violence and unrest wreak havoc in Haiti
6. La ONU dice que inició entrega de ayuda humanitaria por “puente aéreo” entre Haití y RD

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