エクアドル:電力供給の制限と、コロンビア、ペルーからの電力輸入

(Photo:Presidencia de la República del Ecuador/Flickr)

エクアドル全土で現在電力の供給が制限されている。これは干ばつによる主要水力発電所で 生産できる電力が不足したことによるが、隣国からエネルギーを輸入できていないこともその背景にある。10月27日より始まったこの節電対策は7:00から18:00までの間実施される。シエラ地方とオリエンテ地方では1日4時間程度、沿岸部では1日3時間程度供給されることになっている。輪番による電力の供給は各部門によってスケジュールは異なり、各電力会社や配電会社は市民に最も迷惑をかけない方法で停電を行う。この制限は、新しい発電設備が稼働するまでの一時的なものとはされている。

 

エクアドル電力公社(Corporación Eléctrica de Ecuador:CELEC) によって公開されたEmpresa Eléctrica Quitoが28日に首都キトから供給する時間帯は以下のようになっている。

08:00から12:00まで
[変電所] Olímpico、Chilibulo、Miraflores、Cristiania、San Antonio、Conocoto、Nueva Cumbayá

12:00から16:00まで
[変電所] Barrionuevo、La Floresta、Cotocollao、San Rafael、Pomasqui、El Quinche

16:00から18:00まで
[変電所] San Roque、Diez Vieja、El Bosque、Epiclachima、Nuevo Aeropuerto、Santa Rosa

https://twitter.com/ElectricaQuito/status/1718346649741726113

https://twitter.com/RecNaturalesEC/status/1718776290268909900

 

一方、国営電力公社(Corporación Nacional de Electricidad:CORN EP)は、アマゾニアの玄関口スクンビオスでは8:00から13:00までが停電となり、オレリャーナでは13:00から18:00まで停電が行われる予定だ。

キト電力会社(Empresa Eléctrica Quito)による電力供給不足への対処としての電力制限の可能性については3ヶ月前から発表されていた。2023年10月3日、フェルナンド・サントス(Fernando Santos)エネルギー大臣は「ここ何年も経験したことのないような深刻な干ばつが私たちに影響を及ぼさないよう、あらゆる対策が講じられている」と述べ、既存の熱電発電所に供給する燃料の購入と、新規発電の契約を加速させることで電力の配給制を否定した。 しかし、実際に電力供給の制限は行われることとなった。

 

電力不足対策として閣僚が合意したのはアクションは3つだ。まず第一に天然ガスの輸入と、熱電発電所テルモガス・マチャラ(Termogas Machala)の稼働がある。しかしこの案を主要なアクターとなるペトロエクアドルは実現不可能だとしている。彼らが1年以上前に警告したのは、政府が簡単に考えていたペトロエクアドル所有でグアヤキル湾にあるアミスタッド油田のパイプラインにFSRU(浮体式天然ガス貯蔵船)を接続し、現在使用されていない熱電発電所テルモガス・マチャラをフル稼働させるというものだ。230メガワットを作れる発電所を稼働させるためには日量4500万立方フィートの天然ガスが必要だ。上述の通りペトロエクアドルは、2022年3月17日付の報告書で輸入天然ガスと地元産天然ガスが混在することに対する技術的問題性、つまりパイプラインに技術的な不具合が生じる可能性があると指摘し、この案は不可としている。 不具合はアミスタッド油田の天然ガス生産井の停止や喪失につながる可能性もあり、さらなる損害をこの国に与える可能性がある。しかし技術者の意見に耳を貸さないサントス大臣は天然ガスの輸入は2023年11月までに完了すると述べている。

プランBとして政府が考えたのは、アミスタッド油田には手をつけず、海岸から7、8キロ離れた場所からフレキシブルホースを使い天然ガスをテルモガス・マチャラに供給するというものだ。これはより高価なオプションとなる。なぜなら それを可能とする船を調達する必要があるからだ。

閣僚合意で出たもう一つのプランに配電事業者から新しいエネルギーの供給を受けるというものがある。キト電力会社だけでも最大70メガワットの供給が可能だろうとサントスは期待を弾ませる。エクアドル電力公社のゴンサロ・ウキージャス(Gonzalo Uquillas)社長もこのメカニズムにより、2023年10月末までに150から200メガワットの新規発電が可能になると考えている。

閣僚合意では、民間企業がローシーズン用の追加発電を契約することも認められている。さらに、協定は「浮体式発電所」と定義される船舶の契約を評価することを提案している。これは、30~470メガワットの電力を供給できる船舶である。このようなソリューションを提供するトルコからの提案はまだテーブルの上にあるとサントスは10月初旬の時点で述べていた。

 

10月28日、ギジェルモ・ラッソ(Guillermo Lasso)大統領はコロンビアの大統領官邸であるカサ・デ・ナリニョを訪問した。ラッソはエクアドルの送電網への電力供給問題を協議したかった。会談はラッソに加えグスタボ・マンリケ(Gustavo Manrique)外務大臣、フェルナンド・サントス・エネルギー大臣、その他の代表団が同席した。両者は会談でコロンビアがエクアドルに送る熱エネルギーの量を「可能な限り短期間で」、現在の輸出量のほぼ2倍にまで増やすという合意を取り付けた。ラッソは「コロンビアの火力発電所によるエクアドルへのエネルギー販売を保証することで、コロンビアがエクアドルを支援してくれていることに感謝する。現在、コロンビアはエクアドルに1日平均6ギガワット時のエネルギーを供給しているが、同国は(今後)1日あたり10ギガワット時(計450MW)の輸出を保証し、われわれを支援してくれる」と発表した。ラッソによれば、エネルギーとエネルギー、あるいはエネルギーと石油の交換や支払いを可能にするようなことも話し合われた。現在、エクアドルはコロンビアから1kwhあたり57セントに達する非常に高い価格で火力エネルギーを輸入している。

 

ラッソはこの合意の後、エクアドルに到着したら、民間企業家と100MWの自家発電の売却について話し合うと述べた。一方、ペルー政府は、ペルーからエクアドルへの50MWの輸出を承認しており、省エネ計画は今後数週間で縮小される可能性があるとラッソは付け加えている。

コロンビアから帰国しグアヤキルで記者会見を行った大統領によると、コロンビアとペルーから送られるエネルギーによってエネルギー省が示した「省エネ(停電)レベルの大幅な削減につながる可能性の高い再プログラム化を実施する」ことが可能となり、そして「このような努力によって、停電をなくすことはできないまでも、最小限に抑えたいと考えている」。

キト電力会社は、キトの停電スケジュールを確認できるインタラクティブ・マップを公開した。このアプリケーションを使用するには、契約口座番号、固有のコードまたは住所を入力する必要がある。

なお外国好きの新大統領は当選から15日、公の場でほとんど発言をしておらず、ヨーロッパ等を訪問し続けている。

 

参考資料:

1. No habrá cortes de luz este domingo 29 de octubre en Ecuador, así lo informó el Ministerio de Energía
2. Estos son los horarios de apagones en Ecuador por provincia
3. Apagones: Gobierno pasa parte de la tarea a la gente y pide ahorrar luz
4. Horarios de cortes de luz en Ecuador por crisis energética

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