キューバ:米国とイスラエルはキューバに対しても人道犯罪を生産し続ける

(Photo:@PedrodArmas/Twitter)

国連総会は3日木曜日、キューバの外務大臣が「キューバに封鎖のない生活を」と訴えた後、アメリカのキューバに対する31年目の経済封鎖を非難する決議を圧倒的多数で採択した。

カリブ海の島国キューバへの支持は、193カ国からなる総会での決議案採決の記録に並んだ: 賛成は187票で、アメリカとイスラエルは反対、ウクライナは棄権した。ソマリア、ベネズエラ、モルドバは投票しなかった。「賛成」は昨年の185票、2021年の184票を上回り、2019年の187票に並んだ。 国連が禁輸措置の終結を決議したのはこれが30回目である。

 

キューバのブルーノ・ロドリゲス(Bruno Rodríguez Parrilla)外相は投票前、「理性と正義」、国連憲章、国際法を支持し、決議案を支持するよう総会に呼びかけた。ロドリゲスは、アメリカの禁輸措置は「いかなる国に対しても適用されたことのない、最も残酷で長期にわたる一方的な強制措置」であり、「ジェノサイドの犯罪」であり、「平時における経済戦争行為」であると述べた。

アメリカの狙いは、キューバの経済活動を弱体化させ、国民を飢えと絶望に陥れ、政府を転覆させることにある、とロドリゲスは言う。キューバの状況を知らない人間、米国信仰者はロドリゲスの言説を大袈裟とか、米国に反抗するからなどと平気で言うことだろう。その考え自体が人道犯罪に対する意識が低すぎることの表れだ。

「アメリカ合衆国がキューバに対して課している経済、商業、金融の禁輸措置を終わらせる必要性」と言う名の決議は毎年恒例行われている。総会決議は法的拘束力をもつこともなく強制力もないものの、世界の世論を反映するものとはされている。米国やイスラエルにとって世界の世論、民主主義などは二の次だ。自らの体裁の方が大切だ。

フィデル・カストロ率いる革命と、米国市民や企業の所有物の国有化を受けて1960年に発動され、その2年後には強化された禁輸措置は米国による嫌がらせに他ならず、小さな島キューバに60年以上前に完敗したことに対する、ささやかではない仕返しだ。

ラウル・カストロ(Raúl Modesto Castro Ruz)キューバ国家評議会議長(当時)とバラク・オバマ(Barack Hussein Obama II)大統領は2016年7月に正式に関係を回復し、その年、米国は禁輸措置の停止を求める決議に初めて棄権した。しかし、オバマの後継者であるドナルド・トランプはキューバの人権記録を厳しく批判し、2017年、アメリカは再び決議案に反対票を投じた。そして今年もガザ地区の人々への人道犯罪を支援する米国は反対票を投じた。

国連総会は、1992年にさかのぼる決議(決議47/19)にもかかわらず、「キューバに対する経済・商業・金融の禁輸措置がいまだに実施されている」こと、そして「そのような措置がキューバ国民や他国に住むキューバ国民に悪影響を及ぼしている」ことに懸念を表明した。また、2015年と2016年に当時のバラク・オバマ米大統領が採用した「禁輸措置の適用をいくつかの側面から修正する措置」を想起し、2017年以降に適用された「禁輸措置の実施を強化する措置」とは対照的であるとした。総会は、すべての国に対し、国連憲章および国際法の下での義務に則り、このような制限的な法律や措置を公布・適用しないよう改めて呼びかけた。国連安全保障会議の常任理事国でもある米国、ロシアが国連憲章や国際法を平気で軽視する限りにおいては、示しがつかず、むしろ、国際法は破っても良いと考える国も出てくる。そしてそれは事実この世界で平然と行われていることだ。

https://twitter.com/CubaMINREX/status/1720411034882601451

 

ポール・フォルムスビ(Paul Folmsbee)米代表は総会決議において経済制裁解除を否定した理由を「同国はキューバ国民とともに『断固として立ち上がる』」としている。「我々は、人権と基本的自由が尊重される未来を追求するキューバを強く支持する」と述べ、制裁は、キューバが民主主義を推進し、人権と基本的自由の尊重を促進するよう促すための米国の広範な努力における「手段のひとつ」であると指摘した。また、米国はキューバ国民が直面している課題を認識していると述べ、制裁にはキューバへの食糧、医薬品、その他の人道的物資の輸出に関する免除や許可が含まれていると説明した。フォルムスビはキューバでは約1000人の政治犯が獄中にあり、最近の歴史のどの時点よりも多いと述べた。人権擁護者や未成年者を含む市民社会の代表が表現の自由と平和的集会の権利を行使した2021年7月11日の歴史的抗議行動の後、700人近くが拘束された。「我々はキューバの民主化というキューバ国民の夢を共有し、国際的なパートナーとともに、キューバ政府に対し、不当に拘束されているすべての人々を直ちに釈放するよう求める」とフォルムスビは述べた。また、国連人権理事会がキューバに専門家を派遣し、表現の自由、宗教の自由、平和的集会の自由を含む権利の遵守状況を調査するよう求めていることに応じるようキューバに求めた。フォルムスビが最後に、総会はキューバ政府に対し、「人権上の義務を遵守し、キューバ国民と彼ら自身の将来を決めるという彼らの願望に耳を傾けるよう」促すべきだと述べたとき、議場では散発的なブーイングが起こった。

 

ブルーノ・ロドリゲス・パリージャ外相は封鎖は農業から家畜の飼料、工業設備、その他食料生産に必要なものを購入する資金を奪っていること、そして食料品に対する関税撤廃にもかかわらず、アメリカは国際貿易のルールに違反していることを述べている。「キューバは、米国企業や第三国にある子会社から、設備、技術、医療機器、最終用途の医薬品を購入することを妨げられている。そのため、仲介業者を通して法外な価格で入手するか、効果の低いジェネリック医薬品に置き換えることを余儀なくされている」と、深刻な病気と闘っているキューバの家族の証言を引用して述べた。「もしキューバが、痙攣を防ぐための(薬を)米国市場から直接入手することを妨げられていなければ、(彼らの)生活はどれほど違ったものになっていただろう」。

同大臣は、「封鎖は医薬品や医療機器へのアクセスを妨げていないと主張するアメリカ政府は嘘をついている」とも述べている。これはCOVID-19のパンデミック時の状況を思い出せば誰もが容易に理解できることだ。「パンデミック時でさえも」米国政府は人道犯罪を維持のために嘘をつき続けた。COVID-19パンデミックの最も困難な時期のキューバは人工呼吸器を輸入することができなかった。アメリカ政府は「日和見的にCOVID-19をキューバに対する敵対政策の同盟国として利用した」と付け加えるロドリゲスは、大国政府による小国に対する何十年にもわたって「平時における経済戦争行為」と述べた。キューバをテロ支援国家リストに加えた米国ではむしろ、テロ行為が国内でも起きており、また他者からの攻撃という言説を盾に、他国に武力でも、経済的にも攻撃を仕掛け続けている。外務大臣は、子供や妊婦を含む病人は、医薬品の不安定な供給によってダメージを受けていると述べ、キューバは医療品を法外な値段で買わされるか、効果の低い治療薬に置き換えざるを得ないため、人々はインスリン、抗生物質、鎮痛剤、その他の薬を手に入れることが困難であると付け加えた。 

人口の80%はアメリカの封鎖のない生活を知らないと述べるロドリゲスはまた、キューバはアメリカにとってまったく脅威ではないこと、米国による「違法で、残酷で、非人道的な政策」によって、国全体が進歩する権利を奪われていることも述べている。昨年だけでも、封鎖による経済的損害は48億6700万ドルにのぼり、商品の不足、長蛇の列、物価高、給与の切り下げを意味し、時には壊滅的な停電を含め、キューバの家庭に苦しみをもたらしていると述べた。「経済的な包囲網の強化」は、キューバに対する偽情報キャンペーンを伴っており、キューバを不安定にし、信用を失墜させようとしていると述べた。また、アメリカ国内では、不満と国内政治危機の誤った印象を煽ることを目的とした「メディア十字軍」が存在すると述べた。

キューバ外相は、アメリカは世界中の銀行に自国と取引しないよう圧力をかけており、アメリカの敵意とそれが世界の金融システムに与える有害な影響の犠牲になっているとも述べており、また、封鎖によってキューバの家族が引き離され、米国市民がキューバを訪問する権利が奪われていると指摘した。キューバは「米国の人々や海外に住むすべての移民との架け橋を築き続ける」と述べ、「自由で主権ある祖国」を守り、その継続的な変革を支援することを決してやめない」、そして「超大国からのこれほど組織的で長期にわたる敵対に直面した民族は他にない。しかし、キューバは自らを更新し続け、主権、独立、社会主義、民主主義、繁栄、持続可能な国家を建設していくだろう」と語った。また、現在不法占拠されている土地で虐殺されているパレスチナの人々への支援と連帯を改めて表明し、「これらの野蛮な行為は止めなければならない」と、イスラエルによるガザ地区への砲撃に言及して付け加えた。

https://twitter.com/MayraArevich/status/1719709857341690121

 

本決議に関して他国の反応を見てみよう。

ガボン代表のオーレリー・フローレ・クンバ・パンボ(Aurélie Flore Koumba Pambo)は、禁輸措置が続いていることについて同国の懸念を表明した。ガボンが語る米国による経済封鎖解除の必要性とは「その影響の大きさは、キューバ国民にとってますます有害になっている」ことであり、「経済封鎖は、地域と大陸の結束に対する敵対行為であることは明らか」だと言うことだ。彼女は、禁輸措置は国際法、国連憲章、そして「国家間の平和的関係を管理する」通常の措置に反していると述べ、また文化、公衆衛生、キューバ国民の福利に悪影響を及ぼしているとした。

チリのパウラ・ナルバエス・オヘダ(Paula Narváez Ojeda)は一方的な強制措置の実施は国際法に反するという同国の信念を再確認した。「チリは、いかなる種類の一方的な制裁措置の発動にも賛成しない。正当な制裁措置は、国際の平和と安全の維持のために安全保障理事会がその権限を行使して採択するものだけ」と述べ、国連憲章第7章に基づく安保理の責務に言及した。彼女は、経済的禁輸は過ぎ去った時代の時代錯誤であり、きっぱりと終わらせるべきだと指摘した。また、彼女は、キューバをテロ支援国家リストから除外することを求める声に参加した。 

https://twitter.com/LuchoXBolivia/status/1720218452923674714

イラン代表は、国連憲章擁護友好国グループ、77カ国グループ、中国、非同盟運動と連携し、自国も同様の措置を受けてきたと述べた。 「イランは1977年以来、米国の非合法かつ非人道的な制裁の標的となっている。 総会が繰り返し呼びかけているにもかかわらず、キューバはいまだに、発展の権利を侵害する非合法かつ非道徳的な禁輸措置を受けている。 「世界は、このような破壊的な介入と一国主義に対抗する解決策を見つけなければならない」と強調した。

 ジャマイカの代表は、カリブ共同体(CARICOM)、77カ国・地域(G77)、中国と足並みを揃え、しかし、いかなる措置も、キューバの健康危機、自然災害、食糧難への対応能力を妨げている禁輸措置の廃止に代わるものにはならないとも指摘した。  あまりにも長い間、キューバの人々は、その結果、不当かつ品位に欠ける形で苦しんできた。

他国の医療を支援するキューバの役割を強調する代表もいた。 東ティモールの代表は、採決後の説明の中で、キューバは東ティモールの保健分野の発展において、学生のキューバ留学を促進し、東ティモールで働く医師や専門家を派遣するなど、基本的な役割を果たしてきたと述べた。

 

なお一部ニューヨーク州議員は経済封鎖解除を求めている。

 

キューバに対する経済封鎖に関する記事はこちら(#MejorSinBloqueo)も参照のこと。

 

参考資料:

1. UN votes overwhelmingly to condemn US economic embargo on Cuba for 31st year and urge its lifting
2. General Assembly votes overwhelmingly against US Cuba embargo
3. General Assembly Concludes Consideration of Cuba Embargo with Adoption of Resolution Urging States to Repeal Laws Impeding Trade, Navigation

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